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薬剤師のための生理学/下痢止めと便秘薬を同時に服用するとどうなるの?

2015年12月15日 07:00

薬剤師のための生理学/下痢止めと便秘薬を同時に服用するとどうなるの?

 試してみるのはやめた方がよいと思います。下痢止めには腸粘膜に対する刺激を和らげ、水分の分泌を抑制するものもありますが、大部分は腸管の運動を抑制することによって下痢を抑えます。一方の便秘薬(下剤)ですが、これも大きく分けて刺激性下剤と緩下剤の2種類があります。刺激性下剤は大腸粘膜を刺激して腸運動を亢進させて排便を促すものです。ただし、この下剤は習慣性になりやすい(下剤を飲まないと排便できなくなる)、腸管粘膜障害を生じる恐れがある、などの理由で重症の便秘以外にはあまり使われません。緩下剤は食物繊維がそうであるように、浸透圧の作用によって腸管内に水を吸い込み、便を軟らかくすることで便通を促します。主として使われている便秘薬はこちらの方です。

 では下痢止めと便秘薬を同時に服用したらどうなるでしょう。

 緩下剤によって腸管内に水分が吸い込まれて便は柔らかく膨らみ、これによって便意を生じます。ところが下痢止めによって腸管の運動は抑制されており、それを排出することができないのです。きっと腹部膨満でとても苦しいだろうと思います。読者がどうしても試してみたいならどうぞ。でも約束してください。その結果を是非とも私に教えてください。

 ついでに述べておきますが、食中毒やノロウイルスなど、細菌やウイルスの感染による下痢の場合は、下痢によって病原体や毒素をどんどん排泄してしまった方がよいため、下痢止めは服用しない方が早く治ります。ただし、脱水状態にならないよう、ご注意ください。

[PharmaTribune 2014年4月号掲載]

岡田隆夫(おかだ たかお)
順天堂大学医療看護学部長、同大学医学部生理学第二講座・医学教育医学博士
1951年 東京都の生まれ、1977年 順天堂大学医学部卒業
【専門分野】心臓・血管系の病態生理学
【趣   味】かつては動物や鳥の写真撮(現在は忙しくて読書程度)
【好きな言葉】「冬来りなば春遠からじ」
【覚えて戴くために】岡田の田をタと読むと、上から読んでもオカタタカオ、下から読んでもオカタタカオ

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