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【在宅活動】おしゃべりから減薬できることも! 処方内容に変化がない患者さんのお宅で、薬剤師がすることは?

2016年01月25日 09:30

処方が前回と変わらないときに、患者さんのお宅でしていることを教えてください。

薬の使用状況の確認と評価 

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前回訪問から今回訪問までの間の体調変化やそれに伴うお薬の使用状況(頓服薬や外用薬の使用状況)の確認、それに対するアセスメントと服薬指導、他職種の記録(ヘルパーの記録やデイサービスのノート)を確認することで、問題がなかったかを把握しています。

例えば、頓服で処方されることの多い下剤は意外と上手く使われていないことが多いです。いつ服用して、いつ排便があったか、何回排便があったのか、便の形状・痛みの有無・下痢と便秘を繰り返していないか、など、アセスメントしています。

Aさんは毎日排便がないと満足できず、下痢でも下剤を飲んでしまうような方。夏場、脱水から熱中症を起こしかけました。

反対にBさんは若い時から常習便秘で3 ~ 4日出なくても気にならない方。介護者に便秘を訴えず、処方されていた下剤を使用しなかったためイレウスになりかけました。

Cさんは、寝たきりで摘便により排便するため、ケアに入る看護師の都合に合わせたコントロールが必要な方。摘便時の出方や痛みを確認してできるだけ苦痛のないような薬剤を選択する必要があります。

会話をしながら探る

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会話の内容や相手の表情から、困っていることや問題点がないか見逃さないように気をつけています。

例えば「この2、3日冷え込んでいますが、腰や肩など痛くなりませんか?」との問いかけに「痛くならないけど、体が痒くなることがあるんだよね」などと答えが返ってくるようであれば、痒みのある場所や状態を見せてもらい、アドバイスや薬の必要性を検討し医師に提案します。

バイタルサインで体調の変化をチェック

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処方内容が変わらなくても、患者の体調は変化がないわけではありません。バイタルサインをチェックして、困っていることがないかなどを伺います。どの疾患の患者にどのバイタルサインというのではなく、 全ての患者に体温、酸素飽和度、血圧などの一通りのバイタルサインを測定しています。

どれも簡単に短時間で測定でき、他職種と情報共有しやすい客観的データで、その後の体調変化がみられた際には原因を予測しやすくなります。

顔色や声の調子なども重要なバイタルサインです。体調変化の起こりやすい終末期には特に重要なので、訪問時には必ずチェックして医師や訪問看護師に報告します。また、薬の内容に応じてその効果を確認するために聴診も行います。

様子を見て気付く

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処方変更がないときに訪問してもお薬のセットくらいですることはほとんどありません。そこで大切なのは"気付く"ことだと思います。皮膚の色や肌つや、目の色、舌の動きや呼吸回数、身の回りの机や食事、部屋の様子...気にしながら世間話をしています。気付いたことは他職種に報告して、お互いの認識を確認し合っています。

  • 肌の色つや→出血傾向、むくみはないか
  • 肌や口周りの乾燥→脱水傾向→水分補給を介護者にお願いする
  • 呼吸回数の変化、舌の動き→麻薬の副作用?口内炎?入れ歯の不具合がないか確認
  • 身の周りの片付け、お会計の様子→認知の度合いの確認

例えば、お弁当が残っている頻度が多くなってきたDさん。食欲低下?体調不良?原因を探ったところ入れ歯が合っていなかったことが判明しました 。

おしゃべりから経口糖尿病薬を中止できた例も

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おしゃべり、に尽きます。日中1人で過ごしている人も多いので、できるだけ、体調の変化がないか注意しながら、話し相手になることも意識しています。暮らしぶり(食生活、睡眠、経済状態など)もおしゃべりの中から把握していきます。処方変更のない時こそ、患者さんの全体を見るチャンスだと思っています。

何もかも薬と結びつける必要はありませんが、ふとした会話の中にヒントが隠されていることがあります。実際にあったのは、「早くよくしたいから栄養ドリンクを4本飲んでいるの」と、おしゃべりの中でぽろっと話した糖尿病の患者さん。糖分が高いことなどを説明して「1日1本までにしましょう」と提案したところ、そのうちに飲むのをやめていました。結果、血糖が落ちつき、経口糖尿病薬をすべて中止するところまでたどり着きました。

嚥下機能の変化などもチェック

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嚥下機能の衰えの確認、日頃の食事や排便排泄の確認、OTC薬の服用の有無を確認しています。嚥下機能は「30秒でできるだけ多くごっくんしてください」とお願いして評価しています。30秒間に3回以上、空嚥下(唾液を飲み込むこと)の反復ができることが正常の目安となり、2回以下だと誤嚥をしている方が多いことがわかっています。

意思疎通が難しい方には、介護者に食事の様子を聞いたり、薬の飲み方(水に溶かす、とろみ剤を使用する)を聞いたりして、服薬困難がないかどうかを確認しています。介護者からとろみ剤について相談を受けることもあります。

介護者のフォローも大事

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介護者の話を聞くことも大事だと考えています。介護するうえで薬に関して気になることなどを伺ってフォローします。

夏場の脱水や日焼け、冬場の乾燥など、季節に応じた体調変化も確認し、アドバイスしています。

[PharmaTribune 2014年4月掲載]

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