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講義とロールプレイで学ぶ未来型薬剤師像ー1

2016年03月17日 10:30

 2016年4月からの診療報酬改定で、1つの大きなトピックになっている「かかりつけ薬剤師」。同制度の導入が決まって早々、薬剤師研修手帳の申し込みが殺到、品薄になるなど、慌ただしい状況が続いている。そのような状況の中、「高齢者薬物治療認定薬剤師制度 症例検討ワークショップ-Ⅱ」を取材する機会に恵まれたので、その概要をレポートする。

ワークショップ概要
高齢者薬物治療認定薬剤師制度 症例検討ワークショップ-Ⅱ
「鎮痛薬の適正使用 NSAIDs・中枢神経系用剤」
日時:2016年3月13日(日) 10:30~16:30
講師:水戸協同病院総合診療科部長 金井貴夫 先生
オブザーバー:国立保健医療科学院 疫学統計研究分野 総括研究官 今井博久 先生
会場:グラントウキョウサウスタワー
主催:一般社団法人 薬局共創未来人財育成機構

一般社団法人 薬局共創未来人財育成機構は、薬剤師、管理栄養士、登録販売者その他の薬局ないし医療機関の関係スタッフ等(以下、「薬剤師等」という。)の資質及び専門性の維持・向上を図り、また、薬剤師等の間の相互支援、交流、連絡等を支援することにより、国民の心身の健全な発展及び健康寿命の延伸に寄与し、もって国民が豊かな人生を送ることに貢献することを目的としている。

熱意溢れる受講者たち

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 講師である金井氏の問いかけに答える受講者

 定員は50名とのことだったが、ほぼ満席で、このワークショップに参加するために沖縄など遠方から来たという薬剤師も多数おり、受講者の意気込みが感じられた。また、年齢層も幅広く、いかにもベテランという薬剤師から1年目の新人も参加していた。この新人の薬剤師は、2015年10月に厚生労働省から発表された「患者のための薬局ビジョン」を読んで衝撃を受け、何らかの勉強をしていかなければ、と考えるようになったという。

 まず、水戸協同病院総合診療科部長の金井貴夫氏の講義が始まる。診療報酬改定に触れ、「6種類以上の内服薬を処方されていた入院患者について、効果・副作用を総合的に評価し、退院時に2種類以上減少した場合」に算定される『薬剤総合評価調整加算』など薬剤師にかかる期待を述べた上で、疼痛の病態整理と評価について解説した。

 特に興味深かった点は、患者のスピリチュアルペイン(生きる意味を見失うことによる身体的、社会的、精神的苦痛)を取り除くだけでも、疼痛閾値が上昇する(痛みが和らぐ)ということである。それに関連して、疼痛閾値を上昇させる2大要素は「気分」と「注意」であると解説。笑いやアロマなどの良い香りで患者の気分を良くしたり、自分の痛みから注意をそらすことで、患者は痛みを感じにくくなる。

 実際、患者が痛み日誌を書くことを中止させることにより、患者のQOLが上昇した例も見られた。自分の注意を痛みに向けることにより、その痛みを増強させてしまう悪循環を避ける狙いが、うまくはまったわけだ。こうした経験も踏まえながら、金井氏は患者の痛みの評価の際には(1)丁寧な問診、(2)患者の立場や苦悩への理解、(3)解剖学的アプローチ、(4)OPQRSTの把握を心掛けるという。この方法は、薬剤師も取り入れることができると述べた。

 また、本ワークショップでは、アセトアミノフェンやNSAIDs、オピオイドの各論も取り上げられたが、金井氏は、がん患者の疼痛には薬物療法の前段階で放射線治療や神経ブロック、経皮的椎体形成術などの非薬物療法の可能性を検討するべきだと述べた。例えば、放射線治療は原疾患によって疼痛緩和率の違いはあるものの、60~90%で何らかの痛みを軽減することが知られている。薬剤師も、このような非薬物療法が存在することを把握しておいて損はないだろう。

※Onset(発症)、Provocation/Palliation factor(増悪/寛解因子)、Quality(性状)、Region/Radiation/Related symptons(部位/放散/関連症状の有無)、Severity(重症度)、Temporal characteristics(時間的特徴)の略。

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