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被災地の車中泊、やむをえなければこう対応

2016年04月20日 10:15

 熊本地震の被害状況を伝える報道で、予震による避難所の揺れの恐怖から車中泊する被災者の姿が映し出された(関連記事)。車中泊は肺塞栓症のリスクだが、残念ながら、4月18日、車中泊した被災者で肺塞栓症死亡例が報告された。しかし車中泊せざるをえない現実もある。循環器系学会が連名で、車内での姿勢や運動に関する深部静脈血栓症/肺塞栓症、いわゆるエコノミークラス症候群の予防策を公表した。

同じ姿勢で血栓が形成、深部静脈血栓症/肺塞栓症へ

 車中泊による肺塞栓症死亡例がわが国で初めて報告されたのは、2004年に起きた新潟県中越地震で、新潟大学大学院呼吸循環外科講師の榛沢和彦氏らが明らかにした。

 狭い自家用車内では、同じ姿勢を取らざるをえず、血栓が形成されやすい状態にある。新潟県中越地震での死亡例は朝起床し、車から降りると同時に倒れ込み、死亡が確認されたという。

 被災地・熊本での車中泊による死亡例も新潟県中越地震での死亡例と同じ状況であったことが、報道からうかがえる。

足首の運動やふくらはぎのマッサージを

 予震が避難所倒壊に対する恐怖心をあおる、ペットがいるなどの理由から、車中で寝泊りせざるをえない被災者もいる。そのような被災者への深部静脈血栓症・肺塞栓症予防策として、循環器系学会が以下の注意点を、各学会の公式サイトで呼びかけている。

やむをえず車中泊する場合、避難所で運動ができない場合の深部静脈血栓症・肺塞栓症予防策

  • 適切な指導の下、弾性ストッキングを装着する
  • 長時間自動車のシートに座った姿勢で眠らない
  • 時々足首の運動を行う
  • ふくらはぎのマッサージを行う
  • 十分な水分を補給する
  • 可能であれば避難所で簡易ベッドを使用する

 なお榛沢氏は、小社の取材に対し「車中泊をしている被災者全員(閉塞性動脈硬化症例や下肢の受傷例などは除く)に弾性ストッキングを着用させることが必要」と訴えた。

 弾性ストッキングについては、先の循環器系学会が現在メーカーに援助を依頼し、被災地に届く手配を行った。弾性ストッキングには着脱方法があり、適正な使い方を指導する弾性ストッキング・コンダクターがいる。日本静脈学会弾性ストッキング・コンダクター養成委員会では、弾性ストッキングに関する相談をメールで受け付けている。

服用している医薬品にも注意

 ただでさえ十分な水分補給が難しい環境下の被災者が利尿薬やSGLT2阻害薬などを服用している場合、血栓形成のリスクが上昇する可能性がある。他にも、ホルモン製剤や副腎皮質ステロイド薬、抗精神病薬などが深部静脈血栓症/肺塞栓症のリスクとなり得る。現実問題として、被災地でどこまでできるのか、なかなか難しいことも多いと思われるが、服薬状況を把握し、患者の容体に合わせ、服用を続けるか一次中断すべきか医師による判断が必要になるケースも出てくるだろう。

 日本循環器学会、日本静脈学会、日本心臓血管外科学会、日本血管外科学会、日本脈管学会、日本胸部外科学会、肺塞栓症研究会

循環器系学会からの被災地の皆様への注意とお知らせ

弾性ストッキングの着用をすすめられた方へ」日本静脈学会弾性ストッキング・コンダクター養成委員会

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