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免疫チェックポイント阻害薬使用患者における1型糖尿病の発症に関する Recommendation

2016年05月19日 11:30

 日本糖尿病学会は、5月18日、免疫チェックポイント阻害薬のニボルマブ(商品名オプジーボ®使用患者における1型糖尿病発症に対応するため「免疫チェックポイント阻害薬使用患者における1型糖尿病の発症に関する Recommendation」を発表した。

 同薬は2014年7月4日に「根治切除不能な悪性黒色腫」を適応として承認され、2015年12月に適応拡大が認められた。厚生労働省によると、同薬は非扁平上皮がんおよび扁平上皮がん患者に対する新たな治療機会の提供のため、優先審査品目として極めて短期間で審査を行い、時期を早めて承認されたという。

 2015年1月21日、日本臨床腫瘍学会は、従来の抗がん薬と効果の発現形式や有害事象の特徴が異なることを踏まえ、適正使用に関する声明を発表した。また、同薬の投与により劇症1型糖尿病があらわれ、糖尿病性ケトアシドーシスに到ることがあるとし、2016年1月29日、PMDA(医薬品医療機器総合機構)は、オプジーポに劇症1型糖尿病についての注意喚起を行った。日本臨床腫瘍学会と日本糖尿病学会は両学会員に対して文書を発表し、注意喚起を行ってきた。

 2014年7月4日から2016年3月31日 までに同薬を使用した推定4,888名のうち、12名(0.25%)が1型糖尿病を発症したと報告されている。なかには劇症1型糖尿病および急性発症1型糖尿病の発症も認められた。特に劇症1型糖尿病は、発症後直ちに治療を開始しなければ致死的な疾患であるため、 疾患の存在を想定し、早期に発見して適切な対処を行うことが必要であるとし、同学会はこの度のRecommendationを発表するに至った。

Recommendation

1.投与開始前、及び投与開始後来院日毎に、高血糖症状の有無を確認し、血糖値を測定する。

2.測定値は当日主治医が確認し、高血糖症状を認めるか検査に異常値(空腹時126 mg/dl以上、あるいは随時200 mg/dl以上)を認めた場合は、可及的速やかに糖尿病を専門とする医師(不在の場合は担当内科医)にコンサルトし、糖尿病の確定診断、病型診断を行う。

3.1型糖尿病と診断されるか、あるいはそれが強く疑われれば、当日から糖尿病の治療を開始する。

4.患者には、劇症1型糖尿病を含む1型糖尿病発症の可能性や、注意すべき症状についてあらかじめ十分に説明し、高血糖症状(口渇、多飲、多尿)を自覚したら予定来院日でなくても受診または直ちに治療担当医に連絡するよう指導しておく。

5.該当薬の「適正使用ガイド」に、過度の免疫反応による副作用が疑われる場合に投与を検討する薬剤として記載されている副腎皮質ホルモン剤は、免疫チェックポイント阻害薬による1型糖尿病の改善に効果があるというエ ビデンスはなく、血糖値を著しく上昇させる危険があるため、1型糖尿病重症化予防に対しては現時点では推奨されない。また、他の副作用抑制のためにステロイド剤を投与する場合は、血糖値をさらに著しく上昇させる危険性があるため最大限の注意を払う。

 免疫チェックポイント阻害薬使用患者における1型糖尿病の発症に関するRecommendation

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