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伊勢志摩サミットが薬剤耐性問題に出した答えは?

2016年05月30日 15:15

 三重県志摩市の賢島で開催された主要7カ国(G7)による主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)は、5月27日に「G7伊勢志摩首脳宣言」を採択して幕を閉じた。同宣言では、薬剤耐性(AMR:antimicrobial resistance)について明記。抗微生物剤の有効性を国際公共財と位置付け、適切な使用による有効性の維持を推進するとともに、AMRに対する医学的対抗手段の研究開発にインセンティブの付与を検討すべきであると国際社会へ呼びかけた。

抗微生物剤の有効性は国際公共財
その維持に寄与する取り組みにはインセンティブを

 G7伊勢志摩首脳宣言付属文書の「国際保健のためのG7伊勢志摩ビジョン」では、より詳細にAMR対策の強化について指針を打ち出している。抗微生物剤の有効性については、国際公共財と位置付けた。抗微生物剤の適切かつ適正な使用を呼びかけ、有効性の維持を優先課題に掲げている。

具体的な取り組み

  1. サーベイランスや研究開発により得られた情報の共有強化
  2. 生産、処方、流通、使用などの適切管理のための規制面の協力促進
  3. 医療従事者、患者、一般市民を含めた意識の向上
  4. 国際協力の推進  等

 また、製薬産業にインセンティブを付与して必須抗菌薬の生産を維持し、既存抗菌薬の市場からの撤退防止に取り組むこととしている。さらに首脳宣言では、「感染症と闘うために必要な新しい診断薬や薬剤を製薬会社が提供していない」と市場の失敗を指摘。研究開発を促進するための新たなインセンティブを重視し、これを国際社会と共有すると言明した。

多分野における国際的な連携を要請

 そのほかにも、今回の宣言では、これまでの国際的なコミットメント*に基づき、多分野の協調による"ワン・ヘルス・アプローチ"を推進している。AMRに関するサーベイランスシステムの構築・調整に向け、協調と支援を強化するとした。

 また、WHO、国際連合食糧農業機関(FAO)、国際獣疫事務局(OIE)やアジアAMR東京閣僚会議などと連携して、サミット参加国以外の国でのAMRに関する国家行動計画の策定や履行への支援を呼びかけるほか、ワクチン、診断薬、抗微生物剤、代替治療法などのAMRへの対抗手段へのアクセス改善についても盛り込まれた。

 さらに、同ビジョン「研究開発とイノベーション」の項では、貧困に関連した疾患や、顧みられない熱帯病を含む医薬品の開発やアクセスの改善を促進する政策を実施するとも示されている。

 なお、今年9月に神戸での開催が予定されているG7保健大臣会合では、伊勢志摩サミットで議論された課題がさらに掘り下げられ、具体的な施策案が示されるものと考えられる。

*世界保健機関(WHO)は、2011年の世界保健デーで、ヒトと動物の垣根を越えて、健康、農業、環境など多分野から薬剤耐性に取り組む"ワン・ヘルス・アプローチ"の推進を国際社会に要請。2015年には5月の世界保健総会で「薬剤耐性に関するグローバル・アクション・プラン」が採択され、翌月に、ドイツで行われたG7エルマウサミットでも薬剤耐性は重要な議題として取り上げられた。 

 わが国では2016年4月5日に「薬剤耐性(AMR)対策アクションプラン」を策定。「適切な薬剤」を「必要な場合に限り」、「適切な量と期間」使用することの徹底を掲げ、抗菌薬の使用量を2020年までに33%削減することなどを示している

(関連記事)薬剤耐性アクションプラン、1歩踏み出す(厚労省)

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