ステージⅠ〜Ⅲの乳がんでリンパ節転移がない閉経後女性の診断前のアスピリン使用により乳がん特異的死亡のリスクがほぼ半分になるとのデータが、米・National Cancer Institute(NCI)のグループによりCancer(2016; 122: 2067-2075)に発表された。

リンパ節転移陽性例では関係見られず
同グループは、NCIのProstate, Lung, Colorectal and Ovarian Cancer Screening Trialで1993〜2009年にステージⅠ〜Ⅲの乳がんと診断された閉経後女性2,925例を計1万8,073人・年追跡し、診断前のアスピリン使用と乳がん特異的死亡との関係を検討した。2,925例中1,274例が乳がん診断前にアスピリンを使用していた。解析の結果、診断前アスピリン使用群と非使用群の乳がん特異的死亡に有意差はなかった〔ハザード比(HR)0.95、95%CI 0.68〜1.31、P=0.74〕。
しかし、リンパ節転移の有無により層別化した解析では、診断前のアスピリン使用はリンパ節転移陰性患者における乳がん特異的死亡の有意なリスク低下と関係していた(HR 0.54、95%CI 0.32〜0.93、P=0.02)。この関係は、リンパ節転移陽性患者では認められなかった(同1.41、0.92〜2.16、P=0.11)。診断前のアスピリン使用は、リンパ節転移の有無には関係していなかった。