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抗血小板薬による脳出血をどう治療する?

大学病院など263施設を対象にアンケート調査

2016年07月25日 07:30

 抗血小板薬の服用中に発症する脳出血は、予後不良であることが知られている。さまざまな治療が行われているが、対応策の確立には至っていない。福島県立医科大学輸血・移植免疫学講座講師の鈴木裕子氏らは、脳出血治療に携わる263施設を対象にアンケートを実施し、臨床の現場では現在どのような対処がなされているのかを調査。第38回日本血栓止血学会学術集会(会長=奈良県立医科大学小児科学教室教授・嶋緑倫氏)にて、その結果を報告した。

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大学病院では「無介入」と「止血剤」が最多

 対象は大学病院(分院含む)113施設の救急科、神経内科、脳神経外科、循環器科の計452科、および脳卒中学会関連の市中病院150施設。大学病院には2015年9月から、市中病院には2016年1月からアンケートを送付し、回答の解析を行った。アンケート回答率は、大学病院が40.9%(185科)、市中病院は37.3%(56施設)であった。

 脳内出血の診療を行ったと回答したのは大学病院108科、市中病院48施設で、そのうち抗血小板薬関連の脳出血治療を経験したのは大学病院が101科(93.5%)、市中病院47科(97.9%)であった。抗血小板薬内服の脳出血に対し、どのような臨床的対応を行ったかという問いに対して、大学病院では「無介入」と「止血剤」がそれぞれ32科(31.7%)と最も多かった()。市中病院でも、「止血剤」などの介入の対応頻度に大学病院と大きな違いはなかった。「抗血小板薬中止」は、先行して行われた大学病院に対するアンケートでは100%に近い実施が予想されため、回答の選択項目から外されていたが、市中病院に対するアンケートでは設定したところ、9割以上で行われていることが分かった。

図.抗血小板薬関連脳出血における臨床的対応(大学病院101科)

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(鈴木裕子氏提供)

 以前、鈴木氏らが有用性を報告した血小板輸血(PLoS One 2014; 9: e97328)については、大学病院、市中病院ともに約2割の科、施設で行われており、大学病院では救急科での施行率が50.0%と他科(脳神経外科:22.0%、神経内科+循環器内科:3.6%)に比べ有意に高いことが示された(P=0.0015)。施行率にこれほど差が開いた要因としては、患者背景の違いや救急科が輸血を扱い慣れていることが考えられるという。

 現在、同氏らは後方視的コホート研究を行うために協力施設とともに症例集積を行っている。「抗血小板薬投与に伴う脳出血に対して行われている治療法が、それぞれどのような改善をもたらしているのかについて、今後さらに検討していきたい」と同氏は述べた。

(関連記事)血小板機能高抑制と出血に関連性なし-PRASFIT-ACS試験のpost hoc解析より

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