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薬剤師の役割・存在意義を患者に伝えて 1

NPO法人ささえあい医療人権センターCOML理事長 山口育子氏

2016年08月03日 10:03

 「賢い患者になりましょう」を合い言葉に、患者の主体的な医療への参加をよびかけているNPO法人ささえあい医療人権センターCOML(コムル)。理事長の山口育子氏は、数多くの厚生労働省関連審議会などで患者の立場から医療の在り方に関する議論に参画しています。その視点は常に、患者中心の開かれた医療の実現を目指すところにあります。そんな山口氏に、PharmaTribuneの読者である薬剤師のみなさんに向けて、現状の問題点など忌憚のないお話をうかがいました。山口氏曰く、「薬剤師という職能集団は崖っぷちにある」「薬剤師の役割と存在意義をもっと患者に伝えるべき」「処方せん調剤だけではなく、OTCを含めていつでも気軽に相談できる薬局が必要」。地域の"医療者"として本気で取り組む姿勢が求められています。

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一般の人々は、薬剤師の存在意義を知りません

 COMLでは医療に関する電話相談を行っていますが、相談事例の4分の1は長年「ドクターへの不満」。「副作用や飲み合わせに関する不安」「長期間飲み続けても大丈夫か」といった相談内容でも、電話口から聞こえてくるのは「ドクター」という言葉で、相談者の口から「薬剤師」という言葉は出てきません。患者は薬を含めて全ての医療の問題の矛先をドクターに向けており、薬に対する説明不足も医師に対処を求めています。多くの患者は、薬剤師が自分の医療に関わる存在と認知していないのが現状です。

薬剤師に相談しても知りたい情報が得られないと感じています

 私は講演などの機会には「薬のことは薬剤師に相談を」と伝えています。しかし、「薬剤師に相談したが、"先生が大丈夫だと思って出している薬だから安心して飲めばいい"と言われた」という返答が後を絶ちません。

 私の言葉に触発され、"通院中で薬を服用しているのですが、授乳中であることを一度薬剤師に相談してみます!"と話してくれた女性がいました。しかし数日後、このような連絡が寄せられました。

 授乳中なので処方薬の服薬について注意事項を薬剤師さんからも詳しく聞きたいと伝えたけれど、「ドクターが授乳中だと知っていて処方しているのだからよいのでは」。さらに食い下がって「薬剤師さんの見解を聞きたいのです」と言っても、やはり何も答えてくれなかった。もう薬剤師に期待しません。

 ジェネリック医薬品の普及促進策が進められる中、「患者の自己決定権が尊重される時代」と言われ、患者は薬に関する専門的な知識がないにもかかわらず、自らが服用する薬の決定権だけを丸投げされています。薬のプロである薬剤師には、患者に理解できる説明が求められているのですが、患者側が知りたいことと薬剤師側の説明には依然として乖離があります。

 「いつも服用している薬と違う名前が書いてあるけれど、何が違うのか」と尋ねると、「少々お待ちください」と調剤室に走り込んで、専門書を持って戻って来て構造式を見せて、「この違いだ」と説明されたという人もいます。確かに科学的に正しいかもしれませんが、これでは患者が望むものにはなっていません。服薬指導についても、薬剤師側が伝えねばならない情報の説明パッケージを一方的に長々と話すケースが数多く見られます。

 インフォームド・コンセントという言葉が定着しましたが、患者の「知る権利」を保証するのが本質です。患者が何を知りたいのか、なぜそのような質問をしているのかに思いを向け、個々の患者への情報提供をしてほしいし、患者の理解が加わって初めて情報共有となることを、きちんと認識してもらいたいものです。

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