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離島や僻地で働いてみては

小笠原村診療所 小西良典 氏

2016年08月04日 08:00

 東京から1,000km、定期船に乗っておよそ1日かかる場所に位置する小笠原諸島。いわゆる「超遠隔離島」です。30余の島々のうち、父島と母島(島間約50km、定期船で片道2時間10分)には「小笠原村診療所」「母島診療所」があり、全島民の健康をサポートしています。実は、両診療所の薬剤管理は、ただ1人の薬剤師が受け持っています。

 この度、小笠原村診療所で働く小西良典さんに、離島における薬剤師の業務の実態、そしてその意義についてお話いただきました。

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東京から船で25時間の場所にある診療所

 私が現在働いている小笠原村は、東京の南約1,000kmに位置し、父島と母島合わせて約2,500人ほどが生活しています。空港が無いため、小笠原村への交通は、東京から丸1日かけて、週に1回程度やってくる、貨客船おがさわら丸しかありません。食品や日用品を始め、島内の必要物資は大部分がおがさわら丸で運ばれてくるので、医薬品や郵便すら1週間に1回しか届きません。そのため、診療所内の医薬品の在庫管理には、常に気を配る必要があります。

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離島での薬剤管理

 離島の診療所では、必要な薬すべてを揃えることは困難です。そこで、患者さんには必要に応じて院外処方箋を発行の上、東京都内の薬局に処方箋をFAXして、調剤をお願いしております。この東京の薬局からの薬も、おがさわら丸で小笠原まで運ばれ、郵便物として患者さん宅へ直接届けられます。

 こういった状況なので、台風等でおがさわら丸が欠航すると、診療所の医薬品や患者さんへの薬も、場合によっては到着が1週間も遅れます。おがさわら丸の動向や天気予報のチェックも、薬局業務に欠かせません。また、離島なのでインフルエンザなどが大流行につながることもあります。急いで薬を発注しても、次のおがさわら丸の入港までは来ないので、抗生物質などの在庫管理には特に気を使います。

 なお、島内で対応できない患者さんが出た場合は、自衛隊の飛行艇で東京へ直接搬送するか、ヘリコプターで硫黄島の空港へ運び、そこから東京へ輸送機で向かいます。

父島と母島合わせて薬剤師は1人

 小笠原諸島には、父島と母島合わせて薬剤師は私1人しかいません。したがって、外来調剤や服薬指導のみならず、患者さんの持参薬整理、医薬品在庫管理、併設老人ホーム入居者の薬の準備、予防接種薬の点検、行政監査の対応、後発医薬品選定、さらには薬剤師の常駐していない母島診療所の医薬品管理や学校薬剤師と、多岐にわたる業務を1人でこなさなければいけません。

 必要に応じて、看護師さん達と協力しながらこれらの業務を行っていますが、それでも薬剤師が1人という環境は過酷です。南の島はのんびりしていると考えられがちですが、実際のところ、業務はかなり忙しいです。

やりがいがある離島での業務

 仕事が多岐にわたり大変である分、様々な業務を経験できて、やりがいがあるとも言えます。また、離島の診療所は小規模であり、他の職種や患者さんとの距離が近いことが特徴です。さまざまな業務を積極的にこなしていけば、勉強になることは非常に多いです。

 私が小笠原村診療所に赴任して3年、さまざまなことを経験し、薬剤師として成長できたなと実感しております。もし転職を考えている薬剤師さんがいたならば、ぜひ一度は僻地や離島での勤務をおすすめします。僻地や離島は都市部ほど設備も薬剤も充実していません。生活も不便です。しかし、それを補って余りあるだけの経験や知識を得ることができるのではないでしょうか。

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