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薬剤師を見たことがない人たちがいるという事実を知っていますか?

ゆうとく薬局 平山 匡彦 氏

2016年08月05日 10:00

 11の有人島と52の無人島からなる長崎県五島市。平山匡彦氏が経営するゆうとく薬局は、五島列島で最も大きい福江島(同列島南西端)にあります。「離島は日本の将来像の縮図」といわれますが、平山氏に、医療資源へのアクセスが厳しい地域の医療を支える薬剤師の立場から、PharmaTribuneの読者である薬剤師のみなさんに向けたメッセージをお願いしました。

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 私たちは、平成21年の改正薬事法をきっかけとして、離島住民の医薬品の購入や使用に関する実態と意識調査を平成22年と平成23年に行い、その後、二次離島(薬局や薬店がなく薬剤師の存在しないような一次離島の周囲に点在する小離島)の住民を対象とした「お薬説明会・相談会」を開催しています。

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 その時の調査結果で、約4割の二次離島住民が薬剤師という職種を認識できていないことが分かりました。そして半数以上の者が「薬の説明は医師から聞くのが分かりやすい」と回答し、「薬剤師」と回答した者は3割もいませんでした。その理由として考えられるのは、二次離島には薬局がなく薬剤師は存在していないことです。

 しかし、多くの二次離島では医師と看護師がいて診察をし、投薬が行われています。つまり島という閉ざされた地域の中で、薬剤師不在で医療が完結されているのです。

 確かに、それで対応できない場合は、より大きな一次離島や本土へ行く場合もあるのでしょうが、特別なことがない限り、島の方たちは薬剤師の存在すら知らずに普通に医療を受けているということです。事実、先の調査によると、全体の2割の者は島を出たことがないというのです。つまり、少なくともこの2割の者は薬剤師にあった経験すらないということです。

 もし、このまま閉ざされた島の中で薬剤師が介入せずに医療が完結するとしたら、もっと大きな地域、つまり日本という島全体でも「薬剤師はいなくとも医療は完結できる」。極端な発想かもしれませんが、そう言われても仕方がないのではないかと思います。

 これは、五島市の二次離島だけの問題ではないのかもしれません。全国の山間部やへき地地域、もしかすると都会のど真ん中でも同様かもしれません。もう一度、それぞれの地域を見つめなおし、それぞれの地域住民の皆さんに薬剤師という職能を認識させ、医療用、一般用の区別なく、医薬品を使用する際には薬剤師という存在が必要であるという意識を定着させる活動を、全国各地で、是非実行していただければと願います。 

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有限会社侑徳薬局(ゆうとく薬局)代表取締役/長崎県薬剤師会理事
平山匡彦
自身の薬局経営とともに、薬局・薬店がなく薬剤師がいない二次離島において、お薬説明会・相談会を巡回開催、地域住民の健康を支えています。

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