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透析患者でも有用、DAAによるC型肝炎治療

2016年09月12日 11:00

 C型肝炎は、直接作用型抗ウイルス薬(DAA)を中心とした治療法の進展により、多くの症例で高い治療効果が期待できるようになった。しかし、現在でもC型肝炎合併の透析患者に対するDAA治療の効果、安全性は不明である。北海道大学消化器内科の須田剛生氏は「C型肝炎合併透析患者に対するダクラタスビル(DCV)/アスナプレビル(ASV)併用療法は安全で有効」と、第102回日本消化器病学会総会(4月21〜23日,会長=東京医科歯科大学消化器病態学教授・渡辺守氏)のシンポジウム「C型肝炎治療の新時代と将来への展望」で述べた。

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PEG-IFN単独療法が第一選択

 国内の透析患者は現在、約30万人とされている。透析患者におけるC型肝炎ウイルス(HCV)抗体陽性率は約10%(2008年の報告)と高率で、トランスアミナーゼ値は腎機能正常者に比べて低値である。また、HCV陽性患者の移植腎の生着率は低下することも知られている。

 C型肝炎は、現在ではIFNフリーのDAAによる治療が中心で、80〜90%の高いウイルス学的著効(SVR)が得られるようになっている。日本透析医学会(2011年)をはじめ国内外のC型肝炎合併透析患者治療ガイドライン(GL)では、「生命予後の期待できる患者に対しては、積極的に抗ウイルス療法を行うことを推奨する」とされているが、透析患者のC型肝炎ではPEG-IFN単独療法が第一選択であった*

 そのため、透析患者におけるC型肝炎の治療成績はなかなか上がらず、治療中止率も高い。さらに、現在治療の中心となりつつあるソホスブビルは高度腎機能障害には禁忌で、透析患者のC型肝炎治療は難しい。しかし、2014年から使用可能になったDCVとASVは主に肝代謝・排泄の薬剤で、DCV/ASV併用療法は腎機能障害患者や透析患者でも使用可能であることが想定された。

耐性変異陽性例、肝硬変症例でもSVR12達成

 そこで須田氏らは、C型肝炎合併腎不全透析患者におけるDCV/ASV併用療法の治療早期の安全性、治療効果を確認するため、ゲノタイプ(GT)1型のC型肝炎合併腎不全透析患者42例(男性29例、年齢中央値67歳)を対象に検討を行った。対象者の透析歴は中央値6年(0.1〜40年)で、NS5A耐性変異陽性6例、肝発がん後2例、肝硬変7例などが含まれていた。

 検討の結果、治療終了時(24週)のウイルス陰性化率は全例100%で、97%がSVR12を達成していた()。NS5A耐性変異陽性例、肝硬変症例も、ともに全例でSVR12を達成していた。副作用発現率は非透析例と同程度で、主な副作用は、咽喉頭疼痛4例、ヘモグロビン低下4例、ALT低下3例などであった。副作用による治療中止は2例で、1例は血小板減少を伴う肝機能障害、もう1例は皮疹による中止であった。2例とも中止後のウイルス陰性化は持続しているという。

図. C型肝炎合併透析患者に対するDCV/ASV併用療法によるウイルス陰性化率

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(須田剛生氏提供)

 発がんリスク因子であるαフェトプロテイン(AFP)値、ALT値はともに治療開始後、有意に低下し、線維化マーカーであるヒアルロン酸値も有意に低下していた。アルブミン値については治療終了時には有意に上昇し、終了後12週でも上昇していた。

 同氏は「慢性腎不全透析患者に対するDCV/ASV併用療法は良好な治療成績で、安全性も確認された。また、治療により発がんリスクマーカーや線維化マーカーの低下が認められた。今回の検討から、GT1型C型肝炎合併透析患者に対するDCV/ASV併用療法は有用だと考えられる」とまとめた。

*日本肝臓学会のGLは今年(2016年)5月に改訂され、現在は透析患者に対するDCV/ASV併用療法の有用性が示されている

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