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多職種で栄養を楽しく学ぶ!

2016年10月17日 13:30

 「薬剤師を含めた若手の医療従事者がNST(栄養サポートチーム)の多職種勉強会を立ち上げた!?」偶然この話を耳にしたとき、少し意外な印象を受けた。NSTは、どちらかというと看護師が中心になるイメージがあったためだ。チーム医療が盛んに叫ばれている現在、「薬剤師が栄養に関することでできることって何だろう」と、この勉強会を取材した。

【第1回PNDLTs 概要】

テーマ:「若者よ集え!他職種(みんな)で繋がる栄養の輪」

日時:2016年9月22日(木・祝)12:30~

会場:八洲学園大学(神奈川県横浜市)

主催:PNDLTs委員

会長:沢辺正和(特定医療法人愛仁会 太田総合病院 薬剤部)

副会長:神田由佳(公立学校共済組合関東中央病院 看護部)、大川李絵(横浜市立みなと赤十字病院 栄養課)

事務局:矢倉尚幸(社会福祉法人ワゲン福祉会 総合相模更生病院 薬剤部)、江口真由(医療法人社団相和会 渕野辺総合病院 薬剤部)

広報:川畑亜加里(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院 看護部)

会計:朝倉之基(東海大学医学部附属病院 看護部)

会計監査:相木浩子(東京慈恵会医科大学附属第三病院 栄養部)、廣川沙也佳(公益社団法人地域医療振興協会 横須賀市立市民病院 臨床検査技術科)

オーガナイザー:鈴木規雄(聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院循環器内科)     

 そもそも、PNDLTs(ペンデルツ)とは何のことなのか。これは、Pharmacist(薬剤師)、Nurse(看護師)、Dietitian(管理栄養士)、Laboratory technician(検査技師)、Therapist(セラピスト)のそれぞれの頭文字に由来し、これら多職種で力を合わせるという意味で複数形のsを付けたのだそうだ。実際に上記に挙げた職種から構成されている。

 PNDLTsは、個人が考えている「患者の栄養に関する問題点」などを多職種の参加者で共有し、「本音で語り合うこと」を目的としている。そのため、自由な雰囲気で活発なディスカッションができるように、という主宰者の考えに基づき、会員は「40歳以下の栄養療法を志す者」という制限が定められている。

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当日の司会を務めた朝倉之基氏(東海大学医学部附属病院 看護部)

他を知るために、まずは自分を知る

 参加者は18人。病院薬剤師チーム、栄養士チーム、看護師チームと、臨床検査技師や理学療法士の混合チームに分けられていた。「今日は『勉強会』ではないので、普段考えていること、思っていることを遠慮なく言ってほしい」と前置きがあった上で、それぞれのグループで「栄養管理における自分たちのスペシャリティ(得意分野、苦手分野)」を検討した。その結果、主に下記のような回答が得られた()。

.グループ内で検討した栄養管理における各職種のスペシャリティ

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薬剤師に期待されていること

 それぞれのスペシャリティを共有した上で、他職種に聞いてみたいこと、他職種への期待について、各グループで討論後、発表した。ここでは、薬剤師に対する要望や期待を紹介する。

看護師からは・・・

:添付文書と異なる投与法を容認しているのはなぜなのか。

:添付文書の投与法を変更/追加するには、臨床試験が必要で、非常に時間がかかるという制度上の事情や、医師は経験に基づいて投与法を決めることがあるため、添付文書と異なる投与法が行われることがあるから。それに対して疑義を呈するには、しっかりとエビデンスにのっとって医師に提案できるよう、薬剤師のレベルアップが必要だと感じている。

:現場では看護師が簡易懸濁をするケースがあるが、その知識が足りず、困ることが多い。先発品ではOKだが、ジェネリックでは簡易懸濁できないケースもあり、覚えきれない。不安を感じながら簡易懸濁している。

:私の所属する病院では、実際に薬剤部で簡易懸濁が可能か試すことがあり、絶対に簡易懸濁しないでほしいという薬剤は表にして、病棟に表示している。粉砕しないでほしい薬には印を付けるなど工夫ができるかもしれない。

:当院では、簡易懸濁できるものに関しては薬剤師が粉砕をしている。怖いのは、経口で飲めていた患者が、飲めなくなって投与経路が変わった場合。その情報が薬剤部に共有されていないと、薬剤師は錠剤のまま出して、看護師は潰してはいけない薬を潰してしまう。薬剤師にも情報を共有してもらえると、調剤方法を変更できる。病棟に薬剤師がいる場合は、ぜひ薬剤師を使ってほしい。

栄養士からは・・・

:デイサービスで栄養士をしている。簡易懸濁できるかどうか、粉砕して良いかどうかなど、病院であればすぐに聞くことができると思う。しかし、「この年齢でこの大きさの薬は飲めない」というケースに遭遇した際、栄養士はケアマネに聞くしか方法がない。そうすると確認に時間がかかり、患者に薬を飲ませないまま帰すわけにもいかず、リスクを承知で大きな薬剤を飲み込ませたり、確認が取れないまま粉砕してしまうこともある。薬に「砕いてはいけない」「この薬剤は粉に変更できる」といった印が付いていると助かる。そのつど尋ねないと分からないことが、あらかじめ書いてあると、他職種や家族にも分かりやすいし、時間のロスも生じない。こういったことを期待したい。

検査技師からは・・・

:検査結果に影響を及ぼす薬剤を投与しているにもかかわらず、検査科に連絡がないため、採血準備の段階で注意喚起ができず、極端な検査結果が出たことがあった。看護師に原因を聞いてもよく分からず、医師に聞いたら疑わしい薬剤名が挙がったので、そこで薬剤師に確認して初めて判明した事例がある。検査の際に、検査技師は患者一人一人について、どのような薬剤を使っているのか確認はしないので、検査結果に影響のある薬剤を投与するときは、採血の際に注意が必要であることを伝えてほしい。

理学療法士からは・・・

:入院や外来の患者を担当している。リハビリの際に気になるのが多剤処方例や、どんな薬を飲んでいるのか分かっていない患者が多いことだ。退院時の服薬指導に加え、退院後の外来患者に対する薬の勉強会などがあれば、私たちからリハビリ患者に勧めることができる。入院患者の薬剤管理に加え、一般の生活に戻った患者の薬の質問に答えられるような機会を設けてもらいたい。

 以上のようなやりとりを聞いて感じたのは、「チーム医療」と叫ばれているにもかかわらず、情報が共有されず、円滑に進んでいないケースが多いことだ。主宰者は、「自分の職種をアピールして他職種を知ることの重要性」「人が集まるだけではチームではない」と述べた。チームの基軸を明確にするために、チームの目的、方向性、期限を明確にし、与えられた条件の中で最高のパフォーマンスを発揮しなければならない。自分の得意な点や足りない点をしっかり認識した上で、誰に何を聞けば力になってくれるのかを知ることが、チーム医療の成功への第一歩だという。

 第1回目ということで、規模は小さいものだったが、終始和やかな雰囲気の中で活発な意見交換がなされていた。これから在宅医療に薬剤師が関わる機会はさらに増えていく。薬局の薬剤師も栄養に興味を持つことが望まれる。

 次回は2017年2月5日開催予定。(問い合わせ先:pndlts.u40@gmail.com

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