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次世代の降圧薬2-エンドセリン受容体拮抗薬

2016年11月28日 11:30

 現在、日本では肺高血圧症に対して3種類のエンドセリン受容体拮抗薬(ERA)が上市されているが、いずれも高血圧症を適応としておらず、強力な活性を持つERAの開発が期待されている。これまで、ETA・ETB受容体やアンジオテンシン受容体・エンドセリン受容体の両者を遮断する薬剤による血圧や臓器障害への影響について複数の検討がされており、筑波大学循環器内科教授の宮内卓氏は、新規ERAは既存の降圧薬にはない効果や特性を持ちうる可能性があると第39回日本高血圧学会(9月30~10月2日)で展望した。

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既存のERAは全身血圧の降圧効果が低い

 高血圧患者に対するERAの効果については、幾つかの検討がなされている。ボセンタンを4週間投与した検討では、ボセンタン1,000mg、2,000mg群はプラセボ群と比べて有意に拡張期血圧(DBP)が低下し、その程度はエナラプリル20mgと同程度だったことが報告されている(N Engl J Med 1998; 338: 784-790)。しかし、ボセンタンの日本での最大用量は250mg/日で、宮内氏によると全身の血圧を低下させるには高用量となることから、臨床での使用は現実的でないという。

 ERAは肺高血圧症での使用実績があることに加え、血管平滑筋の増殖を抑制する作用により、肺血管リモデリング改善効果を有し、血管拡張薬に比べて生命予後を延長させることが報告されている。同氏は「エンドセリンは肺血管での感受性が強いため、全身の血圧に対する降圧効果は低いことが考えられる。より強力なERAが開発されれば、高血圧に対して臨床的に使用されることが期待される」と展望した。高血圧患者に対しdarusentan(日本未承認)を14週間投与した検討では、darusentan 50mg、100mg、300mg群ではプラセボ群と比べて有意な血圧低下が認められたことが報告されている(Lancet 2009; 374: 1423-1431)。

RAS阻害薬への追加で臓器保護的な作用も

 ERAは、アンブリセンタンなどETA受容体のみを遮断するシングルERAと、ボセンタン、マシテンタンなどETA受容体とETB受容体の両者を遮断するデュアルERAの2タイプに大きく分類される。宮内氏らは、レニンとアンジオテンシンを強発現させた高血圧モデルマウスにデュアルERA(SB209670)を20週間投与すると、生理食塩水群に比べて有意に血圧が低下し、心肥大も抑制されたことを報告している(Life Sci 2004; 74: 1105-1118)。

 また、レニン・アンジオテンシン系(RAS)阻害薬へのERAの追加についても検討が行われており、糖尿病性腎症患者に対しatrasentan(日本未承認)を8週間投与したところ、atrasentan 0.75、1.25mg群はプラセボ群と比べて有意に蛋白尿が減少した(J Am Soc Nephrol 2011; 22: 763-772)。「アンジオテンシン系の遮断に追加してエンドセリンを遮断することで、さらに強力かつ臓器保護的に作用することが認められた」と同氏は指摘した。

 以上から、同氏は「現在、アンジオテンシンとエンドセリンの受容体を遮断するAT1・ETA受容体拮抗薬(DARA)が開発されており、イルベサルタン300mgと比べて収縮期血圧(SBP)、DBPともに抑制したことが報告されている」と述べ、「今後、高血圧患者を対象とした長期投与の検討がなされ、血管障害や臓器障害への有効性が示されることを期待する」とまとめた。

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