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そのED治療薬、本物ですか?

偽造ED治療薬4社合同調査

2016年12月01日 10:00

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 勃起障害(ED)治療薬を製造、販売しているファイザー、バイエル薬品、日本新薬、日本イーライリリーの4社は、インターネット上で流通しているシルデナフィル(バイアグラ®)、バルデナフィル(レビトラ®)、タダラフィル(シアリス®)について、サンプルを医薬品販売サイトから入手し、真偽鑑定のための合同調査を行った。計70サンプルの有効成分の分析を行ったところ40%が偽造品だったことが、11月24日に開催された4社合同のプレスセミナーで報告された。

国内サンプルの36%が偽造品

 合同調査は、医薬品の適正使用と患者の健康被害防止の観点から、インターネットにより持ち込まれた医薬品における偽造品の割合と有効成分を調査するために行われた。偽造医薬品は故意にまたは不正に真正医薬品に似せて製造されたもので、その品質は全く予測できず、間違った量の有効成分、不純物や効果のない成分で構成されているという。

 調査期間は今年(2016年)3~8月で、日本および日本人が偽造ED治療薬の販売に関与している事案が存在したタイの2カ国の調査会社に調査を依頼し、ED治療薬を販売しているインターネットサイトを通じて1サイトから各ブランド1サンプルずつ、合計30サンプルを目標に購入し、各社が化学分析を実施し真贋を鑑定した。購入できたサンプルは日本国内発注分が45サンプル、タイ発注分が25サンプルの計70サンプル。

 分析の結果、70サンプルのうち40.0%が偽造品だった。日本国内発注分では、45サンプルのうち35.6%が、タイ発注分では25サンプルのうち48.0%が偽造品だった。発送元は中国が最も多く、次いでシンガポール、タイの順だった。

 結果を報告した昭和大学藤が丘病院泌尿器科教授の佐々木春明氏は「海外正規品の最大用量と比較して約150%の有効成分を含んでいるものや、有効成分がほとんど含まれていないサンプルも確認された。また、どの国にも存在しない用量のものが販売されているケースもあった」と指摘。承認用量以上の有効成分が含まれている場合、低血圧や意識消失などの予期せぬ副作用が起きる可能性がある他、含有量が微量でほとんど含まれていないものは期待する効果が得られず、服用者が精神的なダメージを受けることも懸念される。「正規品に含まれていない物質により発現した症状に対しては治療が遅れることも危惧される。インターネットで安く簡単に入手できればいいという認識を改めてほしい」と呼びかけた。

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ネットで安く買えるわけではない

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 「インターネットによる個人輸入の方が安いというのは嘘」と指摘するのは金沢大学医薬保健研究域国際保健薬学教授の木村和子氏。タダラフィル1錠(20mg)当たりの平均価格を比較したところ、国内5医療機関の平均価格2,134円に対し、真正品が送料・手数料込みで2,014±854円(1,222~3,863円)、偽造品が同1,397±220円(975~1,775円)だったというデータを紹介した。「アジアでは国を代表する大企業が偽造医薬品を製造している現状がある。日本にも入ってこないとは言えず、インターネットで医薬品を購入する危険性を認識してほしい」と注意を喚起した。

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 インターネット上での不正サイトへの対策も進んでいる。米国で政府機関やインターポールと提携し、ヘルスケア分野を中心にインターネットの監視や調査を行うレジットスクリプト社アジア政策・執行部長の岡沢宏美氏によると、インターネット上には世界中で3万5,000~5万の処方箋医薬品を扱うオンライン薬局が常時存在し、その97%が不正なものだという。日本語のサイトはそのうち約2,000~3,500で、99%以上は「医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律」に違反して運営されており、同社では昨年度の1年間で1,900件以上の日本語サイトを閉鎖させた。

 「ドメイン名登録会社に違法行為を通知し、不正サイトのドメイン名を停止し、不正な内容が復活しないようにロックをかけるよう要請している。こうしたことができるのはドメイン名登録会社だけ」とネットを取り巻く現状について述べた。さらに、「ドメイン名登録会社は世界で500以上あるものの、うち12社に世界中の不正医薬品販売サイトの半数以上が登録されている。世界のドメイン名登録会社トップ15に日本の1社が入っており、その会社には日本語の不正医薬品販売サイト全体の66%が登録されている。他国のドメイン名登録会社は停止依頼に応じているものの、日本の会社はサイト閉鎖を拒絶している。このままだと世界中の不正医薬品が日本に集中してしまう」と危惧を示した。最後に、「本来、インターネットで販売が許可されていない医療用医薬品が簡単に購入できてしまうという現実に即した対策をとる必要がある」とまとめた。

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