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情報共有で医薬分業の質の向上を目指す

2017年01月05日 07:30

(株)日立製作所 ひたちなか総合病院 薬務局・データ管理センタ
関 利一

 2015年10月、厚生労働省は地域包括ケアの時代に向けて「患者のための薬局ビジョン」を策定し、かかりつけ薬剤師への期待を表明した。この役割を果たすためには、医療機関と薬局間での情報共有が重要な課題となる。

 当院は、約15年前からひたちなか薬剤師会と顔の見える関係で医薬分業を推進し、さまざまな取り組みを展開してきた。病院の理念である"地域を護る病院"をモットーに、ひたちなか市の関係機関(薬剤師会を含む)とBCP(事業継続計画:Business Continuity Plan)作成やBCMS(事業継続マネジメントシステム:Business Continuity Management System)構築などに取り組み、国内医療機関として初めてISO22301を取得している。

 これらの取り組みの中で生まれたのが「ひたちなか健康ITネットワーク」である(関連記事1)。薬剤師を中心としたこのネットワークでは、保険薬局が患者さんの同意を取得することで、当院の電子カルテの一部(患者基本情報、処方、注射、検査などのデータ)を過去から現在まで閲覧できるようになる。これにより、厚生労働省が掲げる「患者のための薬局ビジョン」の条件の少なくとも一部は満たすことになるだろう。現在、保険薬局の積極的な関与によりアクセス数を伸ばしている。

 さらに、院外処方に関する形式的な問い合わせや、経口抗がん薬、残薬調整に関するプロトコールを作るなど、ひたちなか薬剤師会と試行錯誤しながら、医薬分業の質を意識した取り組みを継続している。このような地域の薬剤師や当院医師を巻き込んだプロトコールの導入は、処方権・調剤権に関わる議論に対する、1つの解決方法になると考えている(関連記事2)。

 さまざまなシステムを構築してきたが、要となるのはヒューマンパワーであった。医療者同士が顔を突き合わせ、密接なコミュニケーションを取れば、よりよい地域医療が実現するのではないだろうか。同様の取り組みが、全国で広がることを期待する。

 最後に、私は企業立病院の薬務局・データ管理センタに所属しており、今後、到来する超高齢社会の中で、地域包括ケアに必要なIoT(Internet of Things)開発にも挑戦したいと考えている。

※ISO22301(事業継続マネジメントシステム):災害などの危機発生時における対策・対応に関する事業継続マネジメントシステム(BCMS)の国際規格。

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