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英国は高額薬剤推奨にHTAを導入

2017年02月01日 08:00


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 高額な医療費が近年、世界的に社会問題となっている。日本でも昨年(2016年)、医療技術評価(HTA)が試行導入され、来年以降の薬価に反映されることになるが、その前に売り上げの大きい高額薬剤については、特例として引き下げられた。東京大学大学院医薬政策学特任准教授の五十嵐中氏は、第57回日本肺癌学会(2016年11月19〜21日)で、英国におけるHTAの活用状況を紹介した。

英国では特例や割引措置で対処

 英国立臨床評価研究所(NICE)で現在検討中の非小細胞肺がん(非扁平上皮がん)に対するニボルマブ(商品名オプジーボ)の評価について、昨年10月公表の資料では1質調整生存年(QALY)当たりの増分費用効果比(ICER)は、薬剤費を割り引きした状態でも企業提出資料で5万ポンド以下、外部評価が8万ポンド以下(ドセタキセルとの比較)と費用効果は良好とはいえない。

 費用効果が悪く本体予算ではカバーできない抗がん薬には、別建て予算Cancer Drug Fund(CDF)を用いる道が残されている。CDFには期限(2年間)があり、その間に新しいデータを提出し、費用効果が良好であることを示さなければならない。ニボルマブの現行案は、対象をPD-L1の発現率10%以上の患者に絞りつつ、時限的にCDFで給付するのが現行案である。企業がこれに同意すれば、2年間CDFの予算で給付し、それ以降は再評価となる。

 一方、ペムブロリズマブ(商品名キイトルーダ)の場合はもともと対象がPD-L1陽性患者に限定されている。同薬の1QALY当たりのICERは、企業提出資料では約4万9,063ポンド、外部評価では6万1,954ポンドとなった。さらに企業が薬剤費の割り引きと投与期間を2年間に限定する2つの条件を提案した結果、「費用効果は良好」と判断され、本体予算での給付が推奨された。中止タイミングを見極めにくい抗PD1抗体に関し、最大2年間に投与期間を限定することで、支払い側のリスクを最小化した格好だ。

費用効果以外の評価も必要

 どの国のHTA機関でも、費用効果以外に①財政的影響の大小②倫理面の問題③他の選択肢の有無④医療上のニーズ⑤どんな疾患か−など、さまざまな要素を総合的に判断して決める"アプレイザル(総合的評価)"が行われている。

 一方、日本ではソホスブビル/レジパスビル(商品名ハーボニー配合錠)やニボルマブが費用効果は考慮されず、売上高のみで薬価切り下げとなった。それらと並行してHTAが試行導入となり、昨年4月に対象品目が指定されて現在は企業が分析を実施、厚生労働省に提出している。今秋には大学などが再分析を行い、今冬のアプレイザルを経た上で次回(2018年4月以降)の薬価改定に反映される予定である。

 しかし、五十嵐氏は「ニボルマブが勝つのは難しい」とし、「英国の費用効果評価が良好でなく、臨床試験結果が各国で大きく異なることはないことから、日本でも"費用効果が良好"と評価されるとは考えにくい。費用効果以外の要素の強調も必要になるかと思われる」と説明した。

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