新規登録

点頭てんかんの第一選択薬に

ビガバトリン 視野障害早期発見のため全例登録制導入

2017年02月03日 10:30

2016年に日本で承認された4種類のてんかん薬の1つであるビガバトリン(VGB)は、点頭てんかんに対して製造販売承認された。埼玉県立小児医療センター神経科部長の浜野晋一郎氏は「VGBの副作用である不可逆性視野障害を早期発見するため、全例登録制が導入されているが、点頭てんかん、結節性硬化症に伴う点頭てんかんに対して有効性が高いことから、第一選択薬の1つとされる」と第50回日本てんかん学会で解説した。

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脳内GABA濃度を上昇

 VGBはGABAアナログで、GABAの分解酵素であるGABAトランスアミナーゼを非競合的かつ不可逆的に阻害し、脳内GABA濃度を上昇させることで、抗てんかん作用が発現すると考えられる。VGBは水溶性で速やかに吸収され、最高血中濃度到達時間は1~3時間、食事の影響は少なく、腎排泄型で約8割が未変化体として尿中排泄される。消失半減期は5~8時間で、代謝産物、肝酵素誘導作用はない。P糖蛋白により細胞外排出される基質でなく、その阻害作用もない。薬剤との相互作用としては、フェニトイン濃度を20%低下させる。

 VGBは1974年に初めて抗てんかん薬として創製され、複雑部分発作やスパズムに対する有効性が認められたことから、1989年に英国で小児および成人の難治性部分発作の併用療法として承認、1996年には点頭てんかんに対して承認された。しかし、1997年に不可逆的な視野障害発現が報告されたことから、欧州医薬品庁がリスク・ベネフィットの再検討を指示。1999年欧州の適応症が小児の点頭てんかんに対する単剤療法、成人の他剤無効の部分発作に対する最終選択肢としての併用療法に限定され、網膜毒性の非臨床試験、視野狭窄に関する臨床試験、追跡調査が指示された。これを受けて日本での国内開発は中止された。2009年には、米国で「点頭てんかん」と「成人の難治性複雑部分発作」を適応として承認されるのと同時に、全患者・処方医登録制の販売管理がなされている。

 一方、日本では2010年に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬検討会議」において開発要請が出され、点頭てんかんを対象とする治験が実施され、2016年に点頭てんかんの適応症で製造販売が承認されたが、適応症は点頭てんかんのみで、処方医、眼科医、薬剤師がチームとして全症例の登録するともに、定期的な眼科診察・検査という厳格な管理体制が必須となっている。

視野障害は長期使用で発現

 VGBの視野障害は、使用例の約3割に発生し、求心性で鼻側優位の不可逆性の視野狭窄である。緩徐に進行し、生じると不可逆性とされるが、一部改善例の報告がある。重篤だが、広範な視野障害はまれとされる。長期使用で発現し、6カ月以下では発現がまれで、累積投与量500g以上、投与期間12カ月以上の40%以上で発現するとされる。治療、予防策も未確立なため、早期発見しか対策がないため、全例登録制が導入された。

 また、VGBでは脳MRIで両側視床・基底核・中脳・橋背側に拡散制限が認められる場合がある。VGB投与中止により脳MRI異常は認められなくなるとされるが、VGB投与時と同様にGABA濃度が上昇するコハク酸セミアルデヒド脱水素酵素欠損症では、同様の脳MRI異常と脳症が認められ,不可逆的な異常を来すとの報告もあることから、VGB投与時の脳MRI異常には注意が必要である。

mTOR経路を介した作用も

 VGBは結節性硬化症に伴う点頭てんかんの発作抑制率が95.7%と高いが、これはmTOR経路の活性の抑制が関与している可能性も考えられている。欧州の結節性硬化症に伴う点頭てんかんおよびスパズムの治療では、VGBが効果は速くて高く、特に1歳未満の小児に対する第一選択薬とされている。

 最後に浜野氏は「VGBには、不可逆性の視野障害という重大な副作用があるが、作用機序として脳内GABA濃度上昇の他にmTOR経路を介した作用が示唆されており、点頭てんかん、結節性硬化症に伴う点頭てんかんに対して有効性が高いことから、第一選択薬の1つとされる。安全性確保のため全例登録という制約はあるが、うまく使用すればてんかん治療の大きな武器になると考えられることから、リスク・ベネフィットを考慮して使用することが勧められる」とまとめた。

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