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【新規抗てんかん薬オクスカルバゼピン】小児の部分発作の併用療法に

新規抗てんかん薬オクスカルバゼピン

2017年02月16日 09:30

 オクスカルバゼピン(OXC)は、2016年に4歳以上の小児を対象に「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する抗てんかん薬との併用療法」を適応として製造販売が承認された。OXCについて国立病院機構熊本再春荘病院小児科科長の池田ちづる氏が第50回日本てんかん学会で解説した。

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血中濃度が線形・用量比例性に上昇

 OXCはカルバマゼピン(CBZ)の代謝産物による副作用を防止するために同薬の構造を変化させて開発された。OXCとCBZを比較すると、作用機序は両者ともNa+チャネルを抑制するが、OXCはN/P/R型Ca+チャネルを抑制し、CBZはL型Ca+チャネルを抑制する。CBZは多くのCYPを誘導するため、他の薬剤との相互作用が問題となっていたのに対し、OXCは誘導・阻害する酵素の種類が少なく、改善されている。CBZは自己誘導作用があり、血中濃度はいったん上昇するが、自己誘導により低下するのに対し、OXCは自己誘導作用がなく、血中濃度は線形・用量比例性に上昇する。蛋白結合率は、OXCが40%、CBZは70~80%。OXCは95%以上が尿中排泄され、腎障害時に減量する必要がある。一方、CBZは肝障害時に減量する必要があるが、腎障害時の調節は不要である。

 国内で実施されたOXCの小児てんかん患者96例を対象とした二重盲検試験と長期継続投与試験で有害事象は65.6%に生じ、5%以上に出現した有害事象は傾眠、嘔吐、浮動性めまい、発疹だった。海外の臨床試験で発現率が10%以上だった有害事象は、頭痛、傾眠、めまい、ウイルス感染、悪心で、頭痛、傾眠、悪心はプラセボに比べ2倍以上多かった。有害事象による脱落率は、CBZ、フェニトイン(PHT)と比べ有意に低く、バルプロ酸(VPA)と同等。皮疹発現率はCBZ 7%、OXC3%だが、CBZとの交叉反応性は27.5%と報告されている。

皮膚症状に注意、緩徐な漸増を

 新規に診断された成人部分てんかんに対するOXC、CBZの二重盲検比較試験で、OXCはCBZに比べて有効性は同等、高度な副作用発現は有意に低かった。また、酵素誘導作用については、CBZの方がCYP3A4誘導作用は46%高かったと報告されている。

 小児例においてCBZにOXCを併用した効果を検討した試験では、OXCをCBZに追加した症例およびOXCを他の抗てんかん薬に追加した症例はプラセボ群と比べ、有効性が有意に高かった。

 日本では、4~14歳で1~2剤の抗てんかん薬で十分な効果が認められない部分発作を有する小児てんかん患者を対象にプラセボ対照二重盲検試験が行われた。OXC群47例、プラセボ群51例。漸増期間は2週間で、3~4日ごとに増量した。最大用量は1,800mg/日。有効性を前観察期からの部分発作頻度の変化率で評価した結果、投与群間に有意差は認められなかったが、前観察期の部分発作回数で調整した解析で有意差が認められた。安全性については、プラセボ群に比べてOXC群で高度の有害事象発現率が高く(2.0% vs. 19.1%)、有害事象による投与中止例も多かった(1例 vs. 8例)。中止例8例中5例が皮膚障害によるものだった。二重盲検比較試験時にプラセボ群で、非盲検長期試験時に新たにOXC投与された49例のうち皮膚障害により投与中止された症例が6例(12.2%)存在した。投与中止に至った11例の症状出現は投与開始1~14日目で、全例重篤な皮膚障害はなかったが、悪化を懸念し投与中止された。アジア人のCBZにおける薬疹発現リスクにはヒト白血球抗原(HLA)との関係が指摘されている。OXCとCBZの化学構造が類似しており、交叉反応性リスクが25~30%あるため、HLA-B*1502またはHLA-A*3101保有者の多いアジア人ではOXCによる薬疹リスクが高いことが予想される。

 以上から池田氏は「OXCは4歳以上の小児を対象に部分発作(二次性全般化発作を含む)に対する併用療法で発売が予定されている。部分発作に対する有効性はCBZ、PHT、VPAと同等で、有害事象による脱落率はCBZ、PHTより有意に低く、VPAと同等と評価されている。CBZと同様に部分発作に対しての有効性は高いが、欠神発作やミオクロニー発作では悪化させる可能性がある。CBZとの相違点は、主に腎排泄であること、酵素誘導作用・阻害作用が少ない、自己誘導がなく濃度上昇が線形であることなどが挙げられ、CBZが無効だった症例においてもOXCが効果を上げる可能性がある。国内の臨床試験で皮膚症状の出現率が10%を超えており、CBZと同様に皮膚症状については注意が必要である。副作用を防ぐために漸増間隔を1週間以上空けるなど、緩徐な漸増が勧められる」とまとめた。

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