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【新規抗てんかん薬ペランパネル】AMPA受容体を選択的に阻害

2017年02月16日 09:31

 ペランパネル(PRP)はAMPA受容体を選択的に阻害する抗てんかん薬で、2016年に日本で承認された4種の抗てんかん薬の1つ。適応は「他の抗てんかん薬で十分な効果が認められないてんかん患者の部分発作(二次性全般化発作を含む)および強直間代発作(PGTC)に対する抗てんかん薬との併用療法」である。湊病院(青森県)北東北てんかんセンターセンター長の兼子直氏が、PRPの効果、位置付けについて第50回日本てんかん学会で解説した。

用量依存性の効果

 PRPはAMPA受容体の選択的拮抗薬で、CYP3A4で代謝され、CYP3A4誘導性抗てんかん薬との併用で血中濃度が減少するため、併用する場合は処方量の設定に注意する必要がある。海外では部分てんかん、全般性PGTCへの併用療法で認可されており、維持用量は4~12mg/日とされている。

 部分発作に対するPRPの他剤併用時の有効性・安全性を評価する多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較第Ⅲ相試験(335試験)が行われた。対象は、1~3種類の抗てんかん薬の治療を受けている12歳以上の日本人を含むアジア人てんかん患者710例(平均年齢33.4歳)。平均罹病期間17.27年、抗てんかん薬3剤併用者50%以上、酵素誘導抗てんかん薬服用者67.3%。主要評価項目は発作発現頻度変化率(投与後28日間当たりの発作回数の投薬前からの変化量)、副次評価項目は発作頻度50%減少達成率(50%RR:投与後28 日間当たりの発作頻度が投薬前に比べ50%以上減少した被験者の割合)とした。

 対象をPRP(4mg/日、8mg/日、12mg/日)投与群またはプラセボ群にランダムに割り付けて検討した結果、部分発作に対する発作頻度減少率の中央値は、プラセボ群10.8%、4mg群17.3%、8mg群29.0%、12mg群38.0%で、プラセボ群と比べ8mg群および12mg群は有意な発作減少を示した(P=0.0003、P<0.0001、)。また、50%RRは、それぞれ19.4%、23.0%、36.0%、42.3%で、プラセボ群と比べ8mg群および12mg群は有意な達成率を示し(P=0.0005、P<0.0001)、PRPの部分発作に対する用量依存性の効果が認められた。複雑部分発作、二次性全般化発作に対しても用量依存性の効果が認められた。

図. ペランパネルの部分発作に対する効果

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(兼子直氏提供)

 発作型ごとの効果を見ると、全発作の完全発作抑制率は、プラセボ群0%、4mg群2.9%、8mg群4%、12mg群4.4%で、プラセボ群と比べ12mg群は有意な発作抑制率を示した(P=0.0368)。二次性全般化発作抑制率は、それぞれ6.5%、17.5%、28.1%、20.9%で、プラセボ群と比べ8mg群および12mg群は有意な発作抑制率を示した(P=0.0025、P=0.0221)。

全般性PGTCの減少率75%、抑制率30%

 さらに、全般てんかん患者におけるPGTCに対するPRPの他剤併用時の有効性・安全性を評価するため、多施設共同ランダム化二重盲検プラセボ対照並行群間比較試験(332試験)が行われた。同試験では中央判定で被験者適正性を判断し、特発性全般てんかんに限定した。また、抗てんかん薬3剤併用までを許容し、CYP3A4誘導性抗てんかん薬使用率が少ない対象であったため、PRP 8mg/日を上限とした。対象は、12歳以上の1~3種類の抗てんかん薬治療を受けているPGTCを有する全般てんかん患者164例。PRP群はPRPを1日1回経口投与、治療漸増期に8mg/日まで漸増し、治療維持期に8mg/日投与した。主要評価項目は、PGTC発作頻度変化率とした。投与用量平均値は7.6mg。試験完了者はプラセボ群87.8%、PRP群84.0%だった。

 対象をプラセボ群とPRP群にランダムに1:1に割り付けて検討した結果、発作頻度減少率は、プラセボ群に比べPRP群で有意に高く(38.4% vs. 76.5%、P<0.0001)、50%RRもPRP群の方が有意に高かった(39.5% vs. 64.2%、P=0.0019)。

 PGTC完全抑制率は、プラセボ群に比べPRP群で有意に高く(12.3% vs. 30.9%、P=0.0069)、他の発作型を含めた発作完全抑制率もPRP群の方が有意に高かった(5.6% vs. 27.9%、P=0.0011)。

 臨床試験で認められた主な有害事象は、浮動性めまい、傾眠、頭痛、疲労、易刺激性だった。

 臨床試験の結果をまとめると、部分てんかんについては過去の治験に比べて難治例が多かったが、8mg以上の有効性は過去の治験と同等であり、用量依存性の効果が認められ、頭打ち現象は認められなかった。発作減少は二次性全般化発作、複雑部分発作の順に認められた。全般てんかんにおけるPGTCでは、3剤併用を許容したが、発作減少率は75%以上で、発作抑制率は30%だった。

難治性への併用で発作消失も

 兼子氏らは既往薬剤6剤以上難治性てんかん患者32例(精神遅滞合併例8割)を対象にPRP併用の発作への効果を検討した。その結果、50%RRが11例(34%)で認められた。対象のうち副作用で投薬を中止した症例は8例(めまい5例、めまい・眠気の合併1例、興奮2例)存在した。めまい、眠気は4mgで顕在化する症例が多く、めまいで一部転倒する症例が存在した。興奮は6~8mgで顕在化する症例が多かった。

 以上から、同氏は「PRPは既存の抗てんかん薬と異なる作用機序を有し、既存の抗てんかん薬で十分な効果が得られていない症例で、同薬の併用により効果が増加する可能性が高い。用量依存性の治療効果が認められ、難治てんかんへの併用で発作が消失する症例がある。副作用は眠気、ふらつき、頭痛、疲労感の順に発現する。副作用が出現したら1段階(2mg)減量する。肝臓での代謝が遅いため、1日1回の服薬でよいが、定常状態に達するには時間を要するため、2~3週間様子を見て漸増する」とまとめた。

 今後の課題としては①単剤使用できる時期②CYP遺伝子多型による臨床効果の違い③多数症例における有害事象の制御方法の開発④AMPA-カイニン酸kainate型グルタミン酸受容体機能抑制作用を有するトピラマートとの臨床的差異の明確化など―が挙げられる。

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