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"地域の保健室"池田薬局

紹介します!ウチの薬局・薬剤部

2017年02月17日 13:00

創業1955年。"地域の保健室"として患者や地域住民の心身の悩みを聞き、何でも相談できる場所を提供している池田薬局。時間をかけてじっくり話を聞き、悩みの原因を解き明かすことで患者との信頼関係を築いている。相談して良かったと思ってもらえる薬局を目指して、日々地域住民に向き合った結果、かかりつけ薬剤師の契約は9割を超える。地域に根付いた薬局・薬剤師の姿を追った。

池田薬局
福岡県北九州市小倉北区白銀1丁目4-14
処方箋枚数 50枚/日 薬剤師8名(うち、パート3名)

2017年1月現在

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話を伺った方:
池田薬局 池田充宏氏

60分かけて相談に応じることも

池田薬局は60余りの医療機関から処方箋を応需している面調剤の薬局だ。処方箋医薬品は医療用麻薬30品目を含む1,300品目、OTC医薬品は700品目扱っている。処方薬の服薬指導以外の相談は1日10人程度で、相談内容に応じて天井に取り付けたロールカーテンで仕切って話を聞く。「初回は20~30分かけて面談することも珍しくありません」というのは、管理薬剤師の池田充宏氏。長いときは60分ほどかけることもあるそうだ。

20170214ikedaph3.jpg天井に設置したロールカーテンでプライバシーに配慮

患者から相談されたら何を聞く?

  • 病歴
  • 医療機関の受診の有無
  • 現在服用している薬、服用するようになった経緯
  • 家族構成など、悩みに関連すると思われること
  • どんな仕事の仕方をして、どんな生活をすごしているのか?(例えば何時に寝るか?)

具体的な相談事例1 市販薬購入の相談から

女性 60歳代
ロキソニンを指名買い。どのような症状があるのか尋ねたところ、こむら返りが頻繁にあり痛いとのこと。こむら返りに効果のある芍薬甘草湯を勧め、購入に至った。

具体的な相談事例2 がん終末期の代替療法

女性 50歳代
がんの終末期の患者で、処方箋調剤の服薬指導時に窓口対応で相談を受けた。抗がん薬が奏功せず、他に頼れるものがないか、という。患者からの聞き取りで医師は代替療法を認めていることが把握できたため、免疫力をあげることを目的として身体を温めることの重要性を説明したり、身体を温める食材や料理を伝えた。具体的には、漢方東洋医学の考え方の「一物全体食」という葉、実、根全てがそろったものを摂ることがバランスの取れた食べ物を摂るという考えにつながること。早く寝ることや旬の食べ物を食べる重要性などを話して患者の生活から見直すことを促した。

本人の意思を尊重しながら、患者の希望によっては、在宅という選択肢があることなども含めたサービスの紹介をすることもある。

具体的な相談事例3 母親の認知症について

女性 60歳代
"相談薬局"という看板を見ての飛び込み客。認知機能が低下してきている母親について、物忘れが少しでも良くなる市販薬がほしいとのこと。まずは母親のお薬手帳を見せてもらい、現在服用している薬の説明とともに認知症の説明をすると、母親の症状を話してくれた。家の中で同じところをずっと掃除している、食事を食べたのに食べていないと訴える、夜中に寝てくれない・・・。自身は介護で疲労困憊であり、なぜこのような目にあうのかと考えてしまってつらい、最近は耳鳴りの症状も出てきたという。その症状を聞きながら必要な市販薬を紹介し、認知症は誰しもなりうる病気であり、どの家族も同じような悩みを持つことなどを伝えると、涙を流して「ありがとうございます」と言ってくれた。これをきっかけに介護の仕組みを説明したり、ケアマネジャーに紹介したり、デイサービスを勧めるなど、薬や市販薬の購入以外の相談を受けるようになった。

かかりつけ薬剤師登録は9割

患者にじっくり向き合う相談体制をつくっている池田薬局。かかりつけ薬剤師の契約は、既存顧客の9割に上る。「信頼関係ができている患者さんに説明しているため、契約における抵抗感はない印象です」と池田氏。契約の説明は、信頼関係が構築できたことを薬剤師が感じたときに行っている。大事にしているのは、信頼関係構築までの薬剤師の姿勢だ。初対面で患者に話しやすいと思ってもらえることに力点を置く。「表情一つ一つが大事だと思っています。患者は、相手/薬剤師が真剣に聞いてくれているのか見ています。患者の不安を理解し、共感することから相談は始まります」。

処方薬以外にも、健康食品やサプリメントの相談、その人自身の体調や子供の問題などに真摯に向き合うことを通して、かかりつけ薬剤師の意義を理解してもらう。そうすると。電話が24時間つながることのメリットをおのずと感じてもらえるようになる。信頼関係が構築できていれば、契約時に質問が出ることはほとんどないという。薬局の休日に処方箋調剤を対応したことや市販薬を購入したいとの電話から開局したことが数回ある。これらの対応により、患者からはより信頼を得ることができたそうだ。

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肺気腫を患った方の便秘の相談に応じる

相談の延長線上に在宅がある

池田薬局は在宅にも力を入れており、がん終末期も含めた医療用麻薬を使用する個人宅の患者にも対応している。昔から薬局で薬を受け取っていた、いわば常連客もいる。初めて訪問しても、店の名前や場所を言うだけで「知っている」「あそこは古くからやっているよね」と言ってくれる患者も多い。「薬局で相談を受ける、その先に在宅がある」と池田氏。在宅でも相談を受けるスタンスは一緒だ。患者宅に訪問したときには、患者はもちろん家族が困っていることがないか、悩みがないか必ず聞く。例えば褥瘡がある患者であれば、アルギニン入りの栄養補助食品を勧めたりする。受けているサービスが訪問診療のみのケースに、ケアマネや訪問看護のサービス内容を説明したり、要望により訪問マッサージを紹介することもある。

患者の病状をよくしよう、家族の負担感を軽減しようと積極的な姿勢で接すれば、必ず患者・家族は見てくれている。池田薬局の薬剤師は「●●さんのためにやってあげたい」と自分自身が思い、動いている。それが地域に根差す相談薬局を揺るぎない存在にしていると感じた。

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もやもや病を患った患者の皮膚を見て問いかける

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1週間後に死を迎える前のがん末期患者のひと時

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