薬剤師の在宅訪問

在宅での薬物療法の評価ってどうやってやるの?

在宅活動のピットフォール -Case7-

  • 2017年03月02日公開
  • (2017年03月02日更新)

在宅活動を始めた、もしくは関心があるのだけれど、いざ実践となると、「唐突なハプニングに対応できる自信がない」という初心者の方もいるのでは。これから毎月、実際の活動で起こりえる落とし穴(ピットフォール)を事例に挙げ、その対応方法、解決策を探っていきます。

在宅での薬物療法の評価ってどうやってやるの?

訪問すると、薬が効いているか、効いていないのか、副作用は出ているかなどといった評価をしなければいけないことは分かっているのですが、実際にどのように行えばよいのでしょうか。医者が共有してくれる検査値をみるほかに、バイタルサインのチェックなどを行ってアセスメントすべきですか?そもそも検査値データはかならず共有してくれるのでしょうか。副作用はどのように確認すればよいですか。

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在宅活動歴13年

まずは患者さんや家族、他職種への聞き取りから

在宅の仕事をよく一緒にしている医師は、よほどのことでない限り血液検査を実施しないので、共有する検査値データはほとんどありません。し
たがって、薬局で行っているように、患者さんや家族、かかわっている事業者への聞き取りや記録の確認を行い、薬物療法の評価をします。

安楽に体調良く、ご飯を食べられて排泄ができ、寝られれば、在宅生活はかなり良好です。安定していたところで問題が起こったのであれば、どうしてそうなったのか。その原因は、環境、食事、疾病、薬の副作用のどれであるかを見極めて対処法を考えます。それから他職種に報告、相談します。医師に相談するとは限らず、患者さんの状態をよく知っている人に話を聞いてアセスメントしています。

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在宅活動歴21年

バイタルサインのチェックは
かならずしも必要ではない

バイタルサインを取るための手技を覚えることは重要ですが、全てのケースにおいて実践する必要はないと考えています。訪問をしたら、患者さんの体調が悪そうな様子のときなどに実践すればよいのではないでしょうか。バイタルサインをチェックするよりも、患者さんをみて、会話して、問題点を探ることが大切です。検査値データは患者さん宅に保管してあり、他職種も含めて共有しています。共有されていない場合には、医師や患者さんに聞いてみるとよいでしょう。

眼振があった患者さん

長年フェニトインを服用している患者さん。訪問時にお顔を拝見すると、眼振が見られました。副作用の可能性もあるので医師に報告し、血液検査をしてもらいました。検査結果はフェニトインによる副作用ではありませんでしたが、こういった気付きが重要です。

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在宅活動歴5年

検査値データを共有してもらうよう
医師や患者さんに伝えておく

在宅だから、特別に何かをしなければならないということはありません。日常の薬局業務と同じことを場所を変えて行うだけです。検査値が記載された処方箋を受け取ることがありますが、そのときの薬局での対応と同じことを在宅でも行います。検査値データは待っていてももらえません。検査をしたら結果を知らせてもらうよう、医師や患者さんに事前に伝えておくと良いでしょう。

検査値データから確認できること

検査値データを共有してもらうことで、さまざまなことを確認できます。例えば、現在使用している薬剤の効果・副作用、栄養状態、肝臓・腎臓・心臓などの臓器の機能を含む身体の状態、脱水症状の有無、貧血の有無などです。検査値から肝臓や腎臓などの機能が衰えていると判断したら、これらに負担をかけない薬剤を医師に提案します。ナトリウム値からは、一日に摂取すべきナトリウム量や水分量を把握でき、その情報を医師に伝えることもできます。

ただし、血液検査データだけを参考にするのではなく、患者さん本人の状態を自分の目で見て確認することも大事ですね。浮腫などは、実際に触って確かめることが有効だと思います。

必要な時に実践できるよう
バイタルチェックに慣れておく 

「何がなんでもバイタルチェックを行おう」と構えてしまうと、ハードルが上がってしまうかと思います。「やれたらやってみよう」くらいの気持ちでスタートするのがよいのではないでしょうか。やがて、「この人の血圧、測ってみたいな」とか、「この人のサチュレーションが気になるな」などの疑問を抱くときが必ず来ます。日頃から練習をしていると、いざというときに慌てずに行えると思います。

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在宅活動歴7年

検査値の結果は薬効と結びつけて説明する

検査値は患者さんの状態を示しています。それが薬剤によるものかを評価することが私たち薬剤師の役割だと思っています。私たちが検査値をもとにアセスメントしていれば、医師も患者さんもデータを共有してくれるでしょう。検査値を確認できない状況であるならば、まずは自分から、データを見せてもらえるようにお願いしてみましょう。確認したら「異常ないですね」や「肝機能が悪いですね」など、結果の説明をするだけでなく、必ず薬効や副作用と結びつけて説明することが大切です。

薬物療法への理解を深めれば
効果や副作用の評価はできるはず

患者さんの疾患、医師の処方意図、処方薬の薬効薬理を理解していれば、薬物治療の効果の判断はできるはずですし、副作用も同様です。もともと薬剤師は、日常の業務の中で、処方箋をもとに薬物療法の目的を推測し、足りない部分を患者さんへのインタビューで埋めていると思います。診療情報提供書、顔色や声の強さなども含めたバイタルサインなどに加え、検査値から総合的に判断して薬物療法の効果や副作用を評価することは、在宅はもちろん、薬局に来局される患者さんでも同様だと思います。

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