新規登録

透析患者の運動療法、"希望"が大切な要素

透析期CKD患者のフレイル・サルコペニア対策

2017年03月07日 09:30

 慢性腎臓病(CKD)患者では病態の進行とともに身体機能が低下するため、保存期(透析が必要になる前)のうちから積極的な栄養、運動介入を行って身体機能の保持を目指すべきである。しかし、フレイルになってしまってから透析を導入するケースも少なくない。聖マリアンナ医科大学病院腎臓・高血圧内科教授の柴垣有吾氏は、第20回日本病態栄養学会(1月13〜15日)で、「フレイルな透析患者が運動を積極的にしないのは、運動すること自体がつらいほど身体機能が低下しているためであり、そのような患者をアドヒアランスが悪いと思い込まず、患者が希望を持って運動に取り組むためにはどうすればよいか、医療者は考える必要がある」と述べた。

1702023_shibagaki.jpg

透析中の食事摂取で同化作用が持続

 透析患者では腎不全、または透析治療自体が蛋白質の異化、喪失のリスクとなるため、積極的に栄養療法と運動療法を行う必要がある。栄養療法においては、蛋白質の十分な摂取が特に重要だが、不足しがちなのが実情である。透析患者の蛋白摂取量は平均0.8〜1.0g/kg/日と、推奨量の1.2g/kg/日に及ばないことが報告されている(J Ren Nutr 2013; 23: 157-163)。

 そこで勧められるのが、透析中の経口食事摂取である。透析中の経静脈的栄養補充、または経口食事摂取は前腕筋における蛋白同化作用を促進するが、その作用は経口食事摂取時のみ透析終了後も維持されることが分かっている(J Am Soc Nephrol 2006; 17: 3149-3157)。低アルブミン血症の透析患者に対し、透析中の高蛋白食摂取にリン吸着薬を併用すれば、血清リン値を変化させることなくアルブミン値を上昇させるとする試験結果もある(Nephrol Dial Transplant 2016年9月22日オンライン版)。

 「透析終了後は、疲労のあまり食事が取れない患者もいる。血圧低下や誤嚥防止のため透析中に食事をさせない透析室もあるが、看護師が見守る中で、むしろ安全に栄養を摂取させることができる」と柴垣氏は指摘した。

3割が運動介入試験への参加を拒否

 運動療法については、透析患者の身体機能の改善に有効なことが明らかにされているものの、既に筋力が低下した患者にとって運動は容易ではなく、しばしば精神的苦痛を伴う。柴垣氏によると、最近報告された透析患者への運動介入研究では、スクリーニング例の3割が試験への参加を拒否し、参加例の2割が脱落したという(BMJ Open 2016; 6: e012085)。

 こうした患者は"やる気がない"と見られがちだが、「患者が希望を持って、楽しく運動に取り組めるような対策を医療者側が考えることも大切ではないか」と同氏は強調した。

 栄養療法、運動療法のいずれか一方のみでは十分な蛋白同化作用は得られず、両者を並行して実践することが重要である。そのためには医師、理学療法士、管理栄養士、社会福祉士などの協調が不可欠だと同氏は指摘。「そして、患者が希望を持てるような介入の在り方を、力を合わせて考えていきたい」と締めくくった。

トップに戻る