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軽視できないオーラルフレイル、その対応は

2017年03月07日 09:48

 東京都健康長寿医療センター研究所社会科学系専門副部長の渡邊裕氏は第20回日本病態栄養学会(1月13〜15日)で講演し、オーラルフレイルは低栄養を招き、身体的フレイルにつながることを説明した。また、口腔、栄養、運動の3つに焦点を当てた総合的プログラムの実施により、フレイル高齢者の食欲が向上し、食事バランスの改善が見られたとする介入研究の結果を紹介した。

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低栄養から身体的フレイルにつながる

 オーラルフレイルは口腔機能の軽微な低下を指す。早期に対応すれば健康な状態に戻すことができるが、その症状は滑舌低下、わずかなむせ・食べこぼし、噛めない食品の増加など些細なものであり、見逃されやすい。

 口腔機能が低下すると、食事が偏りがちになる。高齢者700人を対象とした渡邊氏らの調査によると、咀嚼チェックガムで「噛めない」と判定された群では、「噛める」と判定された群に比べ、いも類、緑黄色野菜、魚介類・肉類などの食品の摂取量が少なかった。噛む力が健康余命と関連することを示した縦断調査結果も示されている(日補綴会誌 2012; 4: 380-387)。

 「咀嚼機能が低下して噛めなくなると、軟らかいものばかり食べるようになり、咀嚼機能がさらに低下する。こうした悪循環の中で摂取食品数が減って低栄養を招き、身体的フレイルにつながる」と同氏は説明した。

口腔・栄養・運動への複合的介入が有用

 渡邊氏らは、口腔と栄養の状態にともに関連する指標として、食欲に着目した研究を行っている。特別養護老人ホーム入所者350人の食欲を食欲調査票CNAQを用いて評価し、予後との関連を検討したところ、CNAQスコア28点超の群(食欲維持群)では、以下の群(食欲低下群)と比べ1年後の死亡率が有意に低いことを見いだした。

 そこで同氏らは、フレイル予防では食欲が重要な役割を果たすと考え、食欲向上を目的とした介入研究を実施した。地域在住のフレイル高齢者を口腔機能向上・運動器の機能向上・栄養改善を目指し複合的なプログラムを行う介入群、または対照群にランダムに分け、3カ月間のプログラムを完遂した131人(介入群69人、対照群62人)を評価した。

 その結果、介入群ではプログラム導入前に比べCNAQスコアが有意に上昇。また、口腔内細菌数の減少、オーラルディアドコキネス回数の有意な改善が見られた。栄養面では、嗜好飲料摂取量の減少、鉄、ビタミンC、食物繊維の摂取量の増加が認められた。

 「オーラルフレイルの改善は食欲を向上させ、適切な栄養摂取に寄与する。これにより身体的フレイルが回復し外出などを楽しむことが可能になれば、精神・心理的、社会的フレイルの改善につながる」と同氏は述べた。

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