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どう増やす? 糖尿病患者の筋肉量

糖尿病患者におけるサルコペニア対策

2017年03月10日 09:00

 恵寿総合病院(石川県)臨床栄養課の小蔵要司氏は、糖尿病患者の筋肉量を増やすためには運動と栄養補給が重要だが、運動を積極的に行っている期間は、エネルギー量だけでなく蛋白質の摂取量も増やす必要があることを第20回日本病態栄養学会(1月13〜15日)で指摘した。

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筋肉量増加が血糖値改善につながる

 多くの疫学研究から、糖尿病患者はサルコペニアを発症しやすいことが示されている。高血糖やインスリン抵抗性、炎症性サイトカイン、糖尿病に関連する内分泌変化が筋肉に悪影響を与え、骨格筋量の減少を加速させることが主な理由と考えられている。

 骨格筋はエネルギー代謝を担う器官であることから、サルコペニアを有する糖尿病患者では、骨格筋量の増加が血糖値改善につながる可能性がある。よって、糖尿病患者の筋肉量を増やすことは重要な課題だと小蔵氏は強調する。

 筋肉量を増加させるためには、レジスタンス運動に加え十分なエネルギー、蛋白質の補給が重要である。糖尿病患者については、適切な血糖管理の下にこれらを行うことが求められる。

エネルギーだけでなく蛋白質も十分量摂取を

 ただし、患者が置かれた状況を把握した上で的確な運動・栄養介入を行わなければ、筋肉量の増加には結び付かない。小蔵氏は、サルコペニアと診断されたものの、筋肉量を増やせなかった糖尿病患者の事例を提示した。

 症例は、窒息と誤嚥性肺炎の診断で入院した80歳代の男性糖尿病患者。サルコペニアと診断されたため、急性期は医原性サルコペニアの進行を最小限に抑え、回復期に筋肉量を増やすことを目指し、1日当たりの摂取エネルギー量1,550kcal(理想体重×25kcal)、蛋白質量62g(同×1g)という栄養ケアプランを立てた。リハビリテーションは1METs×3単位から開始し、漸増することとした。

 しかし、入院50日目ごろに2.5kgの体重減少が認められたことから、血糖コントロールが良好なことを確認した上で、摂取エネルギーを2,180kcal/日に増量。また、リハを3METs×9単位/日に強化し、退院までの約1カ月間継続した。

 その結果、退院時の体重は入院時と同等の水準に戻り、筋力の指標である握力の改善も認められた。ところが、筋肉量の指標である下腿周囲長や、超音波エコーを用いて測定した大腿四頭筋厚には変化がなかった。

 本症例で筋肉量を増やせなかった原因として同氏は、介入期間が短かった他、リハの強度が不十分だった可能性があると考察。さらに、リハを強化した際、エネルギー量は増やしたものの、蛋白質量は据え置いた点を挙げ、「リハを積極的に行っている期間は、エネルギーだけでなく蛋白質も増量すべきだったかもしれない」と述べた。

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