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「処方しないの?なんで?」→「提案しよう」   薬剤師目線でケアプランは変わる

ケアマネ研修から見えてきたこと

2017年04月13日 00:08

平成28年度のケアマネ試験に合格し、ケアマネになるための研修を受講中の雜賀さん。ケアマネの研修を通して薬剤師が介護の現場(在宅)に介入することの意義を見いだしたエピソードをご紹介いただきます。

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ただ今、平成28年度の介護支援専門員実務研修を受けている真っ最中です。

この研修、介護支援専門員実務研修受講試験(ケアマネ試験)に合格すると参加することができます。試験に合格し、研修を終えて、晴れてケアマネジャーを名乗れるわけです

ケアマネ資格取得の動機は
介護の仕事を知りたいという気持ち

普段の在宅業務でケアマネと関わる中で、介護制度の仕組みやケアマネの仕事内容などについて理解が不十分なことが多く、介護についてもっと勉強する必要性を感じていました。「漫然と勉強するのではなく、目標を立てようか」と思いつき、試験の合格を目標にしました。

しかし、「絶対、試験に受かってやる!」という強い意志があったわけではなく、「ノンプレッシャーで受験したら、直感が冴えわたって合格できた」というのが正直な感想です。

今年のケアマネ試験の合格率は約13%。過去最低だったそうです。出題60問のうち、医療関連の問題はたった5問。私にとってはどれも難問でした。

内容が拡充されたケアマネ研修
参加者は介護職が大半、アウェーの薬剤師

今年、研修は内容が拡充し、17日間の座学、模擬ケアプランの作成実習、3日間の見学観察実習が加わりました。昨年までと比較すると、受講に必要となる時間は3倍以上です。

座学ではロールプレイによる演習があります。受講者の8割以上を介護職が占める中、薬剤師の自分がぽつんといる感じです。完全にアウェーの心境でした。

そのロールプレイで1つ、面白い事例検討がありました。

ケアプランを作成するロールプレイで見えてきたのは

高齢者の事例(模擬事例)
77歳の女性、要介護度2、ご主人と自宅に居住。
脳梗塞による片麻痺、脊柱管狭窄症、座骨神経痛、高血圧、糖尿病と糖尿病性末梢神経障害の持病を有する。
主訴は糖尿病性末梢神経障害を疑うしびれや痛み。
治療薬は高血圧治療薬、鎮痛剤が近医より処方されている。たびたび飲み忘れることがある。

この方を支えるためのケアプラン作成をするロールプレイでした。

私のチームで介護職からあがった回答は、下記のような内容です。

  • リハビリを入れる
  • デイサービスに行き運動をしてもらう
  • 栄養士を入れて栄養指導をしてもらう
  • 服薬状況を改善するためにご主人に説明し、介助してもらう。

他の多くのグループでも同様の発表をしていました。

しかし、医療職であれば別のアプローチを提案するのではないでしょうか。

症例を見て、すぐに気がつくと思います。脳梗塞の既往症がある人に対して無治療のまま経過することの怖さ、糖尿病性末梢神経障害が出るまで糖尿病が悪化しているのに糖尿病治療薬を何も服薬していない異常さ――。

この方が現在処方されている薬を完璧に服薬できるようになっても、改善が見込めるのは痛みの軽減と血圧降下くらいです。しかし、その点を指摘する意見は出ませんでした。

私は、「この事例では、まず医療介入。ケアよりも、処方追加(処方再検討)が必要だ」と主張しました。しっかりと処方内容を立て直すことが先決。状態が安定したらケアを充実させていけばよいと思います。

医師が処方しない→処方提案しよう
という考え方は薬剤師しかできない

介護職の方は医療を学んでいません。「医師が処方しない=服薬の必要がない」と思っています。「医師からの処方をしっかりと順守すればよい。あとは介護を充実することで状態改善ができる」という、思い込みのようなものがあるのだと思います。

そこに、薬剤師の目線を反映すると、組み立てていたケアプランが根底から変わってきます。薬剤師は、「医師が処方しない→え?飲んだ方がいいのでは?→処方提案しよう」と考えます。

リハビリや栄養士をすぐに導入しようというケアプランにはなりません。

薬剤師の介入が不十分な在宅の現場では、この事例のように、問題を問題とすら感じていないケースが山ほど埋もれている気がしました。模擬事例なので、実際にはこのような患者さん(利用者さん)はいないとは思いますが――。

医療は生活の一部にあるという在宅の視点
ケアマネの研修を通して、身についた

正直なところ、ケアマネ資格を取得したり勉強することが、薬剤師業務に直接どのような効果をもたらしてくれるのかは分かりません。ただ、薬剤師がケアマネ資格を持っていると、他職種から「介護に理解がある薬剤師かな」と見てもらえるんじゃないかと、漠然とですが思っています。

また、研修を通して視野が広がりました。在宅では医療だけを見ていても円滑には回りません。医療は生活の一部にあるという視点は、介護の勉強をして初めて身に付くものかな、と思いました。

(関連記事)『知ってる?ケアマネジャー(介護支援専門員)教えて!他職種の仕事』

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