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パートナー制度の目的とは 狭間氏が講演

第1回日本在宅薬学会パートナーシンポジウム

2017年04月25日 11:30

 薬剤師や薬局に求められる機能が調剤業務にとどまらず、幅広いものになりつつある中、非薬剤師スタッフによる薬剤師の業務支援施策「パートナー制度」の導入が模索されています。その目的とは何でしょうか。薬剤師の過重労働の改善や人員不足の解消、経営効率の向上でしょうか。日本在宅薬学会理事長の狭間研至氏は、これらを目的としたものであってはならないと強調しました。今回は、第1回日本在宅薬学会パートナーシンポジウムから「パートナー制度の目的とは」と題した同氏の講演をレポートします。

【第1回日本在宅薬学会パートナーシンポジウム】

「在宅業務におけるパートナーの現状と今後の展望〜薬剤師が現場で専門性を発揮するために〜」

日時:2017年4月23日(日) 13:00~17:00

会場:大阪国際会議場(グランキューブ大阪)

主催:日本在宅薬学会

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日本在宅薬学会理事長
狭間研至 氏

薬剤師が薬を飲んだ後までフォローすれば薬物療法の質は向上する

 非薬剤師スタッフによる薬剤師業務支援の目的は何か。日本在宅薬学会理事長の狭間研至氏は、自身が経営するハザマ薬局での「パートナー制度」導入の経緯を紹介しながら解説。薬剤師には服薬後の状態も薬学的にフォローアップし、薬学的知見に基づく指導義務を果たす必要があり、そうした対人業務に専念するための時間・体力・気力を温存することが、非薬剤師スタッフとの業務連携「パートナー制度」導入の目的であると強調した。

 同氏は、高齢社会における地域医療の現状課題として、多剤併用と薬剤性有害事象を挙げる。この課題を解決するためには、薬剤師が服薬後の状態を薬学的にフォローアップし、薬学的知見に基づく服薬指導義務を果たすことが必要だと考えた。

 そこで、医師の訪問診療に薬剤師が同行した後、次回医師の訪問診療の前に薬剤師が単独で訪問し、薬学的に患者の状態を確認、そこで得た情報を医師にフィードバックし、次回の処方内容をより良いものにするよう処方提案するというPDCAサイクルを実践した。同氏はこの連携により、1人あたりの投薬数などが減少したことを報告。「"薬剤師の参画により医療の質が上がるmade in Japanのデータは初めて見た"との反応が寄せられた。現場のアウトカムを薬局から提示するのも極めて重要だ」と述べた。

パートナーとの連携により薬剤師が対人業務に注力可能に

 一方、大きな問題があることも分かった。薬剤師がなすべき対人業務が増大したことで、過労と採算性の問題に直面したのだ。そこで同氏は、在宅業務の見える化、機械化・ICT化、薬剤師と非薬剤師スタッフの連携強化を模索した。

 在宅業務の見える化を進めるべく薬剤師業務を精査したところ、実に26項目130工程存在することが分かった。例えば、お薬カレンダーへの薬剤の入れ込み業務には、錠数確認、一包ずつに切り分け、カレンダーへの入れ込み、曜日・用法ごとに1日目と同じかを確認といった工程がある。これら全てを薬剤師だけで行うべきかを検討した。その観点は「薬学部教育で学んだか否か」。対物業務か対人業務かを精査し、薬剤師が対人業務に傾注できるよう、正規雇用の非薬剤師スタッフと連携する「パートナー制度」を導入するに至った。居宅療養管理指導の契約などの事務手続き全般や訪問時の自動車運転はパートナーが担う。調剤や配薬業務も機械による自動化とパートナーとの連携を進めた。薬剤師の負荷が軽減し、薬学的専門性を発揮する対人業務に注力できる業務環境が整うにつれて、契約患者数、指導管理回数が増加。また、後発医薬品への変更確認も居宅療養管理指導契約時に取得することで後発医薬品の調剤数量が全店舗平均78.5%に至っている。労務環境にも変化が生まれ、業務量は増加しつつも薬剤師の残業時間が軽減、薬剤師と薬局事務の離職率が著しく減少したという。

パートナー制度の目的は薬物療法の質的向上

「パートナーのあり方や非薬剤師業務を考えることは、業務の効率化や負担軽減ではなく、薬剤師の本質的業務とは何かを考えることだ」と狭間氏は言う。パートナー制度導入の目的は、薬剤師が本質的業務である対人業務へのシフトを可能にし、薬物療法の質的向上を図ること、この目的を取り違えることなくコンセンサスを形成したいとした。

 最後に同氏は「薬剤師によるバイタルサイン確認を提唱した際にも、さまざまな異論があった。薬剤師がバイタルサインを確認する目的は、調剤した薬剤を服用した後の患者の状態を把握することにある。薬剤師がバイタルサインを取るのはあくまでもその手段。このコンセプトを見誤らないよう実践を重ねた結果、今や6年制薬学部教育のコアカリキュラムに盛り込まれるに至っている。この経験と同様、法解釈や行政との足並みを揃えながら、パートナーという新たな職種の確立と育成を進めていきたい」と締めくくった。

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