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薬剤師のための漢方薬講座/痩せ目的の下剤乱用に注意を!

2017年05月09日 07:59

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亀田総合病院 東洋医学診療科
南澤 潔 氏

目次

  • 便を出しても痩せはしない
  • 防風通聖散は意外に怖い薬。医師管理下での使用が好ましい

便を出しても痩せはしない

便秘だから太っている、と思いこんでいる人は多いようで、ダイエット目的で下剤を服用する人がいると聞きます。

果たして、便が出れば体重が減るのでしょうか?残念ながら排便前後の体重変化はせいぜい1kg、通常は数百g程度でしょう。ぜひご自分でもお試しください(^^) 排尿でも300~400g減りますので、体重計の数値に「これは便が数日もでてないからだ!」と懸命に言い訳して安心している人は、認識を改める必要があります。大便て、けっこう水に浮くでしょう?水より軽いわけです。お腹にためられる便なんてたかが知れていて、そんなに何キログラムもたまるものではありません。

下痢すれば痩せそうな印象があるのかもしれません。しかし、刺激性下剤は通常大腸に作用しますが、食物残渣が大腸に達したときには栄養素の吸収はほぼ終わっています。それをいくら出しても痩せたりはできないでしょう。

医学的には、正しく痩せるというのは「体脂肪を落とすこと」です。体重は体内水分量の影響を受けやすいので、下痢をして脱水にでもなれば一時的には体重は減りますが、それは痩せたとはいえません、単なる脱水。痩せ目的での下剤乱用には、薬剤師の先生方もぜひ目配りをお願いします。

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防風通聖散は意外に怖い薬。医師管理下での使用が好ましい

漢方薬でも、瀉下活性のある防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)が肥満解消薬として広く売られており(多くは別の名前で売られている)、安易に服用する人がいるようです。防風通聖散は、証にあった患者さんでは確かに腹腔内脂肪が減ることがあるようです。が、個人的な印象では適応患者さんはかなり少ないと思われ、僕が自分の患者さんに処方することは滅多にありません。本来は暑がりな陽実証の人に用いられる、かなり激しい薬です。

また黄芩(おうごん)や山梔子(さんしし)、大黄、芒硝、麻黄など、漢方薬の中では注意が必要な生薬も多数入っており、本来は慎重な経過観察が必要です。なかでも黄芩の間質性肺炎、肝障害といった副作用は、発生自体は稀であるものの、いったん発症したら早期に適切な対処がなされないと致命的になる可能性があります。少なくとも医師の管理下での使用が望ましいと個人的には考えており、昨今の売られ方には憂慮しています。

◆執筆者◆ 南澤 潔 氏Dr.Minamizawa_web.png


医学博士
日本東洋医学会 漢方専門医・指導医
日本内科学会  総合内科専門医・指導医
日本救急医学会 救急科専門医 

【ご略歴】
1991年 東北大学医学部 卒業
1991年 武蔵野赤十字病院 研修医
1993年 富山医科薬科大学(現 富山大学)和漢診療科
1995年 諏訪中央病院 内科
1996年 成田赤十字病院 内科
1999年 麻生飯塚病院 漢方診療科
2001年 富山大学 和漢診療科
2006年 砺波総合病院 東洋医学科 部長
2009年 亀田総合病院 東洋医学診療科 部長

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