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ひとり薬剤師 できる できないは経験の差

Ph.リトーが編集部にやってきた

2017年05月12日 15:30

こんにちは、編集Tです。

『Ph.リトー ひとり薬剤部 from小笠原』は、PharmaTribuneウェブで連載を開始して約半年が経ちました。離島での1人薬剤部の業務への関心が高いのか、はたまた、本土から遠く離れた南の島での生活が興味深いのか、人気の高いコーナーの1つとなりました。

4月末、ゴールデンウィーク休暇の上京に合わせて編集部に遊びに来てくれました。せっかくの機会だったので、いろいろとお話を聞かせてもらいました。

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いずれ小笠原を離れるとき
気がかりなのは在庫管理などの引き継ぎ

キャラ編集T100100.png(編集T):小笠原では離職率が高いと伺っていますが、小西さんもいずれ小笠原を出られるのでしょうか。
Phリトー小西氏アイコン.JPG(小西氏):そうですね、小笠原を出て、次は調剤薬局で働きたいですね。場所はどこでもよいです。また離島でもいいです。
キャラ編集T100100.png旅人気質ですね。それでもあえて次の職場を選ぶなら、どこでしょう?
Phリトー小西氏アイコン.JPG金沢、仙台、盛岡、松山、高知あたりでしょうか。これらは、これまでに行った場所の中でも、また行きたい、暮らしてみたいと思っている場所ですね。
キャラ編集T100100.pngいずれ小笠原を離れる――。そのときに心残りになることがあるとしたら何でしょう?
Phリトー小西氏アイコン.JPG在庫管理などの感覚を引き継ぎでちゃんと伝えられるのかということです。おがさわら丸の運行スケジュールの都合上、薬の入荷は1週間に1度しかできない小笠原ならではのコツがあったりするので。
キャラ編集T100100.png3年かけて培われたノウハウを短期間の引き継ぎで伝えるのは大変そうです。
Phリトー小西氏アイコン.JPGいつ引き継ぎの時期が来ても大丈夫なように、薬剤部業務のマニュアルを作成しているのですが、すでに50ページを超えています。前任者からの引き継ぎ時には8ページだったのですが、仕事が増えたのか、いろいろと身につけたことが多かったのか......。
キャラ編集T100100.pngこれまでの記事でも紹介してくださっていますが、小笠原診療所の2代目薬剤師として、それまで薬剤師が担当していなかった業務などにも着手されていますね。小西さんが3年かけて身につけた今の仕事さばきが、次の方の就任時の基準になると......。
Phリトー小西氏アイコン.JPG失敗することとかもあると思いますよ。私自身、失敗ばっかりしましたから。でも失敗から身につけたことがたくさんあるんです。だから、それでよいと思います。大変だとは思いますが。
キャラ編集T100100.png小西さんは、原稿にも赤裸々に失敗談を書いてくださいますよね。
Phリトー小西氏アイコン.JPG人の失敗談って面白くないですか?だから隠さず、あえて書いているということはありますね。事実ですし。
キャラ編集T100100.png母島に行っている時に父島で在庫不足になっていた!」とか、「小笠原赴任初日、一緒に届いているはずの荷物が未着で空っぽの部屋でスタートした!」とか......すごい経験をさらりと書いて、悲壮感を感じさせない筆力がさすがだと思っています。これからも、どうぞさまざまな失敗談をお聞かせください(笑)。

ひとり薬剤師の責任から逃げたいこともあるが
四方が海では逃げようがない

キャラ編集T100100.png失敗を重ねてきて今がある、というわけですが、正直なところ、あまりにも小笠原での業務が大変で「もう辞めたい!!」「内地に帰りたい!!」と思ったことはありませんでしたか?
Phリトー小西氏アイコン.JPGありますよ!ひとり薬剤師としての責任は大きいです。失敗したときなんかは辞めたいって思うこともあります。
それから、ひとり職種だから、自分の業務量を自分しか知らないことにジレンマを感じるときがあります。夜勤もない、当番制でもないから、「それほど大変な業務ではない」と思われていて他職種からの風当たりを強く感じることもあります。似たような悩みは理学療法士など、ほかの1人職種の方も持っているのではないかな。
キャラ編集T100100.png自分の業務を理解してもらえるように伝えられればよいですね。他職種や患者(生活者)に薬剤師の業務を理解してもらえていないという悩みは、小笠原に限らないと思います。「私はこんなことやってます」って、あんばいよく伝えるのって難しいですよね。
Phリトー小西氏アイコン.JPGそうですね。今は何も伝えていないです。いなくなったときに分かるかなっていう感じです。ひとり薬剤師としての業務の大変さも、他職種からの風当たりの強さもありますが、四方が海で逃げられる場所がないし(笑)、つらさ以上にやりがいを感じられる職場だと思って続けてきた感じですね。

ひとり業務を恐れないでほしい
できるかできないかは経験の差だけ

キャラ編集T100100.pngコラムを読んだ方から「いつかは離島業務に着手してみたい」「今は子育て中で無理だが、生活が落ち着いたら小笠原みたいなところで働きたい」というような感想が送られてきています。このような方々にメッセージをいただけますか。
Phリトー小西氏アイコン.JPG離島でのひとり薬剤師の業務は不安だ、難しそう、といった印象を持つ方は少なくないでしょう。でも、できるかできないかは、経験の差によるものだったりします。先ほども述べましたが、失敗はたくさんするでしょうが、必ずできるようになると思います。ひとりであれこれやらなきゃいけないから、自ずと経験は豊富に得られます。逆に、失敗を恐れていたら経験は得られません。自分の薬剤師としてのキャリアを積む一環としても、離島業務は良い経験になると思いますよ。生活が一段落してから来られるという方は、腰を据えて離島業務に励まれるでしょうね。結構離職率も高いので、長く続けてくれる方は歓迎されると思います。
一方で、新卒や若い人が離島でキャリアを積むという選択も"あり"ではないでしょうか。若いうちに離島業務を経験しておけば、薬剤師としての力がつくと思います。新人で何も知らないから離島なんて無理だと恐れないで、是非チャレンジしてほしいです。
キャラ編集T100100.png薬剤師業務を未経験の状態で小笠原に来て、様々に工夫して今の業務を作り上げてきた小西さんだからいえる、説得力のある言葉ですね。いろいろと聞かせていただきありがとうございます。これからも小笠原でのひとり薬剤部の原稿を楽しみにおまちしています!

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最後は編集S(顔出しOK出ました)と記念撮影

キャラ編集T100100.png(編集T こころの声)小西さんは薬学部を卒業されたあと、理学部の大学院へ進学し、放射線の研究をされていたそうです。その時期から、日本各地を訪れる生活をしていたそうで、津々浦々でのご経験などをお話いただきました。記事に書ききれなかったのですが、学生時代の研究の話や私生活の話も聞かせていただく中で、とにかく好奇心が旺盛な方だという印象を持ちました。小笠原で様々に試行錯誤しながら、よりよい業務の形を探していくのは、研究者気質によるものなのかもしれません。偶然ながら小西さんと私は同い年でした。まあまあ"よい年齢"なのですが、これからもチャレンジを続けていこうという姿勢に学ばせてもらうものがありました。

小西さんが小笠原診療所で奮闘する様子はこちらのコラムでご覧ください。
小笠原のマメ知識も少しずつ得られるかも!?

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【コラムコンセプト】
僻地や離島の薬剤師業務って、給料は高いだろうけど、周りに何にもない不便な所で大変そうなイメージがある。それに不便な地で「生活」もしていかなければいけないから結構な覚悟が必要そうだ。......けど実際のところはどうなの?そんな興味と疑問を併せ持つ薬剤師のために、日本で最も行きにくい離島で働く薬剤師が送るコラム連載。良い面悪い面全てを含め、離島におけるありのままの薬剤師業務や生活を、面白おかしくお伝えしていけたらと考える。堅苦しい薬の記事の合間にここを読めば、「私は都会でないと無理だ...」と思っている人も、(保証はできないが)案外すんなり僻地でもやっていけるかもしれない。

【小西良典氏 プロフィール】cfe16ed4007e8fd8d26248d6a2afad043c7a3e9f.jpg
大学卒業後薬学部ではなく理学部の大学院に進学。博士課程を中退。その後、ドラッグストアなどで働きながら全国を旅する生活を続けて8年あまりのある日、旅行先の小笠原村が薬剤師を募集していることを知り、勢いで出願。見事採用され、以後、父島の診療所に勤務。旅行経験から、全国どこの街でも道に迷わない自信がある。趣味は工作、パソコン、料理、ロシア語など多数。最近は、毎日録画をしている昼の映画や海外ドラマを片付けるだけで週末が終わっていく。
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