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耐性菌問題に日本が果たす役割とは

薬剤耐性対策アクションプランの意義を解説

2017年05月16日 11:30

 世界規模で進行する薬剤耐性菌に関する問題に対処するため、わが国は2016年4月、国際的に脅威となる感染症対策関係閣僚会議において薬剤耐性(AMR)対策アクションプランを策定し、以降5年間にわたり、「適切な薬剤を」、「必要な場合に限り」、「適切な量と期間」で使用するよう政・官・産・学が共同して国民運動の展開を目指すことになった。同プランの具体的内容やそれに基づきわが国が果たすべき役割について、国立国際医療研究センター国際感染症センターセンター長の大曲貴夫氏が第91回日本感染症学会/第65回日本化学療法学会(4月6~8日)で概説した。

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対策に必要なデータの集約・共有や連携体制の構築を

 同プランは①普及啓発・教育②動向調査・監視③感染予防・管理④抗微生物剤の適正使用⑤研究開発・創薬⑥国際協力-の6項目から成る。

 ①ではAMR対策推進国民会議(仮称)を設置し、AMRのリスクを国民に周知するよう努め、特に入院・外来患者や小児、高齢者といったAMRリスクが高い層の特徴を踏まえたツールを作成・配布するとした。また、医療関係者などへの教育、研修を図るために、AMRや感染症に関する情報を取得・活用できる環境も構築するという。

 ②ではAMRに関するサーベイランスやモニタリングを行うことと、その情報源として初診・再診料や入院基本料といったレセプト情報(NDB)や外来・入院患者の薬効別処方薬数などの情報も利用して、抗菌薬の情報や使用量の収集を拡充するとした。

 ③については、各地域の医療関係機関をネットワークで結び()、必要があればAMR感染症の専門家を各地に派遣できるように人材プールを創設するという。

図. 地域感染症対策ネットワーク(仮称)

1705010_ph1[1].jpg(大曲貴夫氏提供)

 また、④の推進に資するガイドラインやマニュアルを整備し、⑤では日本医療研究開発機構などを中心とした新規ワクチン、診断薬、治療薬、検査法の研究開発を進め、産学官が連携した組織を立ち上げ、同様の研究開発やAMRの発生・伝播の解明につながる研究も行うとされた。

 さらに、AMR対策を推進するためには国際的な視野で多分野の組織と協働することが不可欠である点を踏まえ⑥の項目を掲げ、世界保健機関や国際獣疫事務局、国連食糧農業機関などとの連携も図る方針である。

 大曲氏は「AMRアクションプランは日本の感染対策に変革を起こし、未来に向けた持続可能な医療環境の実現に大きく貢献するだろう」と見通しを示した。

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