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カーナビ不要、洗車不要

小笠原の車事情

2017年05月18日 07:30

いきなり私事ですが、先月車のバッテリーが上がってしまいました。徒歩でも車でも、通勤時間はせいぜい5分程度なので、普段あまり車には乗りません。バッテリーのトラブルはこれで2度目、こういうことは突然やってくるから困ったものです。

目次

  1. 面倒な車のトラブル、島だと特に
  2. 島民は近い距離でも車に乗る
  3. 医師だけは車通勤が原則
  4. 昼休みに私用のために車に乗る
  5. 自動車免許は父島で更新できる
  6. 教習所も高速道路もない
  7. 車とはゆるい付き合い

面倒な車のトラブル、島だと特に

車関係のトラブルは面倒です。

今回の場合、まず同じ型番のバッテリーをネットで注文しました(色々考えると、充電器を買うより得な気がした)。これがおがさわら丸に運ばれ、到着するまで1週間。新しいバッテリーが手に入ったものの、適当なサイズの工具が家にない。診療所で借りることにしたのですが、つい借りるのを忘れて帰ったり、今度は忘れず借りて持ち帰ったもののサイズが違った、サイズも交換して準備ができたが単に交換作業が面倒......といった感じで、車が復活するまでに結局、3週間近くもかかってしまいました。

ちなみに島には整備工場があり、車検も含めて車のトラブルは全て迅速に対応(といっても船のスケジュール次第)してくれるのですが、当然、費用はそれなりにかかってしまいます。

島民は近い距離でも車に乗る

父島は狭い島。3週間ほど車に乗らずにやり過ごしましたが、私に限らず、ここでは車が無くてもそれほど不自由を感じずに過ごせてしまいそうなものです。ところが島民は車に乗ります。わずか5分の道のりでも、歩いたほうが早くても。ガソリン代が1Lあたり230円以上しようとも、なぜか車に乗る人が多いです。

医師だけは車通勤が原則

車は往診用も兼ねるため、医師は車通勤を原則としていますが、薬剤師の場合は、現在のところ在宅訪問をしていませんし、業務上で車に乗ることはありません。私の場合、車に乗るのはもっぱら私用時。買い物に行くときと役場や郵便局、宅配便事務所に行くとき。あとは誰かの送迎や、町から少し離れた場所に用事があるときです。

昼休みに私用のため車に乗る

島外へ荷物を送る場合、私は郵便局か運送会社の事務所へ持ち込むことにしています。どちらも暑い中、家から荷物を抱えて歩いていくには遠い場所にあります。しかも郵便局や事務所、役場は診療所での仕事が終わって帰宅する頃には、とっくに閉まっています。用事がある場合は、1時間半ある昼休みの間に行くしかありません。ついでに買い物も済ませてしまいます。

日中の車の中では、2月から冷房を入れる」と以前書きましたが、このように平日の昼休み、車に乗る機会が多いわけです。

島外への荷物の発送は、船のスケジュールに左右されます。「おがさわら丸父島出港日」の午前10時までに郵便局へもっていけば、その日の出航便に載ります。平日の午前10時までに荷物の持ち込みは無理なので、郵便にしても宅急便にしても、前日の昼休みまでに持っていかなければなりません。なお、郵便局は日曜が出港日なら営業しています。

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父島で信号機が設置されているのは2ヶ所。こちらは清瀬交差点。島の南部、清瀬(住宅地)、二見港(島の玄関)周辺から来る道路が交わり、交通量はかなり多い(とはいっても、しょせん「離島にしては」であるが)。二見湾の南側や島の南部へ向かう道路は、現在のところ遊歩道を除けばこの写真正面に見える道一本しかないため、防災上問題となっている。なお、母島には信号機は存在しない。

自動車免許は父島で更新できる

車と言えば、免許の更新も面倒なイベントになります。実は最近知ったのですが、自動車運転免許の更新であれば、島内でもできるようです。仕事をしていたら都合よく上京はできません。更新のタイミングで上京できなかったら、下手をすれば免許失効か?上京休暇中に門真か光明池(運転免許試験場があるので、大阪の人ならみんな知ってる地名ですよね)に行かないといけないのかな、と思っていましたが、この点は一安心です。

一方同じ運転免許でも、小型船舶免許は島内での更新ができません。私の小型船舶免許は来年、上京して更新しなければいけません。頭の痛い問題です。もっとも、島内には船を貸してくれるようなサービスはなく、身分証明のほかにこの免許を使うことはありません。

教習所も高速道路もない

車検や免許の更新はできますが、島内に教習所はありません。原付以外の運転免許は上京しないと取れません。島民にとっては高速道路の教習に苦労するようです。なにしろ、島内には高速道路がありませんので。

なお、父島では2か所に信号機が設置されていて、交差点になっているところもあります。他の離島と同様、「島で育った子供が将来島を出たとき、初めて見る信号機に戸惑わないように」という意味合いもあるかと思うのですが、交差点は割と交通量が多く、信号機の役割は十分に果たしています。

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二見港ターミナル前の信号。私が初めて島に来た頃(3年半ほど前)は押しボタン信号だったが、1年ほど経った頃、普通の信号に変わった。おがさわら丸の入港時や出港時、ターミナル周辺は見送りや観光客などで大混雑する。送迎の車も非常に多く、時間ぎりぎりに行ったら近くに停車できないことも多い。

車とはゆるい付き合い

狭い島ゆえ、カーナビは要りません。どうせすぐ汚れるので、洗車なんてほとんどしません。たとえ車を盗られても、必ず島内のどこかで見つかることになるので、盗る人なんていません。車とはゆるい付き合いをしています。

島における車事情はこのような感じです。やはり内地とは大きく異なるように思います。

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東京へ向けて出港していくおがさわら丸を、二見港の裏手にある山から眺めた。岸壁に停めてある車の数に注目。ほとんどが送迎の車だと思われる。職員が休暇などで上京する際、当然ながら車を岸壁に置いたまま乗船するのは禁止されている。ちなみに小笠原では車庫証明は要らない。

【コラムコンセプト】
僻地や離島の薬剤師業務って、給料は高いだろうけど、周りに何にもない不便な所で大変そうなイメージがある。それに不便な地で「生活」もしていかなければいけないから結構な覚悟が必要そうだ。......けど実際のところはどうなの?そんな興味と疑問を併せ持つ薬剤師のために、日本で最も行きにくい離島で働く薬剤師が送るコラム連載。良い面悪い面全てを含め、離島におけるありのままの薬剤師業務や生活を、面白おかしくお伝えしていけたらと考える。堅苦しい薬の記事の合間にここを読めば、「私は都会でないと無理だ...」と思っている人も、(保証はできないが)案外すんなり僻地でもやっていけるかもしれない。

【小西良典氏 プロフィール】cfe16ed4007e8fd8d26248d6a2afad043c7a3e9f.jpg
大学卒業後薬学部ではなく理学部の大学院に進学。博士課程を中退。その後、ドラッグストアなどで働きながら全国を旅する生活を続けて8年あまりのある日、旅行先の小笠原村が薬剤師を募集していることを知り、勢いで出願。見事採用され、以後、父島の診療所に勤務。旅行経験から、全国どこの街でも道に迷わない自信がある。趣味は工作、パソコン、料理、ロシア語など多数。最近は、毎日録画をしている昼の映画や海外ドラマを片付けるだけで週末が終わっていく。

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