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薬剤師としての可能性を求めてカナダに

2017年06月05日 10:55

みなさん、こんにちは。青山と申します。

私は、日本で薬学部を卒業した後、カナダへ留学し、カナダの薬剤師になりました。現在は、短期的に日本の調剤薬局で働いていますが、いずれまたカナダに戻り、カナダで薬剤師として働く予定です。

カナダの薬剤師事情を日本での業務に援用できれば

さて、カナダでは最近、薬剤師が安楽死プログラム (MAID : medical assistance in dying、医療による安楽死 )に関与するようになりました。安楽死への取り組みと聞くと、「えっ?」と驚き抵抗を感じる方もいるかもしれません(少なくとも私はそうでした...)。あくまで、医師から認定をうけた適格な患者に対して、適切な薬を調剤するというだけのことですが、これも薬剤師の仕事の1つになりました。

カナダの薬剤師業務の領域( Scope of pharmacy practice)は、ここ何年間の間に目まぐるしく変わりました。ワクチン接種だけでなく、麻薬依存症の治療プロジェクト(Methadone Program)や 薬の見直しサービス (Medical Review)が追加され、現場の薬剤師はこれらに対応できることが求められています。

このようなカナダの事情を知って、「海外ってすごいな。日本では到底ムリだな」と思われましたか?しかし、このコラムは、海外と日本の違いをみなさんに知ってもらうことが目的ではありません。カナダの薬剤師事情を日本の薬剤師の実務に照らし合わせ、明日から実践できる業務を考えていきたいと思います。

今回は第1回目。難しいことは抜きにして、『なぜカナダの薬剤師になろうと思ったのか』、これまでの私の略歴を踏まえて書いていきたいと思います。

カナダの一包化をキャンディーで作ってみた.jpg
カナダの一包化(Blister Pack)をキャンディーで作ってみた

日本の薬剤師は決定権がないから何もできないのか?

私は、名古屋で薬学部を卒業した後、中規模の急性期病院で病院薬剤師として4年間働きました。当時、毎日が新しく学ぶことばかり。仕事にやりがいを持って働いていました。その一方で、薬物療法の決定権を持つのは医師であるという事実から、薬剤師としてできる業務の限界も感じていました。

薬剤師として何をどのように勉強すれば、より良い薬物療法が提案できるのか、当時は全くわかっていませんでした。逆に、「薬剤師に決定権がないから何もできない」と思い込むようになり、「今の環境とは違うところで働きたい」と考えるようになりました。それが、大学時代からの漠然とした憧れであった"海外の薬剤師になること"につながっていきました。

今思えば、疾患の標準治療を知らないことや、患者のアセスメントができていなかったという反省点が見えてくるのですが、この時の自分は「思いたったら行動しよう」という傾向が強かったので、何も考えず海外に行くことを決意しました。

日本の大学卒業資格が生かせるカナダへ

どこの国に行くか考えたとき、最初に候補に挙げたのはアメリカでした。学生時代に1カ月だけ行ったアメリカへの語学留学が、強く心に残っていたからです。しかし、アメリカでの就労への道は非常に厳しいものでした。卒業年度にもよりますが、アメリカで薬剤師になるためには、再度大学に入り直す必要があり、大きな資金が必要。すぐに実現は無理だとわかりました。

そうこう悩んでいるうちに、大学時代に知り合ったフィリピン出身の薬剤師に、「カナダで薬剤師になる」という選択肢を教えてもらいました。カナダでは大学に通い直さなくても試験に受かれば薬剤師になれると知り、病院薬剤師時代に貯金した300万円を持って、カナダへ飛び出しました。

CP3コースを受講したUBCのPharmaceutica Sciencesキャンパス.jpg
CP3コースを受講したUBCのPharmaceutical Sciencesキャンパス

国が違っても「患者のための医療」という目的は同じ

日本と海外の薬剤師を取り巻く環境は違っていますが、やっていることは本質的には同じです。患者のために薬を調剤し、鑑査し、投薬 (服薬指導) する。そして、その薬物療法を評価し、必要であれば問題点に介入して、医師や他の医療従事者とより良い治療方法を再考していくことです。
どこの国で働こうが、医療というものは患者のために存在し、たとえ国が違い、言葉が違い、法律が違っても、患者のために行うという目的は同じです。当たり前のようなことですが、私はカナダにまで行き薬剤師になってやっと分かりました......。

さて、次回からはカナダでの実際の取り組みを紹介し、それを日本に取り入れていける方法を提案していこうと思っています。

Reference: College of pharmacist in BC

【コラムコンセプト】

薬剤師を取り巻く環境は日本と海外で違う。しかし、やっていることは本質的には同じ。患者のために薬を調剤し、鑑査し、投薬 (服薬指導) する。そして、その薬物療法を評価し、医師や他の医療従事者とより良い治療方法を再考していくこと。カナダの薬剤師事情を紹介しながら、日本での業務に取り入れられる方法を考えるコラム。

【プロフィール】プロフィール写真.jpg

1986年生まれ。名城大学薬学部卒。日本の病院薬剤師、調剤薬局、ドラッグストアで勤務した後、カナダへ留学。スプラットショーカレッジの薬剤師アシスタントプログラムを介し、Loblow pharmacyでインターン研修。2015年ブリティッシュコロンビア大学(UBC) CP3コース終了後、2016年カナダ薬剤師免許の取得。

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Twitter:@shinshinskysky

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