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WHOが必須医薬品リストを大幅改訂

2017年06月09日 10:00

 世界保健機構(WHO)は6月6日付プレスリリースで、必須医薬品リストの改訂を行い、一般的な感染症に用いる抗菌薬と最も深刻な状況のために保存すべき抗菌薬を追加した(WHO Model Lists of Essential Medicines)。また、抗HIV薬、C型肝炎治療薬、抗結核薬、白血病治療薬も追加したという。

抗菌薬を3カテゴリーに分類

 今回の改訂でWHOは、成人用30種、小児用25種の薬剤と、既存の医薬品に関する9つの新たな使用法を追加した。これにより公衆衛生に最も重要な必須医薬品は合計433種に上った。

 今回、最も大幅な改訂が行われたのは抗菌薬の部分で、WHOは抗菌薬を「ACCESS」「WATCH」「RESERVE」の3つの新たなカテゴリーに分類し、各カテゴリーの薬剤を使用すべきときに関する推奨を提示した。新たなカテゴリーはまず21の最も一般的な感染症に対する治療に使用される抗菌薬にのみ適用され、有用であることが示されれば将来的に他の感染症に対する治療薬にも適用を拡大させる可能性がある。

 各分類ごとの抗菌薬の推奨については、「ACCESS」では、広範囲の一般的な感染症に対して常に入手可能とすること。「WATCH」には、一部の感染症に対して第一選択または第二選択として推奨されるものが含まれる。例えば、かつて膀胱炎や上気道感染症の治療に使用されていたシプロフロキサシンの使用はさらなる耐性菌の出現を回避するために大幅に削減すべきとしている。「RESERVE」には、コリスチンと一部のセファロスポリンのように、多剤耐性菌感染による生命の危機に陥り他の全ての抗菌薬による治療に失敗したときなど、最も深刻な状況で最終手段として考慮すべきものが含まれる。

 WHOは今回、成人では10種、小児では12種の抗菌薬をリストに追加した。WHO必須医薬品・健康製品部部長のSuzanne Hill氏は「抗菌薬に対する耐性の獲得は、われわれが抗菌薬をいかに正しく使用するか、いかに間違った使い方をするかにかかっている。この新しいリストは、ヘルスケアプランナーと薬剤を処方する者が抗菌薬を必要とする人々に必要な抗菌薬、適切な抗菌薬を確実に入手できるようにするための一助になるだろう」と述べている。

新規抗がん薬、C型肝炎合剤なども追加

 さらに今回の改訂では下記の薬剤をリストに追加している。

  • 標準治療に抵抗性を示す慢性骨髄性白血病に対する治療薬として2つの新しい抗がん薬「ダサチニブ、ニロチニブ」
  • 全てのC型肝炎に対する初めての合剤「ソホスブビル+velpatasvir」
  • HIV感染症の治療薬「ドルテグラビル」
  • HIV曝露前予防投薬として、「テノホビル単剤、テノホビル・エムトリシタビン合剤、テノホビル・ラミブジン合剤」
  • 多剤耐性結核の治療薬「デラマニド」
  • 小児に優しい抗結核薬として、「イソニアジド+リファンピシン+エタンブトール+ピラジナミドの4剤用量固定配合剤」
  • 終末期医療におけるがん患者の疼痛緩和薬として「フェンタニル貼付剤、メサドン」

 WHO事務局長補のMarie-Paule Kieny氏は「いかなるヘルスシステムにおいても安全で効果的な薬剤は必須。全ての人が必要なときに必要な場所で必要な医薬品にアクセスできるようにすることが『ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(Universal Health Coverage;UHC)』に不可欠である」と述べている。

全ての人が、適切な健康増進、予防、治療、機能回復に関するサービスを、支払い可能な費用で受けられる状態

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