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オカンアート薬局へようこそ

――オカンの工夫が結集する場所

2017年06月15日 10:25

こんにちは!いつもと違う咳が出ると思って病院に行ったら、「肺炎」と言われ薬が出たみやQです。処方されたのがアジスロマイシンの"錠剤"でした。子どもたちと親を苦闘に強いる、あの"細粒"ではないため、「大人でよかった」と心から思いました。

小児科の門前薬局にお勤めの薬剤師であれば「あるある」だと思いますが、アジスロマイシンに関わらず、マクロライド系抗菌薬全般に対して「非常にまずくて飲めなかった」と問い合わせが来ることがあります。よって、最近では、チョコアイスに挟む、ココア+砂糖に混ぜて一気に流し込むなど、飲みやすくする方法と、それでも飲めなかった場合の対応を患者さんに説明しています。

―飲めなかったときの対応―

年齢にもよりますが、飲むことで得られる利益を伝えます。もしくは、最初は薬を水で流し込み、後でご褒美に好きなものを食べさせる方法もあります。それでも吐き出した場合、これはもう仕方ないので処方元に連絡し、指示を仰ぐよう服薬指導の段階で伝えています(非常にありきたりですが...)。

余談ですが、タミフルとカルボシステイン製剤(メーカー不問)を混ぜるとウソのように美味しくなります。よく同時に処方されていますし、薬同士なので親にとっては手間も省けます。

さて、我が薬局には、薬の空箱で作られたさまざまな"作品"があります。特に誰かが作成するよう指示するわけでもなく、知らない間に増殖しています。スタッフが、その場の必要に応じて、それぞれの意志で作った"オカンアート"です。

今回は、当薬局のオカンアートを紹介します。

大量の書類は空箱で整理
A4処方箋にはツムラ189包入りの箱!

いきなりですが、小児科門前薬局あるある-その2。
「患者さんにお渡しする指導せんの種類が多い」。それらの整理にオカンアートが役立ちます。投薬カウンターの引き出しは仕切りの付いた紙箱(薬の空き箱)でいっぱいです。

調剤室でも、紙箱(やはり薬の空き箱)から作った数々のオカンアートが見られます。調剤台にある箱は、錠剤をまとめる輪ゴムを保管するため。過去の処方箋をまとめて保管する箱もあります。A4処方箋を保管するにちょうどいいサイズなのが、ツムラの漢方189包入りのもの。処方箋1,000枚程度は入るようです。

スタッフ間の情報伝達にもオカンアートが一役

ほどよい硬度を持つ薬の箱。モノを入れるだけではありません。

スタッフ間ではいろいろと伝達しておきたい注意事項があります。それらを指し示す札が、空き箱を土台に、スタッフのイラスト付きで手作りされています。

次のような札が薬と一緒に箱に入れられます。

「問い合わせ中」:疑義照会中の薬みやQ6月図1.jpg

「冷所あり」:用意した薬の中に冷所保存のものがある場合。(FAXで処方箋が届いたり、患者さんが処方箋を先に薬局に提出していったん外出した場合、鑑査まで済ませてかごに入れて保管しています)

「不足分あり。入荷したら調剤する」:欠品して、後日お届けとなったものについては、薬袋と不足分の申し送り表とともにかごに入れる(これは、大きさの関係で、薬の空き箱ではなく、100円ショップで買ったプラスチックのかご)。

―オカンアートじゃないかごの話―

100円ショップで色違いでプラスチックのかごを買いそろえています。例えば、不足分の薬。不足していた薬を入荷し、調剤してお渡しする準備ができたら、別の色のかごに入れ替えます。FAXで届いた処方箋や、患者さんが一旦外出された場合同様。薬の準備ができたら、規定された色のかごに入れて、所定の場所に置いています。かごの色で、患者さんにお渡しできる用意ができたことがひと目で分かるようになっています。

オカンアートは空き箱に限らない

待合室にもオカンアートによるパンフレット入れがあります。さすがに薬の箱そのものは見栄えがよろしくないので、箱の上から紙を貼った上にイラストを添えています。

薬の箱だけではありません。Vマス式分包機のカセットを乾かすためのスタンドも手作りです。ホームセンターで買ったと思われる「猫よけシート」を切り貼りしてできています。

みやQ6月図2.jpg

ちなみにこれらの工作物は、スタッフ各自が気になったときに、それぞれのアイデアで作っています。

究極のオカンアート"汚物袋"

究極のオカンアートが"汚物・嘔吐物を受ける袋"です。

<用意するもの>
紙袋、紙袋とほぼ同じ大きさのビニール袋、セロハンテープ
<作り方>
紙袋の内側にビニール袋を重ねて入れて、紙袋の外側に少しだけビニールを出す

以上です。非常に簡単ですね!

実はこれ、当初は紙袋の口を何回か折り曲げてビニール袋が外れないようにしていたのですが、そんなことをしなくても外れないことがわかり、だんだん作り方が簡単になっていきました。

これが完成品↓
みやQ6月図3.png

ビニール袋がレジ袋だと、嘔吐したあとに手提げの部分をくくりやすいですね。レジ袋に転用するかどうかはご自由に。ビニール袋だけだと、形が固定しづらいですが、紙袋で覆うと嘔吐したときに口を当てやすく、袋が風などでクシャッとならないので、吐瀉物をキャッチしやすくなります。さらに使用後も破れにくく、持ち歩きが利きます。吐瀉物だけでなく、外で汚してしまった下着やおむつを持ち帰るのにも使用できます。

これを待合室や薬局の出入り口付近(外にも中にも)に配置し、嘔吐しそうなお子さんが自由に持って行けるようにしています。使用に備えて持ち歩きをしたい場合、コンパクトに折り曲げられます。

どうですか?業務の少し空いた時間でパパッと作れるオカンアート。目的があって作っているので、当然アートそのものに効果がありますが、それ以外にも大きな効果があります。

オカンたちの小さな工夫により、業務が捗る  

作業が効率化されるだけでなく、業務改善のハードルは低いということをスタッフに認識づけすることができるのです。業界紙に掲載されている「イノベーションなんたら」というのはあまりに話が大きくて、仕事と家事で日々忙しく働いている薬剤師には遠い話に思えてしまうこともあります。しかし、実際の業務改善とは、「革新的な技術開発」などと訳されるイノベーションのような大それたことではなく、日々の小さな発見や取り組みの積み重ねであることがほとんどです。

小さなことの積み重ねに意味がある。そのような認識は、家庭の都合でフルに働けない方も前向きに働くきっかけになるのではないでしょうか。「家事の時短」など、家庭でもいろいろと工夫していることと同じ視点で、「自分の業務をもっと楽にしたいから工夫する」といった取り組みでも十分です。
また、そういったことが思いつかなくても、汚物袋のように継続して必要なものを制作するだけでも短時間で職場に貢献できます。

自発的にアートを生み出す我が薬局のスタッフたち。なぜ、このような工夫をしているのか聞いてみました。

「楽したいから」

さすが、主婦の発想。することいっぱいありますから、こうでないと日々は乗り切れません。

前向きな手抜きバンザイ!\(^o^)/

 

【コラムコンセプト】

薬局業界では「在宅」だの「24時間対応」だの言われてるけど、実際に現場で働く人の半分以上は、家庭で大きな役割を果たしている主婦薬剤師。高齢化社会でも子供たちの健やかな成長を見守るのは必要不可欠のはず。なのに、未来をつくる子供たちとその親を支えようという機運が起こらないのはなぜ?薬剤師はワーク・ライフ・バランスを考えてはだめなの?薬剤師だって医療人である前に生活人だ!と疑問に思う日々。主婦ばかりの薬局で、子供とその親の健康を支援する現場で考えた、現場目線のコラム。

【プロフィール】

profile_miyaq.jpg

大学卒業後、色々な薬局での勤務を経験。現在は小児科の処方箋を多く受ける薬局で管理薬剤師として働く。薬剤師としては中堅どころ。実生活では子どもはいない。子どもの多い職場で働いていた経験が長いのに、未だに子どもが苦手なのが課題。薬局という狭い場所にいながらも、様々な情報や知見を得られるのがインターネットの利点と認識し、活用。それでも、生活の場で得られることはインターネットでは得られないので外にも出る。薬剤師だって生活者であることを意識して、心身ともに穏やかな日々を願って暮らしている。

blog:「くすりや」の「現場」
http://miyaq.hatenablog.com/

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