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地域活動業務の展開、ママ薬剤師には迷惑?

へたれ薬剤師KikoとみやQの往復書簡

2017年06月20日 08:30

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PharmaTribuneウェブの人気コラム「くすりときどきコトバ ところによりダメ母」「ハッピーな職場って?」コラボ企画!

コラムニストのへたれ薬剤師KikoさんとみやQさん、ママ薬剤師管理薬剤師それぞれの立場から「育児をしながら薬剤師として働くこと」を掘り下げる両コラム。ふたりの異なった視点を掛け合わせると新しい発見があるかもしれない!?――ということで、お互いに質問を投げ合ってもらうことにしました。回答から垣間見えるふたりの人となりを知れば、コラムがもっと楽しめるかも?!

みやQからの質問
「地域活動を展開するのは迷惑でしょうか?」

在宅業務や地域活動などで外に出ることが増えてきました。私は、薬剤師が地域とつながって、自分の持てる技術を地域に提供していくことは大切だと思いますし、何しろこの先10年ぐらいは食べていかなければならないので(切実)、やらねばならぬと考えています。

しかし、職場の小さい子供を抱える母親は、家庭のことが忙しい。やらなければいけないのはわかっているけど家庭を疎かにしたくないようです。積極的な声は聞こえてきません。

Kikoさんはどのようにお考えでしょうか?

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Kikoの回答

「地域活動の展開は迷惑と思われているのでは」......非常に耳の痛いお言葉です。私なりに考えてみたことを以下に述べます。

兼業主婦にとっては、家事と育児をしながら外で働くだけでも「私、普通よりずっと頑張ってる!」という感覚があります。なのにそれに加えて地域活動となると、「この上まだ頑張らなきゃダメなの?!」と思えてしまうのです。

働く母親というものは、時間的余裕、体力的余裕、そして心の余裕を削られることに対して非常に警戒心が強いです。

本来、母親としてやるべきと思っていることを10とすると、外で働いたら6ぐらいしかできなくなってしまう。だから、休みの日に家のことを頑張ってこなして、なんとか7まで取り戻している。それなのに、さらに地域活動などを始めたら、5まで減ってしまうのではないか?という感じでしょうか。

ですが、冷静に考えてみると、これは曖昧な印象でしかないように思えます。せいぜい一時的に6になる瞬間があるだけかもしれません。実際にやってみたらなんとかなった、ということは意外とあります。それに、「主婦がやるべき」とされていることは、実は10どころか5くらいで許されるのではないか?とも思います。

ただし、この「10やるべき」という価値観を変えていくのは難しいでしょう。母親自身だけでなく、家族の意識も変わっていく必要があるからです。

「こんな理由があって、仕事に行かないといけないんだけど、いい?」と家族に聞くと、その時は「いいよ、行っておいで」と快く答えてくれます。ところが、親戚同士の集まりなどで「うちの嫁さんは日曜でも仕事に行っちゃうから〜」とか「食事も手抜きだし〜」などと言われてしまうことがままあります。たとえそれがネタまじりの発言だとしても「ああ、やっぱり私はダメな母親なんだ......」と激しく落ち込みます。そんな風に言われてしまうのなら、もう行くのはやめよう、と思ってしまいます。自分が悪い母親であることを受け入れられるほど強い女はそうそういませんから......。

そんな自分を肯定するために、無理をしたくない。地域活動の必要性や、薬剤師の存在意義がかかっているということを分かっていても、「こちらにしわ寄せが来ないようにやって欲しい」と感じてしまうのだと思います。薬剤師の地域活動を推し進める制度の内容がワークライフバランスを重視する昨今の情勢と真逆である、というのも非常に悩ましい点です。

出来ない言い訳ばかり書き連ねているようで心苦しいのですが、地域活動に参加できる母親薬剤師を増やすには、これらの心理的要因があることを認識し、軽減する方策を立てる必要があると思うのです。

その一方で、「小さい子供がいるから地域活動はできない」ということにしておけば楽である、という気持ちが潜んでいることも否定できない、と自分を省みても思います。

みやQさんからの質問をいただいてから、この回答を書き上げるまでに4日かかりました。働く母親薬剤師として比較的恵まれた環境にいる私ですら、上記の分析に至るのはこれだけの時間が必要でした。

もっと大変な状況にある方は、もっともっと複雑で混沌とした内情を抱えて、それをうまく言葉に表すことすらもできずにいるのかもしれませんね......。

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みやQからの返事

主婦のもやもやを的確に表現してくれてありがとうございます。 私がこの質問をしたのは、多分こういった回答が来るのではないかと思ってのことです。家庭に事情を抱える人が持つ感情を言語化してほしかったのです。

今、地域活動を推進している人の視点にはない、主婦の視点をわかりやすく説明すれば、事態は変わるのではないかと感じています。

面と向かって話すのは責任が生じたり、強い反論が出てくる可能性があるので言いづらい。でも、このような立場の人がいる事を、強い人、偉い人に理解してほしい。理解してもらえれば、患者さん(地域の人)と薬剤師、双方にとってより良い形の地域活動できるだろうという私の思惑を予想以上に汲み取ってくださったkikoさんに感謝します。

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