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救急医療へ参画し、トリアージができる薬剤師に

2017年06月29日 08:00

 みなさん、こんにちは。森 博美と申します。病院薬剤部(大垣市民病院)に38年間勤め定年後、現在はたんぽぽ薬局株式会社に2年間勤務しています。この長い40年間の薬剤師人生での経験から現役の皆さんにお伝えしたいことがあります。

 私の思いを伝えるべく、PharmaTribune読者モニターの皆さんと意見交換しました。一人でも多くの読者の方に響けば望外の喜びです。

私の思い 救急医療へ参画し、トリアージができる薬剤師になっていただきたい

 薬局で患者や家族が倒れた時に、救命処置をすることができる体制は重要です。薬局内のAED(自動体外式除細動器)設置は必須で、薬剤師が救急対応の訓練を定期的に受けることが大切です。

 今後、在宅業務で施設や自宅を訪れたとき、患者の容態急変に気づけるかどうかは重要です。声の調子や話の内容、顔色、呼吸状態、瞳孔などを観察する力を身に付けておくことも大切です。近年、フィジカルアセスメントが大学で教育されているがすぐに現場で役立てるレベルではありません。患者の危険を察知することは医療人として当然持ち合わせていなければならない能力でもあると考えています。そのためにも救急医療現場での研修が望まれます。

 私は病院在職時代に救命救急センターでの業務や救急症例検討会などに参加させてもらう機会があり、少しはトリアージ能力を身に付けることができました。生命に危険なため見逃してはならない多くの疾患(例えば、急性喉頭蓋炎や腸間膜動脈閉塞症など)を学ぶことができました。昔、薬局薬剤師は、地域の住民から体調がすぐれないとき相談を受け、すぐに病院を受診した方がよいか、薬で様子をみるか広い意味でのトリアージをしていたと思います。今日では、その機能が衰退してしまいましたが、これを再びできるようにと健康サポート薬局が復活することは、素晴らしいことです。かなりハードルは高いと思いますが、かつてやっていたことだと思えば飛び込んで行きやすいのではないでしょうか。

Q1 読者モニターの皆さんの勤務先にはAEDがありますか?

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Q2 AEDを含めた救急対応の訓練を受けた経験はありますか?

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Q3 「広い意味でのトリアージ」を担うことについてどうお考えですか?ご意見をお聞かせください

肩肘はらず、できることを

  • トリアージ、なんて言わず、医療関係者なら自然に薬を通したお客様の状態に合わせた対応ができるはず。服薬指導はそれらの基礎であるはずなので。
  • 昔の薬局薬剤師が果たしていた以上の広い意味でのトリアージを出来るようにしていくべきだと思う。
  • 私の薬局はOTC併設であり、薬の相談を受けることも多い。その中でトリアージが出来るようになることは、非常に重要でありお客さまにとって有益だと思う。
  • 当然担うべき。たとえばOTC(漢方も含める)で対応できるか、救急にかかるかなどを判断するのは薬剤師の力量によるものだから。AEDとかじゃなくても、風邪でも同じこと。

賛成、しかし難しい面も

  • 薬剤師の職能が広がるという意味ではとてもいいと思う。しかし、私は薬剤師がバイタルをとることですら嫌な顔をされる医師がいることで委縮をしてしまい実行するためにはとても勇気が必要
  • 薬剤師がトリアージをするには臨床知識に不安がありますね。看護師レベルの臨床知識は必要なのでは? 命の分かれ目ですから
  • できるようになると救急医療における薬剤師の意味がさらに重要となる気がします。十分な意識はないので講習会などがあれば参加したいです。
  • 臨床の現場に立つ機会の少ない薬剤師が行うのは難しいと思います。
  • 患者が安易に病院を受診することによる医療費や医療従事者の負担を抑制・軽減するためにも調剤薬局の薬剤師は広い意味でトリアージができる必要がありると思います。体調を崩したときにOTCでしばらく様子を見ればよいのか、すぐに受診勧奨すべきか、臨床推論も身に着けないといけないと思います。 また未病の方のセルフメディケーションのため適切な健康食品やサプリメントの選択ができるよう広い知識の習得が必要かと感じます。

多くの方がトリアージに前向きで安堵しました!

 森です。皆様の貴重なご意見ありがとうございます。

 多くの方の意見がトリアージに関して前向きであることに安心しました。誰でも初めて経験することには不安を抱きます。医師や看護師も最初は不安だったと思いますが、何度も経験すると、それが当たり前になります。指導する人がいかにサポートできるかが大切です。AEDを使用する場面には、めったに遭遇することはありませんが、一般市民の誰もが使用できることが必要なため、私達薬剤師も日頃からシミュレーションしておくことが重要です。

 トリアージ、なんて言わずに、自然に服薬指導時などでできることに越したことはありませんが、急性で重篤な疾患を見逃さないことは難しいと感じます。これには救急医療現場での研修が必要であり、救急医、総合診療医、救急認定薬剤師の方々がきっと快く引き受けてくださると期待しています。

コラムコンセプト

大垣市民病院薬剤部(岐阜県大垣市)に38年間勤め定年後、調剤薬局に2年間勤務している筆者。40年間の薬剤師人生で経験したこと、多くの方々との出会いの中で感じたことを通して、現役薬剤師の皆様に向けてメッセージを送ります。メッセージを受け取ったPharmaTribune読者モニターはどう感じたか、読者モニターの意見を受け取った森さんの思いは。読者と執筆者の思いをつなぐ双方向のコラムです。

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