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薬剤師が押さえておきたい健康トピックス(2017年7月前半)

2017年07月18日 08:30

7月1日~15日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

◆乳児に薬で殺害
乳児に「降圧剤」飲ませ殺害した疑い、23歳母親逮捕
(日本経済新聞 7月5日)
http://www.nikkei.com/article/DGXLASDG04H6Y_U7A700C1CC1000/

POINT:「アムロジン」や「メトホルミン」は、多くの家庭の引き出しにある薬です。故意に薬を飲ませなくとも、子どもの誤飲には注意が必要です。特に、お盆休み・夏休み期間に祖父母宅を訪れた際には、お菓子の容器に移し替えた薬は事故の元になります。薬の保管場所についても指導するようにしてください。

◆嗜好用大麻を合法化の米3州、自動車の衝突事故が増加
(Forbes Japan 7月4日)
https://forbesjapan.com/articles/detail/16829

POINT:大麻の合法化については様々な議論がありますが、こうした社会的なリスクも一緒に検討する必要があります。また、大麻の合法化によって不正な大麻使用や障害が増えるとする報告もあります(JAMA Psychiatry. 2017 Jun 1;74(6):579-588 PMID: 28445557)。

◆山梨県立中央病院、睡眠薬3万7千錠を紛失 帳簿管理せず、不祥事相次ぐ
(産経ニュース 7月5日)
http://www.sankei.com/affairs/news/170705/afr1707050037-n1.html

POINT:帳簿管理していなかったことを批判する意見も見られますが、「ゾルピデム」は第3種向精神薬のため、それ自体は問題ではありません。向精神薬のうち、帳簿管理が必要とされるのは第1種・第2種の薬です(麻薬及び向精神薬取締法 第五十条の二十三)

◆1歳児に塩飲ませ死亡させる? 保育施設の元経営者を逮捕
(産経デジタル 7月11日)
http://www.iza.ne.jp/kiji/events/news/170711/evt17071117160025-n1.html

POINT:塩化ナトリウムの致死量は一般的に3.0g/kgですが、小児では0.75g/kgという少量でも致死的になることが報告されています(Am J Clin Pathol .39:252-64,1963)。これは、8~12kg程度の1歳児であれば、小さじ1杯(5~6g)でも超える恐れがあります。「熱中症対策に塩分補給をする」ことは大切ですが、誤った塩分量で飲料水などを自作しないよう注意喚起する必要があります。

◆<日焼け止め>使用でビタミンD不足...20代女性に調査
(毎日新聞 7月12日)
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20170712-00000031-mai-soci

POINT:十分なビタミンDを食事だけで摂取することは難しいため、日光に当たることも必要です。必要な日光浴の時間は、緯度や季節・時刻・天候・服装などによって異なるため一概には言えませんが、以下の推奨が目安になります。
環境省:両手の甲に15分程度の日光浴を毎日(平均的な食事と併せて)
世界保健機関(WHO):顔と両手両腕を露出した状態で5~15分程度の日光浴を1週間に2~3回程度

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。

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