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誤診されがちな高齢者てんかん

2017年07月26日 09:45

 てんかんは激しい全身痙攣を伴うと思われがちだが、高齢者てんかんは痙攣がない。突然、意識障害が起こることが多いとされ、高齢化が急速に進行する日本では増加傾向にある。先般、東京都で開かれたてんかんプレスセミナーの(主催:大塚製薬/ユーシービージャパン)では、朝霞台中央総合病院(埼玉県)脳卒中・てんかんセンターのセンター長、久保田有一氏が、「高齢者てんかんは穏やかな発作が多いため診断が極めて難しく、認知症やうつ病と間違われることが多い。その特殊性を十分理解した上で診療に当たることが重要だ」と述べた。

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地味な発作が特徴

 急速に高齢化が進む日本において、高齢者てんかんは増加傾向にあり、60歳以降の発症率は約1.5%とされる()。高齢者のてんかんは、脳卒中などの器質的疾患に伴うものの他、加齢に伴うものがある。加齢に伴うてんかんの症状は複雑部分発作といい、①ボーっとする②口をモグモグさせたり、手足をモゾモゾ動かす③意味不明の発言をする④前兆なく突然、意識障害が起こる⑤発作後のもうろう状態が長く続き、意識の回復まで時間がかかる⑥発作頻度が少ない-といった、地味な発作が特徴だ。複雑部分発作では本人に発作中の記憶がないため、家族や介護者からの情報を入念に聴取することが大切で、発作時の様子をスマホで動画撮影してもらうことも有用だという。

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 診断は、外来の脳波検査で側頭部に局在する徐波を見つけ出す。しかし、1回の検査では発見できない場合が多く、確定診断をするためにはビデオ脳波モニタリングが必要となる。これは、1週間、脳波電極を付けたまま院内の個室で生活してもらい、脳波測定と患者の様子をビデオ記録するというもの。

 久保田氏は「高齢者てんかんの診断は画像検査のみでは困難であり、特徴的な症状などを外来でよく問診することが重要だ」とする。

うつ病や認知症と診断される例も

 同センターを受診した60歳代男性のケースでは、不可解な症状と意識障害があり、ビデオ脳波モニタリングで脳波異常が見つかり高齢者てんかんと確定診断された。抗てんかん薬治療で回復し、元の生活を取り戻したという。この男性は、銀行の定年退職1年後に妻を亡くしたが、そのころに発症。他院を受診して、うつ病と診断され治療を受けたが回復しなかった。そして、別の医療機関を受診したところ認知症と診断されていたという。久保田氏は「このように、高齢者てんかんがうつ病や認知症と誤って診断されているケースは、少なくないのではないか」と指摘した。

 また、多発している高齢ドライバーの不可解な事故にも高齢者てんかんが関係している可能性もあるという。「前方不注意」で追突事故を2度起こした67歳男性は、近隣の神経内科で検査を受けたが「異常なし」と言われたという。このため、当院で詳しい検査を受けたところ、高齢者てんかんであることが判明した。

 同氏は「高齢者の自動車事故の原因として高齢者てんかんが関与しているケースがあるかもしれない」と述べた。

 高齢者てんかんは、確実な診断の下に治療を行えば治療反応性が良いといわれ、抗てんかん薬の服用によりてんかん発作を抑制することができる。久保田氏は「レベチラセラムなどの新世代の抗てんかん薬は、副作用や他剤との相互作用の少ないものが多く、単剤療法も可能である。服薬継続率も高く、高齢者にとっては重要な選択肢の1つといえる」と語った。

 高齢者てんかんは神経内科や脳神経外科のみならず、一般内科開業医から薬剤師まで知っておきたい疾患といえよう。

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