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改訂版GLが示す創傷ケアのポイント

日本皮膚科学会『創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン第2版』

2017年09月26日 08:00

 日本皮膚科学会は、2011年に作成した創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン(GL)の改訂版(第2版)を今年(2017年)7月に公表した。岐阜大学大学院皮膚病態学准教授の加納宏行氏は、GLの各論で扱う皮膚創傷を治療するための共通かつ必須の知識を示す「創傷一般」の項目における改訂ポイントについて、第116回日本皮膚科学会(6月2~4日)で解説した。第2版では、創傷治癒に必要な処置や外用薬、ドレッシング材に関する記述が追加されたことに加え、新たに「創傷の痛み」への対応法が記述されたという。

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銀含有ドレッシング材の有用性などに言及

 GLは「創傷一般」の他に、「褥瘡診療ガイドライン」、「糖尿病性潰瘍・壊疽ガイドライン」、「膠原病・血管炎にともなう皮膚潰瘍診療ガイドライン」、「下腿潰瘍・下肢静脈瘤診療ガイドライン」、「熱傷診療ガイドライン」から成る。「創傷一般」GLでは、慢性皮膚創傷に対する①治癒環境の整備②洗浄③消毒④外用薬⑤ドレッシング材⑥痛み-についてのクリニカルクエスチョン(CQ)が設けられ、それぞれに改訂点が見られる。

 ①では、創縁の引き寄せや滲出液の排除、浮腫の軽減などを図りながら肉芽形成を促進できる陰圧閉鎖療法を新たに取り上げ、動脈性血流障害に起因する創傷では、創部を乾燥させるDry gangrene化を図るとよいケースがある点や、過剰な肉芽を収縮させる目的で副腎皮質ステロイド外用薬を短期間使用することも考慮してよいとした。

 ②では、褥瘡において洗浄剤で創周囲皮膚を洗浄した方が治癒期間を短縮できるとの知見がある点に触れている。加えて、拍動的に洗浄圧をかけることで褥瘡がより早く改善した報告を紹介し、糖尿病や末梢動脈疾患に伴う下腿潰瘍では足浴よりシャワー浴の方が患肢の予後が良いと説明した。

 ③においては、全身感染の併発、易感染リスク、洗浄をしても創傷の悪化が認められる場合はヨウ素を推奨するとの報告があるとし、④には滲出液の吸収能が高いスルファジアジン軟膏や、柔らかい壊死組織の除去に有用なヨードホルムが追加記載された。

 ⑤に関しては銀含有ドレッシング材の有効性に言及。銀は広く抗菌作用を有し、耐性菌の発生がまれであり、日本より銀含有量が多い海外製品での報告だが、壊死組織除去(デブリードマン)後の創傷や静脈性下腿潰瘍、褥瘡における細菌数を減少し、感染リスクがある潰瘍の縮小を早めると記載されている。

新たに創傷の痛みへの対応盛り込む

 第2版で新設された「創傷の痛み」に関する項目については、痛みを侵害受容性疼痛、神経障害性疼痛、心因性疼痛に分類し、それぞれの具体例を記述した()。

図. 痛みの基礎:痛みの分類・存在意義

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〔日本皮膚科学会ガイドライン「創傷・褥瘡・熱傷ガイドライン-1:創傷一般ガイドライン」(加納宏行、井上雄二、金子栄、新谷洋一、辻田淳、長谷川稔、藤田英樹、茂木精一郎、レパヴー・アンドレ)より作成〕

 それらのコントロールに関しては、侵害受容性疼痛を緩和する方策として、低刺激の消毒薬の使用や化学的デブリードマンを行う場合はブロメライン軟膏よりスルファジアジン銀やハイドロゲルの方が痛みが少なく、ドレッシング材のソフトシリコンは固着性が低いとした。

 また、神経障害性疼痛については、その診断に使用するスクリーニング質問票を提示している。

 第2版に掲載された創傷による痛みへの対策法を説明しながら、加納氏は「慢性皮膚創傷では至るところに痛みの種が潜んでいる。治癒の遷延を避けるためには、創部や基礎疾患へのケアはもちろん、抑うつ状態などとともに増強される心因性疼痛にも配慮しなければならない。そのためには、患者との信頼関係を築けるようコミュニケーションを図ることも重要である」と強調した。

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