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ポリファーマシー是正へ多職種連携

電子カルテシステムで処方薬をチェック

2017年09月27日 10:14

 多くの医療施設で電子カルテシステムが導入され、入院患者に対する処方薬の把握、管理は比較的容易になったが、依然ポリファーマシー(多剤併用)の是正は困難である。岐阜大学病院神経内科・老年内科講師の林祐一氏は、同院で導入した次世代型電子カルテシステムを活用し、多職種で処方薬剤をチェックできる環境を構築した結果、多剤併用の是正が可能になったと第59回日本老年医学会(6月14~16日)で報告した。

適切な減薬と増薬を確認

 同院では各診療部門に蓄積されていた全ての患者情報を臨床情報システム(CIS)サーバで一元管理する電子カルテシステムを2004年から導入しており、医師や看護師、薬剤師などの診療スタッフはCISの端末を用いて患者情報にアクセスできるという。

 これにより、同院では多職種で入院患者に対する処方薬の妥当性を評価でき、問題がある場合は週1回行われる多職種協働カンファレンスで共有、解決が図られるという。

 林氏は、電子カルテシステムを用いた多職種によるチェック体制が多剤併用に及ぼす影響を検討するため、電子カルテシステム導入後の同院入院患者における、入院時と退院時の処方薬剤数(平均±標準偏差)と処方薬剤数別の患者数を比較した。対象は、2004~11年に同科に入院した65歳以上の高齢者432人である。

 検討の結果、処方薬剤数が入院時が5.10±3.51剤、退院時が5.05±3.51剤と両者でほぼ変わらなかったが、入院時に処方薬剤数が5剤以上であった患者は退院時に薬剤数が減少した一方、入院時に5剤未満であった患者では薬剤数が増加する傾向にあり、適切な減薬と増薬が図られたことが示唆されたという()。

図. 入退院時における処方薬剤数

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〔医学のあゆみ 2017; 262(7・8): 726-727〕

ビタミン剤、抗潰瘍・胃粘膜保護薬、Ca拮抗薬などの過剰投与多い

 林氏は、同院の取り組みによって処方薬剤が減薬できた症例を紹介した上で、「検討対象で減薬できた薬剤の種類は①ビタミン剤(46例63剤)②抗潰瘍薬・胃粘膜保護薬(46例47剤)③カルシウム拮抗薬(38例38剤)-の順に多かった」と述べた。

 それらの減薬理由については、①は末梢神経障害やその他の神経筋疾患などに対して処方されていたものの、ほとんど効果が見られなかったためなどで、②は非ステロイド性抗炎症薬の投与が中止されたことで不必要になった、あるいは重複投与や認知機能の低下が認められたためなどであった。また、③は主作用の降圧作用が強過ぎた、あるいは重複投与が認められたためであった。

 以上の結果について、同氏は「当院の電子カルテシステムを活用した多職種によるチェック体制は、入院を契機として過剰ないし過少な処方薬剤数の是正、適切な薬物療法の実施に寄与していることが示唆された。このような体制は副作用、転倒などのリスク増大を招く、高齢者に対する不適切な多剤併用処方を見直すきっかけになりうる」と結論付けた。

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