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No.1 薬歴+αの情報として検査値を活用しよう!

2017年10月19日 11:00

京都大学医学部附属病院薬剤部
吉田優子

院外の薬局にはカルテがないため、情報源は処方せんとお薬手帳と患者さんからの言葉のみ。限られた情報で処方監査や服薬指導を行わざるをえませんでした。そのため、現在進みつつあるのが処方せんに臨床検査値を記載する取り組みです。この連載では、臨床検査値の読み解き方、活用の仕方をお伝えしていきます。

No.1薬歴+αの情報として検査値を活用しよう!

循環器内科クリニックを受診した患者さん〈67歳女性〉の処方せん

処方薬から慢性心不全と思われる高齢患者さん。
●薬歴+αの情報として検査値を見てみると、どんなことが分かるでしょうか。
●注意すべきポイントはなんでしょうか。

※検査項目、基準値、単位については、京都大学医学部附属病院薬剤部「院外処方せんに記載されている検査値一覧表」をご参照ください。

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この3人が登場します。(マンガ:英賀千尋)

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検査値を見る前に、まずは処方監査から

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処方せんに記載されている検査結果は測定時点のものなので、処方内容は"これから先の治療計画"であることに注意する必要があります。

医師は、血清カリウムが高いと考え、セララと塩化カリウムを減量してフロセミドを追加したのかもしれません。薬歴の確認が必要です。

検査値の推移と周辺情報を確認しよう

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退院時服薬指導書からの情報
◦ 入院時に全内服薬中止し、一週間後に再開
◦ ペリンドプリルは血圧低下のため半量で再開
◦ K+ 3.2 mmol/Lと低下したため、塩化カリウム徐放錠を開始

検討材料が揃ったら総合的に判断しよう

Question 1 下痢や嘔吐、内服薬を全て中止したことは、血清カリウム値にどのような影響を与えたのでしょう?

Answer 下痢や嘔吐では血清カリウムが低下します。そして、腎機能低下患者ではセララとペリンドプリルによる高カリウム血症が現れやすく、内服を中止すれば血清カリウムの低下を引き起こします。

Question 2 下痢や嘔吐が回復したことと内服薬を再開したこと、塩化カリウム追加の影響はどうでしょう?

Answer 回復して内服薬を再開すれば、血清カリウムは入院前のレベルまで回復することが予想され、塩化カリウムの追加は、血清カリウムの上昇を引き起こすと考えられます。

疑義を確認して患者さんの副作用を防ごう

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今回のおさらい

  • 検査値を見る前にまずは処方監査。確認すべき検査値項目を考える
  • 検査結果は測定時点のもの。手元の処方せんの内容は、これからの先の治療計画であることに注意
  • 薬歴と検査値推移は総合的に評価することが大切
  • 検査値が正常か異常かだけでなく、その患者と処方によって適切範囲か
  • 否かが異なることにも注意を払う

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