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薬剤師として必要とされる役割を見つける

2017年11月27日 09:00

 早いものでつぼみ薬局を開局して9年目を迎えますが、特定の処方元医療機関がなくても、地域に飛び出せば一薬局薬剤師として認知していただき、他職種や近隣の患者様からの仕事の依頼があるものだなぁ、と実感しつつ日々を送っています。

 今回、これまで沢山の患者さんとの関わりの中で感じたこと、想いを振り返る機会をいただいたので、薬歴簿と怪しくなった記憶を頼りに1回/月のペースで寄稿させていただきます。

 現在、隔週で訪問している70代で要介護5の認定をお持ちの患者さん(障害高齢者の日常生活自立度〈寝たきり度〉はC-2、認知症高齢者の日常生活自立度はⅣ)は国の示す『地域包括ケア』の「時々入院、ほぼ在宅」を実践しておられます。依頼元は7年前にケアマネジャー兼、訪問薬剤師として関わった高次脳機能障害の方の主治医を受けてくださった医師です。

 脳梗塞後遺症、嚥下困難、胃瘻増設後、心筋梗塞、糖尿病、パーキンソン病と多くの疾患名が訪問薬剤管理指導依頼書に書かれています。主介護者は高齢の妻、同居の長女のサポートがあり自宅療養しており、自宅での看取り希望と伺っています。

医療・衛生材料の供給という役割で喜ばれる

 依頼を受けた2016年6月には、すでにデイケア4回/週・訪問看護2回/週・福祉用具貸与サービスが入っており、自分の立ち位置を模索することからのスタートでした。胃瘻からの薬の注入も簡易懸濁法を導入しておられ、薬剤管理も長年の妻の流儀がすでに出来上がっていたので、勝手が違い戸惑いました。

 と言うのも、これまで訪問を開始することになったお宅は、往診開始時や薬剤管理が困難になったなど、何かしら薬に関しての困り事を受けての依頼でした。それが、この事例は訪問看護師の指導が手厚く、当初は「わざわざ持って来てくれなくても取りに行くよ、薬のことは看護師さんと相談しながらこれまでもやってきたし」と言われたり、気付きの提案も要らぬお世話かなぁ...と感じながらの開始だったのです。

 例えば、プラビックス®75㎎はメーカーに以前確認した際、簡易懸濁法には適さないとのことで、粉砕調剤することにしていましたが、これをお話しても「溶けるからいいわ」で終わってしまいました。

 しかし、訪問するうちに胃瘻への薬剤の注入器の手配など、医療・衛生材料の供給という役割を見つけました。また、これを機会に「注入器」「栄養セット」「栄養ボトル」の在庫を増やすと、地域の訪問看護師からの相談が増え、面白い展開を喜んでいます。

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 相談の内容は、「口腔ケア用のスポンジで何かいいのない?」や、「薬の内服が困難になったので、錠剤・カプセルを湯に溶いてもらったら固まってしまったけどどうして?」、また「食事摂取が経管栄養剤の注入のみなので、Na不足対策に食塩をペットボトルの蓋で計って小分けにしていたけど、塩化ナトリウムを分包してほしい」などです。

経験から得られた知識で処方提案

 胃瘻からの簡易懸濁法に適した薬剤の選定は、口腔内崩壊錠などの崩壊しやすい錠剤の提案や、経管栄養剤の情報提供も行いました。胃瘻からの栄養剤の注入での一番のトラブルは粘度がないと下痢の副作用が起こり易いことで、その対策に時間をかけて注入しているケースが多く見受けられます。

 この患者さんは、訪問開始時はPGソフトTMという粘度のある栄養剤をインターネットで購入していました。医師は、自己負担の軽減のためにエンシュア®・Hを処方しましたが、短時間胃内注入法を行う程の粘度がありません。そこで、保険適応のあるラコール®NF配合経腸用半固形剤を提案しました。

 これらの知識はズバリ経験だと思います。いろいろな患者さんを介して色々な医師の処方を受けるうちに「こんな便利なものがあるんだ~」とお宝をゲットし、その知識がそれ以降の患者さんへ生かされていく...、の繰り返しではないかと思います。今回提案した『経腸用半固形剤専用注入器』は皆さんご存じなく(ラコール®半固形剤の箱の中の説明書に書いてあるのですが...)とにかく便利!!!と絶賛されていました。胃瘻からの栄養剤の注入にこれ1本あればスーっスーっスーっ、あら終わったという感じに(笑)。その後、この注入器はつぼみ薬局のヒット商品になり、噂を聞きつけた介護の達人?にも来局いただきました。

 この患者さんは、訪問を開始して1年余りの間に2回の入院がありました。1度目は肺炎により3週間、2度目は高血糖高浸透圧症候群により1カ月です。1度目には開催されなかった退院時カンファレンスは、2度目の退院時にインスリン療法が導入されたこともあり声をかけていただきました。それまで以上に奮起し、現在に至っています。

 当薬局は、保健所への薬局の開局時間は8時~12時で、13時半~18時までは医療事務の方に来ていただいているので、この間にあちこちします。病院の都合だと思うのですが、午前中のカンファ開催にこれまで当たったことはありません。しかし日程調節はかなり強引?で、酷いときには電話で「今日の午後なんだけど...」と言われることもありますが、予定が調整できればできるだけ参加しています。

 一方、居宅でのサービス担当者会議は午前中の開催も多いです。当初は午前も参加していましたが、現在はご近所さんが来局するためお断りし、代わりに情報提供書をケアマネジャーへFAXしています。

【コラムコンセプト】

ケアマネとしても薬剤師としても在宅活動を長く続けて筆者が、地域包括ケアの中でどのように薬剤師として貢献していくか、日々のエピソードとともに綴っていきます。

【角山美穂 プロフィール】

2009年11月、「在宅専門薬局」と言う想いでつぼみ薬局を開局。当初は、併設した「つぼみ薬局居宅介護支援事業所」の介護支援専門員として居宅を訪問したり、「つぼみ薬局」の訪問薬剤師として活動。現在は「街角相談薬局」という立ち位置で活動中。

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