薬剤師目線で考える 今月、世間を賑わした健康情報

11月後半の押さえておきたい健康情報

  • 2017年12月01日公開
  • (2017年12月01日更新)

11月16日~30日に各メディアで配信された健康情報のうち、「コレは押さえておきたい!」と考えたものを、独断と偏見でリストアップします。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てていただけると幸いです。

インフルエンザで異常行動54件 国、窓施錠促す方針

http://www.asahi.com/articles/ASKCQ76BRKCQULBJ01W.html
朝日新聞デジタル 11月23日

現在は修正されましたが、当初のタイトルは「インフル治療薬で異常行動」。異常行動を起こす原因は薬であるとの誤解を招く見出しでYahoo!のトップに公開されていました。国が示した方針は「抗インフルエンザ薬の処方の有無に関わらず、インフルエンザ発症後の異常行動に関して、注意喚起を行うこと」ですが、この記事で「薬を飲ませていないから心配ない」という誤った認識を助長した恐れがあります。インフルエンザが増えるこれからのシーズン、患者から質問を受けた際には正確な情報提供が必要です。(参考:厚生労働省「インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究 2015/2016シーズン報告」)。

おたふくかぜで難聴、聴力戻らず「こんな後遺症があるとは...」

https://yomidr.yomiuri.co.jp/article/20171120-OYTET50036/
YOMIURI ONLINE yomiDr. 11月22日

SNSではワクチンに関する誤った情報が発信・拡散されることが多く、また最近はワクチンを否定するような書籍も発売され、公衆衛生への影響が懸念されます。こうした情報は後を絶ちませんが、鵜呑みにする人が減れば、実害を防ぐ一助となるでしょう。ワクチンについて、患者さんが何か不安や疑問を感じた際には自己判断せず、身近な医療従事者に相談してもらうよう呼び掛けていくとともに、医療の発達によって「怖さを感じなくなってしまった感染症」の怖さを改めて伝えていくことも必要かもしれません。

エナジードリンクを飲む子どもたちに起きている「異変」

https://news.yahoo.co.jp/feature/815
Yahoo!ニュース 11月21日

今年は「カフェイン」の過剰摂取が何度も取り沙汰され、そのたびに注意喚起が行われています。この記事は、子どもたちの「カフェイン」摂取の実態をまとめています。また、子供たちが「カフェイン」に手を伸ばしてしまう理由、とりわけ社会的な背景や子どもたちと「カフェイン」をとりまく環境についての問題提起をしています。薬剤師が、地域活動などで児童や学生を相手に話す際にも、清涼飲料水に含まれる「カフェイン」の量を具体的に伝えていく必要があります。(成人での上限:オーストラリア・ニュージーランド食品基準局(FSANZ):成人で1日210mg程度、カナダ保険省:健康な成人であれば1日400mgまで)。

ビール苦味成分、認知症の記憶力改善?キリンなど実験

http://www.asahi.com/articles/ASKCN76MKKCNULFA02V.html
朝日新聞デジタル11月26日

身近なものや薬に新たな治療方法の可能性が見つかり、新聞やテレビを賑わせることはよくありますが、今回のニュースもマウス(動物実験)での報告です。しかし、テレビで健康に良いと報道された食品が、翌日スーパーで売り切れる現象がまれではないことを思い出してみてください。人間に応用できるかどうかわからない情報を鵜呑みにし、特定の栄養素を大量摂取したり、自己判断の服薬に走る人が出ないよう、注意が必要です。

【コラムコンセプト】
TV・新聞・週刊誌・インターネット......毎日さまざまなメディアから大量の健康情報が配信されます。それを見た患者さんが「こんな情報を見たけれど、私の治療って大丈夫?」と聞いてきたらどうしますか?医療や薬に関する情報は、命に関わるもの。正確さ、専門性が求められます。薬剤師は薬の専門家として、患者さんの持ち込んだ情報が適切かどうかを判断し、対応しなければなりません。このコラムでは毎月、世間を賑わした健康情報をリストアップし、必要に応じて解説します。患者さんからの突然の質問に困らないよう、情報収集の一手として役立てて頂ければ幸いです。

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【児島 悠史氏 プロフィール】
京都薬科大学大学院修了後、薬局薬剤師として活動。「誤解や偏見によって生まれる悲劇を、正しい情報提供と教育によって防ぎたい」という理念のもと、日々の服薬指導のほか、Webサイト「お薬Q&A~Fizz Drug Information」を運営。医学論文などを情報源とした信頼性のある医療情報や、国民の情報リテラシー向上を目的とする記事を配信。近著は、「薬局ですぐに役立つ薬の比較と使い分け100」。

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