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投薬で何をすべきか困っていませんか?

投薬に『モニタリング』の考え方を導入してみる

2017年12月11日 09:00

 こんにちは。カナダの薬剤師事情を紹介している青山です。

 カナダは大自然に恵まれた国なので、アウトドアやスポーツが非常に盛んです。ハイキングやサイクリングを楽しめる場所があるのも魅力的です。

aoyama7_1.jpg

バンクーバーは都会と自然が共存した都市である。後ろに見えるのがノースバンクーバー。
ダウンタウンから少し車を走らせれば、多くの自然に囲まれた景観を楽しめる。

投薬時の服薬指導とモニタリング

 さて、今回はモニタリングについて取り上げます。その前に『投薬』とは何かを考えていきたいと思います

 日本の調剤薬局において、処方箋を調剤し鑑査した後に、『投薬』を行います。この『投薬』の時、何を話すべきか困る方もいるのではないでしょうか。

 例えば、新しい薬が処方された場合、その薬の説明をすべきだと思います。しかし、2回、3回と同じ薬が処方された際、薬剤師は何をすべきでしょうか。服薬指導の再実施や薬の数の確認でしょうか。それとも雑談でしょうか。私は、『モニタリング』を実施するべきだと考えています。

 モニタリングとは、薬の効果と副作用を継続的に評価すること、でした。それを踏まえて実際に例をみてみましょう。

処方箋内容

8/28
メトホルミン500mg 1回1錠 1日2回 朝夕食後 30日分(新規処方

9/28
メトホルミン500mg 1回1錠 1日2回 朝夕食後 30日分(前回と同じ処方

 私が投薬で行っていることは、以下の通りです。新規処方にのみ服薬指導をし、前回と同じ処方であればモニタリングをします。

  1. メトホルミン服用開始日(8/28):メトホルミンの説明(服薬指導
  2. 服用開始1週間後:電話にて副作用の確認(モニタリング
  3. 服用開始1カ月後(2回目の来局、9/28):口頭にて副作用の確認(モニタリング
  4. その後(3回目の来局)〜:来局毎に口頭にて副作用の確認(モニタリング

 また、薬には効果と副作用があり、それらの発現時期が異なっています。今回のメトホルミンであれば、 副作用である消化器症状が1週間程度で起こりやすいため、1週間後に電話をかけて、副作用の有無を確認します。その後は、患者の来局ごとに確認します。

モニタリングプランを立てる

 これで、副作用についてはモニタリングができました。しかし一方で、効果についてはまだモニタリングができていませんね。そこで、下記の図を見てください。この患者のモニタリングプランを作成したものです。

モニタリングプラン

aoyamashi_7zu.jpg

 モニタリングは患者、薬剤師、医師の3者が、それぞれの方法で行うことで完結するものです。患者自身がモニタリングすることをセルフモニタリングと言い、とても重要であることが理解できると思います(参考記事:カナダの薬剤師が説明するセルフモニタリングと非薬物療法とは)。

 メトホルミンの効果のモニタリングについては、HbA1cや食後血糖値が必要になるため、採血が必要です。したがって、今の時点では、薬剤師が主にモニタリングするものではなく、医師が中心になってすべきものだと考えます。

 モニタリングの頻度は、患者は「毎日」、薬剤師は「1カ月毎、または来局毎」、医師は「3~6カ月毎、または来院毎」として考え、誰が何をモニタリングするかプランを作成するようにしています。慣れないうちはこのように紙に書き出しても良いと思いますが、臨床の現場では頭の中で作成できるようにしておきます。今回の例のように、薬剤師が次回来局以前に薬学的にモニタリングが必要と判断した場合には、電話で患者に連絡します。

 このように、患者と薬剤師と医師の3者が協力することで、患者の薬の効果と副作用を継続的に評価することができます。私も日本の調剤薬局で働き始めたころは、処方内容が同じであるにも関わらず、また服薬指導をしたり、逆に必要なモニタリングをせず、ただ雑談だけをして投薬を終わらせることもありました。しかし、現在はモニタリングプランを作成することにより、投薬を非常に効率的かつ効果的に実施できるようになりました。

 みなさんもぜひ、今後の投薬業務に取り入れることをお勧めします。

aoyama7_2.jpg

ノースバンクーバーにあるディープコヴ(Deep Cove)。
とても小さな町ですが、緑の山々と港町の美しい景観を同時に楽しむことができるスポット。
ハイキングやカヌーも楽しめます。

【コラムコンセプト】

薬剤師を取り巻く環境は日本と海外で違う。しかし、やっていることは本質的には同じ。患者のために薬を調剤し、鑑査し、投薬 (服薬指導) する。そして、その薬物療法を評価し、医師や他の医療従事者とより良い治療方法を再考していくこと。カナダの薬剤師事情を紹介しながら、日本での業務に取り入れられる方法を考えるコラム。

【プロフィール】プロフィール写真.jpg

1986年生まれ。名城大学薬学部卒。日本の病院薬剤師、調剤薬局、ドラッグストアで勤務した後、カナダへ留学。スプラットショーカレッジの薬剤師アシスタントプログラムを介し、Loblow pharmacyでインターン研修。2015年ブリティッシュコロンビア大学(UBC) CP3コース終了後、2016年カナダ薬剤師免許の取得。

blog: SHAWN'S WORLD
Twitter:@shinshinskysky

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