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No.3 その電解質異常、 ほんとに化学療法の副作用?

2017年12月15日 16:45

京都大学医学部附属病院薬剤部
尾崎淳子

院外の薬局にはカルテがないため、情報源は処方せんとお薬手帳と患者さんからの言葉のみ。限られた情報で処方監査や服薬指導を行わざるをえませんでした。そのため、現在進みつつあるのが処方せんに臨床検査値を記載する取り組みです。この連載では、臨床検査値の読み解き方、活用の仕方をお伝えしていきます。

No.3 その電解質異常、 ほんとに化学療法の 副作用?

産婦人科で外来がん化学療法中〈62歳女性〉

外来がん化学療法中の患者さん。
降圧薬の他、それぞれの薬の処方意図や注意すべきポイントはなんでしょうか。

※検査項目、基準値、単位については、京都大学医学部附属病院薬剤部「院外処方せんに記載されている検査値一覧表」をご参照ください。

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この3人が登場します。(マンガ:英賀千尋)

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がん化学療法患者、併用薬にも要注意!

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最近では外来でがん化学療法を行うことが増えました。薬局でも患者さんの副作用をチェックする必要性が高まっています。

BさんのレジメンはTC療法。パクリタキセルとカルボ記載内容をチェックするのも大切です。プラチンの点滴静注を3週毎に繰り返すものです。このことから、Bさんは卵巣がんであることが分かります。

カルボプラチンとパクリタキセルの添付文書には、電解質異常の記載があります。

血圧値の変動を確認するために、血圧手帳の有無とBさんのレジメンはTC療法。パクリタキセルとカルボ記載内容をチェックするのも大切です。

漢方製剤併用時にはカンゾウの量に注意!

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低カリウム血症、むくみ、血圧上昇は偽アルドステロン症を疑うべき主症状。脱力感、筋肉痛、こむらがえりの他、口渇、食欲低下、嘔気・嘔吐などもあり、化学療法の副作用と混同しやすいことにも注意を要します。

芍薬甘草湯は急激におこる筋肉のけいれんを伴う疼痛(こむらがえり)によく用いられる漢方製剤ですが、芍薬甘草湯1日量7.5g中カンゾウの含有量は6.0g。漫然と服用すべきではありません。

十全大補湯は体力低下、疲労倦怠、食欲不振の改善などの目的でがん患者にも使用される補剤。ただし、カンゾウを1.5g含有するため他の漢方製剤との併用時には注意が必要です。

疑義を確認してカリウム値の正常化を図ろう!

婦人科の主治医はカンゾウによる偽アルドステロン症の可能性に理解を示しました。疑義照会の結果、芍薬甘草湯、十全大補湯、そして塩化カリウム徐放錠は削除となりました。

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今回のおさらい

  • 化学療法中の患者さんの症状、化学療法の副作用以外の可能性を見逃さない
  • OTCを含む他の併用薬の確認、症状の発現時期の聞き取りをしっかり実施
  • 芍薬甘草湯服用患者にはカリウム値と自覚症状を確認。他の漢方製剤においても併用によるカンゾウの量に注意が必要
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