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20年ぶりの経口爪白癬治療薬などが承認

2018年01月31日 15:15

 医薬品医療機器総合機構(PMDA)は今年(2018年)1月19日までに、約20年ぶりの新規経口爪白癬治療薬、国内初承認となる抗PD-L1抗体、アトピー性皮膚炎治療薬など14剤の新医薬品が厚生労働省から承認を受けたと発表した。そのうち、剤形・用量変更、適応拡大を除く新薬は10種類である()。

表. 2018年1月19日までに承認された新薬(剤形・用量変更、適応拡大を除く)

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慢性便秘症薬は胆汁酸トランスポーターを阻害

 統合失調症治療薬ブレクスピプラゾールは、ドパミンD2受容体およびセロトニン5HT1A受容体に強く結合することでパーシャルアゴニストとして、さらにセロトニン5HT2A受容体にはアンタゴニストとして作用する。同薬はSerotonin-Dopamine Activity Modulator(SDAM)と呼ばれる新しい作用機序を有する。統合失調症は長期治療を要することがあり、副作用による服薬の継続困難が再発につながる。同薬は国内外の臨床試験で急性期統合失調症患者への有効性および、長期投与でも効果が維持されることが示された。また、有害事象の発現率も低いことが確認された。

 ホスラブコナゾールL-リシンエタノール付加物は、爪白癬を効能・効果とする経口抗真菌薬。新規トリアゾール系抗真菌薬である同薬は、爪白癬患者を対象とした国内第Ⅲ相試験で有効性と安全性が確認されている。経口の爪白癬治療薬としては、約20年ぶりの新薬となる。

 胆汁酸トランスポーター阻害薬であるエロビキシバット水和物は、器質的疾患による便秘を除く慢性便秘症の治療薬である。同薬は胆汁酸の再吸収に関わるトランスポーターを阻害し、自然な排便を促すことが期待されている。国内第Ⅲ相試験において、プラセボと比べて自発排便回数の変化に有意な改善が示された。また、完全自然排便の回数、便の硬さなどにも有意な改善が認められ、重篤な有害事象は認められなかった。

期待されるアトピー性皮膚炎治療薬

 アテゾリズマブは、切除不能な進行・再発の非小細胞肺がんを効能・効果とする抗PD-L1ヒト化モノクローナル抗体。PD-L1はT細胞表面上のPD-1、B7.1の双方と結合しT細胞の活性化を抑制するが、同薬はこの結合を阻害し、T細胞による腫瘍細胞への攻撃を促進すると考えられる。同薬は初の国内承認となるが、現在、小細胞肺がん、尿路上皮がん、乳がん、腎細胞がん、卵巣がん、前立腺がんを対象とした第Ⅲ相試験が進行中である。

 アトピー性皮膚炎治療薬のデュピルマブは、インターロイキン(IL)-4、IL-13の過剰な働きを特異的に阻害するヒトモノクローナル抗体。IL-4とIL-13は、アトピー性皮膚炎やその他の慢性炎症において中心的な役割を果たしていると考えられる。同薬は既存治療で効果不十分なアトピー性皮膚炎患者を対象としており、皮膚症状やQOL、労働生産性の改善が期待される。

 ベンラリズマブは、ヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体で、気管支喘息(既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者に限る)を効能・効果としている。同薬は好酸球の表面に発現するIL-5受容体αに直接結合し、増強された抗体依存性細胞傷害活性によりナチュラルキラー細胞などを誘導することでアポトーシスを引き起こし、好酸球をほぼ完全に除去する。重症喘息患者の約50%で好酸球値が高い傾向にあり、高値例では気道炎症や気道過敏性を引き起こし、喘息増悪リスクが上昇する。

 イブプロフェンL-リシンは、未熟児動脈管開存症治療薬。同症は、出生後も動脈管が開いたままの状態で死亡や後遺症につながる可能性がある早産児特有の先天性心疾患。同薬の開発に当たり、日本未熟児新生児学会(現:日本新生児成育医学会)が厚生労働省に「医療上の必要性の高い未承認薬・適応外薬の要望書」を提出し、開発指定品目として選定された後に開発が進められた。なお、同薬は治験症例が限られるため、発売後「一定数の症例に係るデータが集積されるまでの間は全症例対象の使用成績調査を実施する」との承認条件が付されている。

多剤耐性肺結核にも新薬

 ベダキリンフマル酸塩は、ジアリルキノリン系の新規抗結核薬。既存の抗結核薬とは異なる機序を有し、結核菌のエネルギー生成に必須のアデノシン-三リン酸(ATP)合成酵素を特異的に阻害し、結核菌に対して強い殺菌活性を示す。多剤耐性肺結核は治療選択肢が限られ、菌陰性化後も継続的な長期投与が必要なため、新薬を含む併用療法の開発が緊急の課題となっている。同薬は新たな選択肢として期待される。

 イノツズマブオゾガマイシンは、抗悪性腫瘍薬/抗腫瘍性抗生物質結合抗CD22モノクローナル抗体で、再発または難治性のCD22陽性の急性リンパ性白血病(ALL)を効能・効果とする。ALLは急速に悪化する致死的な疾患で、再寛解導入療法では標準治療は確立されていない。同薬による治療は、多くのALL患者に対し治癒を目指す造血幹細胞移植への移行の可能性を高めることが期待される。

 プラチナ製剤感受性の再発卵巣がんにおける維持療法を効能・効果としたオラパリブは、国内初のポリ(ADP-リボース)ポリメラーゼ(PARP)阻害薬。卵巣がんは化学療法後の再発率が非常に高く、治療選択肢も限られている。同薬により、良好な安全性プロファイルを保ちながら病勢進行や死亡のリスクを下げることが期待される。また経口薬であるため、注射による疼痛や点滴に必要な時間的拘束などの患者負担を回避できる。

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