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アンチ・ドーピング規則違反の現状

2018年03月12日 08:00

 近年、市民やジュニア選手が出場するスポーツ大会でも導入されるようになったドーピング検査。アンチ・ドーピングの知識はオリンピック選手に限らず、全てのアスリートにとって必須のものになっています。スポーツファーマシストではないけれどアスリートの役に立ちたいと考える薬剤師T子を中心に、実務で押さえておきたいアンチ・ドーピングに関する情報をお伝えします。

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S男.PNGアスリートを薬剤師として支援するために何をしたらよいか、まずは、日本でのアンチ・ドーピング規則違反事例をチェックして、どんな薬剤で違反があるか見てみよう。

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T子.PNG最近2年間の違反事例では、14件のうち蛋白同化薬が6件、興奮薬が7件。この2種類で半数ずつを占めているんですね。

S男.PNG蛋白同化薬、興奮薬ともにサプリメント摂取による違反が多数報告されているよ。サプリメントは日本をはじめ多くの国で「食品」に分類されていて、含有成分を全て表記することが義務付けられていないんだ。IOC(国際オリンピック委員会)の調査では、アメリカ、イギリス、オランダなどの国で販売されているサプリメントのうち、15%前後の製品から表示されていない禁止物質が検出されたと報告しているよ。

T子.PNGじゃあ、サプリメントは危険なんですね。

S男.PNGいや、JADA(日本アンチ・ドーピング機構)認証マークが付いているサプリメントなら大丈夫なんだ。JADAにはサプリメント分析認証プログラムがあって、ドーピングに用いられる可能性の高い物質を検証し、過去の違反事例の検証、海外の連携機関との情報共有を行うなど、総合的な観点から独自の基準を設定して禁止物質の含有の有無を確認し、サプリ製品の認証をしてるんだ。

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T子.PNGクレンブテロールって喘息の治療薬ですよね。蛋白同化薬の分類に入っているんですね。

S男.PNGβ2作用薬で、気管支拡張薬として喘息の治療などに使われているけれど、一方で蛋白同化作用(筋肉増強作用)が強いため、ドーピング上は蛋白同化薬に分類されているんだ。禁止物質は薬剤師が慣れ親しんでいる薬効だけでは分からない。薬理作用・作用機序を理解していないと、なぜスポーツで禁止されるか説明できないんだ。

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T子.PNG"興奮薬"という分類は聞いたことがないです。

S男.PNG中枢神経系を刺激して、集中力、敏捷性を高め、疲労感を緩和する薬のことだよ。市販の総合感冒薬に広く配合されるエフェドリンも該当するので、"うっかりドーピング"を起こしやすいんだ。エフェドリンはマオウの成分だから、麻黄湯や葛根湯にも含まれているよね。

T子.PNG身近な商品にも入っていますね。

S男.PNG日本では2009年度からスポーツファーマシスト制度が始まり、アンチ・ドーピング活動に力を注いできた努力のかいあって、"うっかりドーピング"は減少傾向にあるんだ。引き続き、薬剤師の力が期待されているんだ。

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S男.PNGオリンピックにおけるドーピング検査は、1968年のメキシコシティー(夏季)から全ての大会で実施されている。リオオリンピックには1万人以上のアスリートが競技に参加し、ドーピング検査は5,000件以上実施されたんだ。IOCの規定で各検体は10年間保存されて、将来登場する新たな技術を使った検査もできるようにしているんだよ。★オリンピックのドーピング検査数:ドーピング検査の対象は、成績上位者、およびランダムに抽出された者

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S男.PNGドーピング検査が導入されているのはオリンピックだけではないんだ。国体やサッカーの天皇杯、都市対抗野球を始めとして、福岡国際マラソン、別府大分毎日マラソン、東京マラソン、びわ湖毎日マラソン、名古屋ウィメンズマラソンなど一般市民のレベルにまで広がっているよ。さらに、日本学生選手権(インカレ)やジュニアオリンピックの競技でも検査が導入され、将来の日本代表が出てくる可能性がある年齢層にもアンチ・ドーピング意識を持ってもらうようになっているんだ。特に低年齢層には、薬の飲み方といった基礎知識からしっかり教育する必要があるからね。

T子.PNGいつアスリートが来ても対応できるように、違反になる薬剤を勉強しよ!

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[PharmaTribune 2018年3月掲載]

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