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平昌カーリング メダル返上理由のメルドニウムって?

過去にはシャラポワも?

2018年03月22日 08:00

 近年、市民やジュニア選手が出場するスポーツ大会でも導入されるようになったドーピング検査。アンチ・ドーピングの知識はオリンピック選手に限らず、全てのアスリートにとって必須のものになっています。スポーツファーマシストではないけれどアスリートの役に立ちたいと考える薬剤師T子を中心に、実務で押さえておきたいアンチ・ドーピングに関する情報をお伝えします。

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平昌カーリング メダル返上理由のメルドニウムって?

スポーツ仲裁裁判所(CAS)は、ロシアからの五輪選手(OAR)として平昌五輪カーリング混合ダブルスで銅メダルを獲得した男子のアレクサンドル・クルシェルニツキー選手が、ドーピング検査で禁止薬物メルドニウムに陽性反応を示したため失格処分にしたと発表しました。世界カーリング連盟は銅メダルを剥奪、成績を抹消し、4位だったノルウェーが銅メダルに繰り上がったのです。

ロシアなどでは狭心症などの治療薬として使われているメルドニウムは、カルニチンの生合成を阻害する作用を持ちます。この作用により脂肪酸の酸化は抑制され、エネルギー産生経路が解糖系へと転換されます。脂肪酸代謝の課程では酸素を多く消費しますが、メルドニウムがその代謝を阻害することで心筋での消費酸素が減少します(この作用から、メルドニウムには心臓の虚血状態における効果が期待されています)。一方、心筋での消費が抑えられた酸素は他の組織で使われ、スタミナ向上につながる可能性があります。

また、メルドニウムは血管拡張作用のあるNOの合成増加による血流改善、中枢神経系の活性化作用についても示唆されています(S4.代謝調節薬に該当。2016年から禁止物質に指定されました)。

女子テニスのマリア・シャラポワ(ロシア)が陽性反応を示したことがあります。米国や日本では認可されていません。

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