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見えないところで治療を支える

【Culture Review】書籍『いち病理医のリアル』市原真 著

2018年04月10日 11:00

病理医ってどんなイメージ?

突然だが、「病理医」という職業をご存じだろうか。医師からも「暗い」「コミュ障の医学生がなるもの」などと言われることが多い、あの「病理医」だ。近年は、ドラマ化されたヒットコミックスのおかげで、ご存じの方も増えてきているようである。

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市原 真 著、A5判、174ページ、定価2,800円+税、丸善出版、2018年2月刊

現代医療ではいろいろなことが解明され、治療法にも多くの選択肢が生じるなど、複雑さが増している。そのため、一人の患者に関わる全ての行為を担当医師だけで行うことは不可能で、多くの専門家が分業することになる。

その中で、病理医が担当するのは診断だ。治療に関わる臨床医とは異なり診断に特化することで、特にがん患者の今後の治療法を決定する上で重要なポジションとなっている。

さて、私は本書を読みながら、薬剤師のことを思い浮かべた。

  • 専門性を持っていながら、何をしているのか患者さんに理解されにくい
  • 最悪、いなくても医療は成り立つ(僻地では薬剤師がいないというケースもある)
  • 医療職の中では、人工知能(AI)に仕事を奪われる職業の筆頭、と言われることがある
  • しかし、専門性を発揮することで、患者さんによりよい予後をもたらす

やはり病理医と薬剤師、似ているかもしれない・・・

AIとの「これから」を考える

「病理の仕事は繊細なので、AIに奪われることはない」「人間がやるから責任が取れる」という認識に対し、「少し甘いのでは」と考える著者。詳しくは本書をお読みいただきたいが、「AIに置き換えられるのでは・・・」と言われることのある薬剤師にも、これからの仕事に対する考え方について参考になる視点が紹介されており、一読の価値がある。

一人の病理医の日常を基に書かれた本書は、ページ表記のこだわりや注釈、索引が付いていることからも、とても愛着を持ってつくられた印象だ。多くのエピソードを交えながら、ですます調で書かれる文章は、容易に読み進めることができる。

著者は、一般的な病理医がやらないような仕事もやり続けることで、少し特異なポジションを確立したようだ。病理医という職業の中で、どのように自分の志向性を打ち出してきたのかをうかがい知ることもできるので、病理医に興味がある方や医療従事者にはもちろん、これからの進路を考える若者にもオススメしたい。医学書であって医学書ではない、少し不思議な立ち位置の本である。

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