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喘息でもスポーツしたい!飲める薬は?

2018年04月20日 08:00

 近年、市民やジュニア選手が出場するスポーツ大会でも導入されるようになったドーピング検査。アンチ・ドーピングの知識はオリンピック選手に限らず、全てのアスリートにとって必須のものになっています。スポーツファーマシストではないけれどアスリートの役に立ちたいと考える薬剤師T子を中心に、実務で押さえておきたいアンチ・ドーピングに関する情報をお伝えします。

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今回学ぶこと

  1. 気管支喘息は使える薬が限られている(S3)

  2. のど飴も禁止!?

気管支喘息は使える薬が限られている(S3)

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喘息持ちのアスリートの話はよく耳にするけれど、どのように対応しているの?

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全てのベータ2作用薬は、光学異性体を含めて禁止されている。ただし、吸入サルブタモール( 24時間で最大1,600μg、いかなる用量から開始しても12時間で800μgを超えない)、吸入ホルモテロール( 24時間で最大投与量54μg)、吸入サルメテロール( 24時間で最大200μg)に限って認められている(いずれも日本で承認されている用量であれば問題なし)。それ以外の吸入ベータ2作用薬の使用にはTUE※申請が必要だ。

2014年度に、ラグビーフットボール選手が、喘息症状が悪化したため、息子に処方されたツロブテロールを使用して、競技成績失効・資格停止3カ月の制裁を受けた事例があるんだ。

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ツロブテロールはTUE申請が必要なのね。

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そう。それともう1つ。ベクロメタゾン、フルチカゾンなど糖質コルチコイド単体の吸入使用は禁止されないけれど(関連記事)、ベータ2作用薬との配合薬を使用する場合にはTUE申請が必要なものがあるから注意が必要だよ。

のど飴も禁止!?

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その他、うっかり使用してしまいそうなベータ2作用薬にヒゲナミンがある。2017年から禁止物質に指定されたんだ。ヒゲナミンは、呉茱萸(ごしゅゆ)、附子(ぶし)、細辛(さいしん)、丁子(ちょうじ)、南天(なんてん)などの生薬に含まれていて、多くの漢方薬、OTC薬、サプリメントに含まれるから注意が必要だね。

最も身近な薬は、南天を含むのど飴だ。同じ目的で使われる「浅田飴」にも禁止物質のエフェドリン(麻黄)を含むから、代替使用はできないよ。また、ヒゲナミンを含む胃腸薬も多いので、成分をしっかり確認しよう。

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身近な薬だけに、細心の注意を払わないと!

※TUE(Therapeutic Use Exemptions):治療使用特例。禁止物質・方法を治療目的で使用したい競技者が申請して、認められれば使用できる手続き。ただし、治療上必要であり、他に治療法がなく、使用しても競技力を高めないものに限定されている。

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ベータ2 作用薬(β2刺激薬)(S3)

生理・薬理作用

交感神経のアドレナリン作用性β受容体は3つに分類 される。心筋などに存在するβ1受容体、肺や平滑筋に 存在するβ2受容体、脂肪細胞などに存在するβ3受容体である。気管支喘息の治療に用いられるベータ2作用薬は、β1 受容体刺激作用を弱めてあり、選択的にβ2受容体に作用する。その作用により,細胞内でアデニル酸シクラーゼを活性化し、ATPをcAMPに変換して気管支平滑筋の弛緩を引き起こす。しかし、β受容体のサブタイプは相同性が高いため,、ベータ2作用薬にもβ1受容体刺激作用が少なからずあり、頻脈や心拍数増加の副作用が見られる場合がある。またβ2受容体を介する副作用として振戦(ふるえ)が報告されている。

《β受容体の主な生理作用》  
β1受容体:心拍数増加、心筋収縮力増加   
β2受容体:気管支弛緩、血管平滑筋弛緩、 子宮弛緩   
β3受容体:脂肪分解促進

※ベータ2作用薬は喘息治療としての効能がほとんど だが,リトドリン塩酸塩やイソクスプリン塩酸塩は子 宮弛緩薬として切迫流・早産の適応がある。

ドーピング物質として禁止される理由

交感神経刺激作用と蛋白同化作用による筋組織量の 増加が期待されるため。β2受容体は骨格筋にもあり、これを介して蛋白同化作用を示す可能性が示唆されている。

クレンブテロールは蛋白同化薬

ベータ2作用薬であり、喘息治療薬として使用されているクレンブテロール。しかし、特に蛋白同化作用が強いため、ドーピング上は「S1.蛋白同化薬」に分類されています。ベータ2受容体は骨格筋にもあり、これを介して蛋白同化作用を示す可能性が示唆されています。

※β2受容体(adrenergic beta-2 receptors)については,アドレナリンβ2受容体,アドレナリン作用性β2受容体,β2作用薬(adrenergic beta-2 agonists)については,β2受容体作動薬,β2受容体刺激薬など様々な標記がされているが,ここではスポーツファーマシストのテキストに合わせて 「ベータ2作用薬」とし,受容体はβで標記した。

運動誘発性喘息

気管支喘息患者が運動した場合に起こる発作。運動による気道からの水分と熱の損失が発作の誘因とみられる。対策として、暖かく湿った環境での運動鼻呼吸を心がけることがあげられる。

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